米国株の下落が続くいま、高まる米国短期債券の魅力
米国株はこの2か月ほど下落基調。直近高値4,607から8%下落と軟調です。
以下がリスクとして意識されています。
- インフレ高止まりによる、FRBの金融引き締め長期化の見通し
- 長期金利の上昇(米長期債の下落)が続き、無理して株式を買わずとも債券で高い金利が得られる状況
- 政府機関閉鎖を回避させる立役者・マッカーシー下院議長が解任され、与野党対立が深まり、政治混迷が長引く懸念
そうした混迷がつづく今、やはり際立つのが米国短期債券の魅力です。
米国短期債なら、低リスクで利回り5%
弊ブログで最近とみに言及してきたように、現在は米国FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ退治のために利上げを続け、短期金利が 5.25-5.5% で高止まりしています。
短期債券は短期金利に連動するので、現在は短期債へ投資することで低リスクで5%ほどの利回りを得られます。
5%の金利が低リスク(日本人からすると為替リスクはあります)で得られるので、無理して株式を買ってリスクをとらなくてもよいわけです。
どういうことか説明します。
株式の魅力が低下し、債券の相対的な魅力が高まっている
現在、米国株は、PERが17.5。益回りはその逆数となる5.7%です。これは、「米国企業が1年で、株価の5.7%に相当する利益を稼ぐこと」を意味します。
ひらたく言えば、今後1年間の米国株の株主が得る利益は5.7%ということです。対して、短期債の利回りは5%程度。
つまり、
- 株式の益回り:5.7%
- 短期債利回り:5.25 – 5.5%
で同等の水準です。したがって、
- いま株式に投資すると、リスクを負って理論上5.7%の利回りを得るのに対し、
- 短期債へ投資するとほぼリスクなしで5%ほどの利回りが得られる
というのが現在の状況なのです。
短期債を持っていれば、
- そのまま持って5%の金利収入を得るもよし、
- 株式が下落した際に安いと思えたら短期債を売って株式を買えばよし
ということで、株価が上下どちらに転んでもOKな状態になります。
ここまで、短期債のよい面を言いました。では次によくない面を言います。
でも、リスクもあります:為替と長期リターン
まず短期債、長期債にかかわらず、債券というものは、長期的には株式より収益性が落ちます。
基本的にリスクとリターンは比例するので、低リスクの債券は低リターンです。
したがって、長期運用の主役というよりは、あくまで不透明な状況で資金を退避させておく、または分散先の1つとして活用することがよいかと思います。
また、為替リスクがあります。現在は円安なので、今から日本円を米ドルに換えて米国短期債券を買うのは、今後円高になったときに損失となります。
したがって、今から円をドルに換えるのは、円高リスクがあります。あくまで手持ちのドルがある場合、
- 米ドルMMFを買う
- 短期債ETF(CLIP)を買う
というかたちで短期債を活用することが一案になるかと私は思っています。
まとめ
- 米国株が軟調に推移するなか、低リスク・利回り5%の短期債の魅力があらためて実感される
- 短期債に投資することで、株式が下落したときに安く買える準備資金にもなる
- ただし、長期リターンは株式に劣るので、分散先の1つなどとしてとらえる
- また、為替リスクがあるので、円安のいまドルに換えるのは円高リスクも
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まさに米国株は下押し気味となってきています。