FIRE後の収支シミュレーション、想定する運用利回りはいくらが穏当か

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FIRE後の収支シミュレーション、設定する運用利回りはいくらが穏当か

以下のご質問に回答しています。

FIRE後の収支試算をチェック&アドバイスをください。

妥当な運用利回りはどの程度でしょうか。

ご質問

題名: 【質問】2023年12月末日付での退職を決意、退職後の収支シミュレーションに欠陥がないかチェック頂きたい。

メッセージ本文:
三菱サラリーマン様

はじめまして。
〇〇と申します。

3年前に三菱サラリーマンさんのブログに出会い、
支出の最適化、階段は資源である等の名言に心を打たれ、
私も豚舎を抜け出し自由な生活・人生を満喫し、
DieWithZeroであの世へ旅立ちたいなと考えるようになりました。

2023年4月に異動(今までは子会社に出向してました)で本社に帰って来まして、
会議と仕事の実態に呆れてしまったのと、同僚たちが真面目を装い気合満々を装い、でもどこか暗い感じで仕事をしているのを見て、
「こりゃあかんわ、退職タイミングを早めよう」と決断しました。
(2023年12月末日を退職日として調整する計画)

つきましては、
退職(FIRE)後の収支シミュレーションに致命的な考慮漏れがないかどうか、
をチェックして頂きたく、今回、問い合わせをさせて頂きました。
下記に情報をまとめましたのでチェック&アドバイスを頂けないでしょうか?

自分が作ったExcelのCFシミュレーションシートがあり、
それを見て頂いた方が文字だらけの私の質問文よりかは、
スッと数字が頭に入ってくるかなとも思っております。

●私の属性・現況
・現在41歳
・大手食品メーカ勤務、18年目
・既婚(家計は別々)
・子供なし(作る予定なし)

●(現在)収支と資産

・月ごとの収支

  • 収入:90万円
  • 給料:70万円
  • 副業:12万円
  • 配当:8万円
  • 支出:40万円
  • 家賃:10万円
  • 生活費:20万円(食費・光熱費・通信費・交際費等)
  • その他:10万円(冠婚葬祭・旅行等で120万円/年)

・資産

  1. 持株会:3,300万円(配当なし)
  2. 日本株:2,500万円(税引後配当82万円/年)
  3. 海外株:850万円(税引後配当18万円/年)
  4. 投信(SP500系):550万円
  5. 年金(SP500系):650万円
  6. 現金:1,100万円

●(退職後)収支シミュレーションと資産再分配計画
・収入
-給料は0になると仮定
-副収入は12万円/月が永遠に続くと仮定
-配当は年5%で成長を続けると仮定
※退職金1,000万円、失業給付80万円程度が一時収入として想定
・支出
-原則変わらず40万円/月と仮定
※失業給付80万円分は全部国民年金・健康保険に消えると想定
※失業給付受領後は配偶者の勤める会社の社会保険に入るので、
私が負担する社会保険料(年金と健康保険)は0円と想定

・資産再分配計画

  1. 持株会:
    3,300万円は利益分が税金で取られるので3,000万円程度に目減りする見込み。
    この現金3,000万円は5年かけて600万円/年ずつ②と③の資産割合が同じになるよう投下予定。
    日本株はTOPIX17業界の1-2位を中心に連続増配・非減配系の個別株63銘柄で構成。
    海外株はVYM2,HDV2,SPYD2,VOO3,VT1,AGG1の割合で構成。
  2. 日本株:2,500万円(税引後配当82万円/年)
    上記①から資金追加されるのみで原則取り崩ししない
  3. 海外株:850万円(税引後配当18万円/年)
    上記①から資金追加されるのみで原則取り崩ししない
  4. 投信(SP500系):550万円
    取り崩ししない
  5. 年金(SP500系):650万円
    取り崩ししない
  6. 現金:1,100万円
    退職金1,000万円が加算され、合計2,100万円程度になる見込み
    2025年以降不足するであろう生活費に充当していく予定

大変、お忙しい日々を過ごしてらっしゃるかと思いますので「回答不可」というお返事でも構いません。
これからも変わらず”三菱サラリーマンブログ”を応援させて頂きます!
突然の問い合わせ(というか相談メール)で申し訳ありませんでした。

以上、ご確認よろしくお願い致します。

こんにちは。いつもご覧いただきありがとうございます。弊ブログがお役に立っていれば幸甚でございます。

『何もしないほうが得な日本 「消極的利己主義」の構造』

会議と仕事の実態に呆れてしまったのと、同僚たちが真面目を装い気合満々を装い、でもどこか暗い感じで仕事をしているのを見て、

なかなか難しい問題ですよね。茶番に見えてしまうこともありました。加えて出向から本社に戻ると、より封建的に感じる面もありますよね。

日本特有ともいえる組織原理の解明を試みた良書を共有します。非常に説得的でした。

『何もしないほうが得な日本 - 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 (PHP新書)』

増配5%前提

さて、以下がいただいたシミュレーションです(公開ご了承済)

増配5%前提というのは、現実的な範疇かと思います。

株式に関して、下式が成り立ちます。

  • 配当成長率 ≒ 利益成長率 ≒ 株価成長率

株価も配当も、その源泉は利益なので、上式のように相関するということです。

米国株の成長率は過去平均で7%程度でした。今後は保守的にやや鈍化するとみて、3~5%程度は野心的でない値。したがって、増配率5%は無理からぬ範疇と言えるかと思います。

退職後の収入・支出・運用利回り、すべて保守的に試算されています。とくに増配は直近実績で年率15%とのことですが、5%に設定しているのは穏当な水準かと思います。

年平均成長率というのは、あくまでバラつきが相当あるなかで収れんした値ですね。したがって、突出した値をもとに予測を立てず、「よいときもあれば悪いときもある」という心得のもとで試算することが肝要かと思います。

FIRE後はむしろ納税額が増えた

※失業給付80万円分は全部国民年金・健康保険に消えると想定

また、こちらも穏当な想定かと思います。会社員を辞めて収入を得ると、収入設計をして法人化等で対策でもしないかぎり、国民健保はかなり上がります。

私もFIRE後にまとまった収入があった年は、国民健康保険料と市民税の負担が凄まじい額になりました(笑)。納税額はFIRE前より増えました。

その後ご家族の扶養に入られる場合は、社会保険料の負担は退職の翌年だけ、一時的なものになりますね。

まとめ

退職後の試算をする際に、肝になるのが資産運用の想定年率ですね。

拙著『経済と精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』では、穏当な水準を根拠とともに提示したので、ご興味あればご覧ください。

むろん、個別株等でリスク選好的に行く、もしくは良好な金融環境が続けば上振れます。

ただ退職後は、一般的に、会社員時代よりも収入を予測しづらくなると思います。そのような場合に備え、希望的観測に基づく数字ではなく、穏当な試算とすることが一案かと思います。

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