日本株は「中長期的に買い場」との認識に変化なし

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日本株は「中長期的に買い場」との認識に変化なし

日経平均株価(出所:Yahoo!ファイナンス)

最近の日経平均株価は調整しており、チャートの形状もややダブルトップ気味であまりよい形ではありません。

米10年債利回りは足もとやや落ち着いていますが、また騰勢を強めると下押しリスクは高くなりそうです。

「騰落レシオ80割れ」で買いサイン点灯

ただし昨今の調整の甲斐あり、騰落レシオがいい感じに下がってきています。

騰落レシオ(出所:世界の株価

10月23日の終値ベースで、ひとつの買い目安となる「騰落レシオ(25日):80以下」になりました。

最近の日本株の下げは、むしろ中長期的には買い場との認識で、引き続き以下の方針に変わりありません。

  • 妙味を感じる日本株の個別銘柄を、中長期目線で買い進めていく

日本株に期待できると思う理由

上記のように考える背景として、以下が挙げられます。

日本株に期待できると思う理由
  • 実質金利がマイナスという金融政策
  • 値上げでコスト増を反映しはじめた日本企業
  • インフレ + 金融緩和 = 資産価格の上昇要因
  • 日本企業の株主還元余力の大きさ
  • ほか、日銀短観が示すような景況感の良さ、新NISA開始、政治的安定、地政学的に重視されやすい状況 など

① 金融政策:実質金利がマイナスで、株価に追い風

まず、「実質金利名目金利期待インフレ率」という式が成り立ちます。

現在、日本の金融環境はどういう状態かというと、名目金利は日銀のYCC(イールド・カーブ・コントロール)政策により、1%以下におさえられている一方で、期待インフレ率が1.2%程度なので、実質金利がマイナスという状態です。

実質金利と日経平均株価の関係は逆相関で、実質金利がマイナスになるほど、日経平均株価は上がりやすい傾向が見てとれます(下図)。

したがって、金融環境の観点からは、たとえば以下3つのシナリオ等とならなければ、日本株には追い風だと考えています(逆に言えば、日銀の金融政策変更や、金利上昇はリスクシナリオ)。

  • 日銀がYCCを撤廃し、名目金利が上昇する(=実質金利が上昇)
  • 日本の物価見通し(期待インフレ率)が下がる(=実質金利が上昇)
  • 米国の長期金利上昇に連動して日本の長期金利も上昇

補足

ちなみに、直近の状況としては、期待インフレ率は4月から上昇傾向で、実質金利は-0.9%まで低下。それに呼応するように日経平均株価は大きく上昇。

その後、YCC柔軟化によって日本の名目金利が上がったことで、実質金利は-0.5%まで上昇し、それに呼応するように日経平均は調整しています。

② インフレ:コスト上昇を、企業が値上げで反映するようになった

上図は、日本の企業物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)です。

PPIは2021年から急上昇し、しばらくCPIは反応していませんでしたが、2022年からCPIも急上昇していることがわかります。

これは、企業が当初は、輸入物価の上昇などによるコスト増を企業努力で吸収していたものの、吸収しきれず製品の値上げに踏み切ったことがうかがえます。

つまり、企業が値上げする環境になれば、売上や利益が圧迫されにくくなり、企業業績には追い風になると考えられます。現に、食品系の日本株は今年大きく値上がりしています。

インフレ + 低金利=「名目価値のさらなる上昇」

また、インフレは、名目GDPと資産価格(名目株価や不動産価格)を押し上げることになり、加えて前述のように実質金利がマイナスであれば、「借金してでも資産を買ったほうがよい」という状態を意味します。

たとえば、来年にかけて不動産価格が5%上昇するならば、住宅ローンの変動金利が1%なら、借金してモノを買ったほうがよくなります。

インフレなのに金融緩和をつづけてしまうと、こういうことが起きて、資産価格がさらに上昇しやすくなります(逆に言えば、日銀の金融政策転換はリスクシナリオ)。

③ 株主還元:日本企業は余力が大きい

出所:FiNTOS!

米国企業は、株主還元に積極的で、企業によっては人件費の削減や借金をしてまで自社株買いや増配の原資にします。

よくいえば株主に対して超過リターンをもたらしますが、逆に言えば株主還元余力にとぼしいと言えます。

対して日本株は、長きにわたって内部留保を貯め込み、株主還元余力が大きい状況。東証のPBR1倍割れ是正要請などを追い風に、今後は株主還元が積極的になる兆しが出ています。

会計上、理論的に配当は株主リターンに対して中立的です。しかし配当を好む投資家が多ければ、割安に放置されていた日本株が見直される契機や、超過リターンをもたらすことにつながる要素になります。

理論は机上のものなので、実際に人間が理論通りに行動しなければ、理論は現実にはならないですね。

まとめ

足もと日本株は調整気味ですが、騰落レシオ(25日)は80割れとなり、「買いサイン」を示しています。

もちろん、騰落レシオは金融ショックなどの暴落局面では機能しませんが、押し目買い前提であれば参考になる指標です。

日本株のなかでも、

  • バリュー株より低調なグロース株
  • すでに上がった銘柄より、足もと下げている銘柄

に注目して買い進めています。

具体的には、

  • サイバーエージェント
  • 楽天
  • セリア
  • オイシックス
  • モノタロウ
  • イオンFS
  • フューチャー

など、今後のAI隆盛をみすえ、AIシフト銘柄を中核としつつ、そのほか叩き売られている銘柄群です。

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