三菱地所(8802)の株価が16連騰、ついに2,000円突破
三菱地所の株価が、9月7日の終値時点で、16連騰。ついに2,000円の節目を突破しました。
これだけ上げ続けるといつ調整してもおかしくないのですが、本当に強いですね。8月16日から上げ続け、18%ほど上昇。
テクニカル的にはコロナ以降、2,000円近辺で何度も反落しているので、節目の水準です。
株価は年初来(にかぎらずこの10年ずっとですが)で日経平均に大きく劣後していましたが、その差を縮めています。
- 日経平均 +28.3%
- 三菱地所 +19.0%
注目度がにわかに高まる「三菱地所(8802)」
三菱地所は含み益資産も考慮すると割安株でしたが、長らく注目度が低いままでした。
ところがここに来て、日経新聞も三菱地所を取り上げていますね。
上の記事を要約すると、
- 「日本が変わりつつある」という見方が広がり、短期筋による先物の買いにかぎらず、現物で中長期の海外資金が流入している
- デフレ経済の脱却に向かいつつある期待感が高まっている
- 東海東京調査センターのストラテジストは「国内金利に先高観があるなか、16日続伸している三菱地所(8802)が『脱デフレ期待』の象徴」と指摘
というものです。
ちなみにこれは、先日ブログ記事で紹介した、英運用大手マン・グループ傘下の以下見解とほぼ同じ見方ですね。
「今後、日本は高インフレ・高金利に入ったとみられるが、日銀の金融緩和で実質金利がマイナスの状態が続けば、資産価格が下がるか横ばいかという過去20年のデフレ下で非常に厳しい状況で、世界の投資家に無視されてきた内需セクター(金融・不動産)が再評価される」
このように、メディアでも取り上げられ、注目度が徐々に高まり、提灯記事も出始め、最終的には買いが買いを呼び大相場になることがあります。
すると、短期勢が買い上げ、割高な範疇になったところで大きく反落ということも考えられます。
インフレと金融政策が生む「名目株価の上値余地」
ただ、地所の場合は、後段に述べるように、含み益資産を考慮すると実質PBRはいまだ0.48倍と低い水準。
また、インフレが進めば、不動産価格は上値余地が出てくるので、含み益資産はさらに膨張する可能性があります。
いずれにしても今後日本でインフレが進むのか、そのストーリー(期待)と現実がどうなるかで、海外投資家の買いが左右されそうです。
日銀が緩和姿勢をやめないかぎり、実質金利がマイナスに推移し、資産価格の上昇が正当化されやすくなります。
三菱地所の状況
直近の状況おさらいを、以下に載せておきます。
① この10年、業績は右肩上がりなのに、株価は右肩下がり
② 保有不動産の含み益を加味すると、純資産に対する株価は非常に割安(PBR0.4倍台)
③ 不動産株は一般的に金利上昇に弱く、日銀の政策変更は逆風であるが、三菱地所の財務は金利上昇に脆弱ではないと思われる
④ コロナ禍以降、オフィス市況は弱いが、丸の内エリアの空室率は相対的に低い
補足
ただし、
- 含み益が膨大であることは、IR資料を確認している投資家ならば既知のことで、そこに超過リターンは望めないであろうこと、
- また、保有不動産の含み益は売却してはじめて実現益となるので、現金化しない限りは「絵に描いた餅」にすぎないこと、
なども認識しておく必要があるかと思います。
まとめ
- 「デフレ脱却、インフレ進む」という見方と期待が国内外の投資家から観測されている
- 三菱地所は16連騰し、2,000円の大台を突破したものの、含み益資産を考慮したPBRは実質0.48倍といまだ割安な水準
- 日銀の緩和的な金融政策が続けば、実質金利はマイナスで、円安・インフレが進みやすく、その場合は株価や不動産価格に上値余地が出てくる
マクロ的には以上のような要素を指摘できます。
業績の観点からは、2Q以降に計上予定とされている保有不動産の売却益がどの程度なのか。つまり、実際に含み益資産がどの程度利益として寄与するのか注目されそうです。
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