中国の不動産価格の下落でみられる「日本の不動産への資金流入」
- 北京留学時に知り合った中国人
- 帰国後に日本で知り合った中国人
定期的に彼らと会って、食事をします。
そんななか、最近の印象的な変化は、「日本の不動産を買おうとする人が複数人でてきた」ということです。
日本の不動産に購入意欲を示す、中国の友人
中国人の友人
中国の不動産はこれから投資するには不適。
日本の不動産は格安ね。
為替効果で10年前より4割引き
たしかに人民元高・円安が進んでいて、私が留学していた約10年前と比べると、為替効果で日本の不動産は 40%引き のバーゲンセール。
自国通貨安によって、国内財は外国に対して、相対的に安売り状態です。
加えて、日本はインフレになっても金融緩和を継続し、実質金利がマイナスです。これは資産価格の上昇を正当化する要素ですね。
「4,000万円は格安」という中国人の感覚
数億円の資産を持つ友人は、関東郊外で4,000万円の物件に対して、
中国人の友人
と目を見開いていました。
これはあくまでひとつの実例にすぎませんが、両国の友人に接するなかで、総じて両者に価格観の乖離を感じます。
日本人の購買力が相対的に弱くなっていると実感することが増えました。
たとえば、不動産投資をしている日本人の友人は、「高い物件を売りに出すと、よく買付申請がくるのは中国人」と言っていました。
個人の合理主義が生む「総論反対、各論賛成」
昨今というか以前からですが、とくに北海道など、日本の土地が外国資本に買われている統計が出ています。
いまBSフジLIVEプライムニュースで「外資による森林取得」についてやっています。
2006〜2021年で、以下が外資購入分とのこと。
『全国23道府県で303件、2,614ha(東京ドーム556個分)
→北海道が最多で236件1,857ha
→ニセコ観光圏で1/3超の632ha
(倶知安373ha、ニセコ153ha、蘭越106ha)』— 穂高 唯希|新刊 #シンFIRE論 (@FREETONSHA) February 21, 2023
先祖から受け継いだ土地が外国資本に買われることを、両手を広げて歓迎する人はあまりいないでしょう(例:バブル期に三菱地所が買ったロックフェラー・センター)。
つまり、総論としては反対。
しかし、いざ自分が物件を売りに出して、
- 日本人から2,500万円で買付申請がきて、
- 中国人から3,000万円で買付申請が来たら、
どうでしょうか。
背に腹は代えられず、3,000万円で中国人に売る人は少なくないはずです。
つまり、各論としては賛成。
このように、利己主義という損得勘定で動く個人が存在する以上、市場原理だけに任せていると、
総論反対(自分以外が外国資本に土地を売るのは反対)
各論賛成(自分が外国資本に土地を売るのは賛成)
といったことが起こるわけですよね。
制度や枠組みを整えないかぎり、この流れは続くのでは。不動産の売り手としては、「お金のある人に高く売りたい」と思うのが普通でしょうから。
背に腹は代えられぬ、というわけですね。
まとめ
以下の現象が身近にみられるようになっています。
- 中国の不動産価格が下落して以降、日本の不動産に購入意欲を示す中国人が散見される
以下の記事と酷似したことが、身近に起きていますね。
ちなみに
中国は土地の所有権がなく、99年の借地でしかないので、外国の所有権が魅力的に映る事情もあるでしょう。
地方政府に立ち退きを求められれば、所有権がないので強制退去になります。「拆」という文字を書かれると、取り壊し決定です。
日本の不動産に対する需要増が大きな流れであるならば、日本の不動産価格や不動産株にも影響として出てくることが考えられそうです。
英運用大手が「日本のミニバブルをみすえて不動産株を買っている」報道も出ています。7月末の組み入れ首位は「三菱地所(8802)」。
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深圳の不動産価格はすでに6月時点で下がってきていました。
地所の株価は11連騰となっています。
中国の不動産は特殊です。