「特定口座の株式を売っておき、暴落時に新NISAで買いなおす」という戦略はどうか?
以下のご質問に、お答えしています。
読者
新NISA前に積み立てた特定口座、
いま利益が出ているので、いったん売って、
来年暴落時に一括で新NISAで買おうと思っています。
どう思いますか?
題名: 新NISAについて
メッセージ本文:
はじめまして。
現在主人52歳の正社員、私53歳の派遣社員です。
遅いのですが、昨年12月から、投資信託をはじめました。
主人が60歳まで勤めあげた後は、ゆっくり晴遊雨読な生活を送る
個人年金保険、終身保険、変額終身保険を解約すると、1人500
当初の予定では、月20万円を2年間くらい(500万円積みきる
そこで、アドバイスいただきたいのは、来年の新NISAになった
わたしの考えは、今利益が出ているので、一旦売って、来年暴落し
本当は長期積立しなきゃ意味がないと聞くし、私達には時間もない
穂高様はどう思われますか?
お若いのに大変しっかりされていて、すごいなーと尊敬しておりま
自分の穂高様くらいの年齢の時を思いかえしてみると、何も考えて
お時間あるときにアドバイスいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
いえいえ、私なんか、なにかにつけて「遅きに失した…」と悔いる完璧主義な面があるので「思い立ったが吉日、今こそ好機」と思いなおすように努力しています(笑)
さて、結論としては、以下3つの選択肢があります。それぞれ見ていきましょう。
- 特定口座を利益確定し、暴落時に新NISAで買う
→ 暴落すればよいが、株価が堅調なら機会損失 - 特定口座を半分(または一部)利確し、暴落時に新NISAで買う
→ 暴落しても、株価が上昇し続けても、そこそこのリターン - 特定口座を利益確定し、暴落時をねらわず新NISAで買いなおす
→ 株価が堅調ならよいが、暴落すると痛い
① 特定口座を利確、暴落時に新NISAで買いなおす
アドバイスいただきたいのは、来年の新NISAになった時に、1年近く積立てた特定口座をどうしたらいいか、ということです。
わたしの考えは、今利益が出ているので、一旦売って、来年暴落したときに一括(売った分)で買う。です。
この投資行動は、「来年に暴落する、という未来に賭ける」行為ですね。それをご認識のうえであれば、ひとつの戦略になるかと思います。
ただし、暴落せず、その後も上昇し続けた場合、「売らなきゃよかった…」となるリスクがあります。
② 特定口座を半分(一部)だけ利確し、暴落時に新NISAで買いなおす
そこで、ご年齢(取り崩し時期までの運用期間の長さ)のことも考えて保守的な運用とする場合、
- 半分(or 一部)は利益確定して暴落シナリオに賭け、もう半分(or 残り)は売らずに上昇し続けるシナリオに賭ける
というのも一策です。迷ったら半々。
基本的に投資は、リスクとリターンが正比例します。つまり、リスクを大きくとれば大きなリターンを得る可能性が生じ、あまりリスクをとらなければ、リターンは限定されます。
したがって、ご年齢を考えて、「どこまでリスクをとるか」という点に帰着します。
暴落シナリオに全振りするなら、売却して暴落時に買いなおすことです。しかしこれは「言うは易く行うは難し」、一般的になかなか実際できないものです。
いざ暴落すると、さらに落ちる恐怖が先立ち、買えないことがあるからです。
③ 特定口座を利確し、暴落時をねらわず新NISAですぐ買いなおす
では、暴落で実際には買い向かえないリスクを考えて、継続保有とする場合、以下2つの選択肢があります。
- 特定口座を利益確定せず、そのまま保有
- 特定口座を利益確定し、新NISAですぐ買いなおす
結論としては、株価成長が年率3〜5%程度とすると、「運用期間10年なら、含み益が元本の40%以下」、「運用期間20年運用なら、含み益が元本の110%以下」である場合、新NISAのほうが税制上よいです(算出過程は長いので別記事とする予定)。
以上をまとめると、以下のようになります。
- 特定口座を利益確定し、暴落時に新NISAで買う
→ 暴落すればよいが、株価が堅調なら機会損失 - 特定口座を半分(一部)利確し、暴落時に新NISAで買う
→ 暴落しても、株価が上昇し続けても、そこそこのリターン - 特定口座を利益確定し、暴落時をねらわず新NISAですぐ買いなおす
→ 株価が堅調ならよいが、暴落すると痛い(上段で示したように、場合によっては特定口座のままのほうがよい)
ちなみに…「2024年 暴落説」
たしかに2024年暴落説として、実際そうなるかは別として、たとえば以下シナリオが想定されます。
- 米経済の軟着陸は難しい
- グレートリセットが起こる
- 高金利による銀行危機が再燃する
- 日米欧の金融緩和バブルがはじける
いずれも以前からくすぶっている話です。とくに①・③・④は、市場関係者のあいだで、昨年初から指摘されています。
まとめ
- 特定口座を利益確定し、暴落時に新NISAで買う
→ 暴落すればよいが、株価が堅調なら機会損失 - 特定口座を半分(一部)利確し、暴落時に新NISAで買う
→ 暴落しても、株価が上昇し続けても、そこそこのリターン - 特定口座を利益確定し、暴落時をねらわず新NISAですぐ買いなおす
→ 株価が堅調ならよいが、暴落すると痛い(上段で示したように、場合によっては特定口座のままのほうがよい)
精神的な安寧を求めるなら、②が一案かと思います。半々は気楽ですね。
どちらかのシナリオに全振りするより、どちらに転んでもよい状態にしておくと、気楽かと思います。
とくに老後をたのしむ時期に、市場の動きに気をもむのは避けたいかと推察します。
回答になっていましたら幸いです。
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