戦争等の有事による「投資信託の暴落リスク」を検証する(全世界株式:オルカン)

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戦争等の有事による「投資信託の暴落リスク」を具体的に検証する

以下のご質問にお答えしています。

読者

戦争など有事が起きた場合、投資信託の価値が暴落するリスクはありますか?

ご質問

題名: 「資産凍結」のリスクについて

メッセージ本文:
穂高様

いつも楽しく記事を拝読しております。

昨年から始まったウクライナ紛争の中で、ロシアに対する米欧の制裁として、ロシア高官のドル建資産を凍結する、というものがあったと思います。

私は現在、積立NISAで全世界株式型の投資信託を積み立てているのですが、全世界株式の中には日本との外交関係が必ずしも芳しくない国の企業も含まれています。

例えば将来的に日本がある国と緊張関係、もっと言うと戦争状態に陥った場合、投資信託という形で間接的に保有するその国の資産が凍結されて、投資信託の価値が暴落するというリスクはあるのでしょうか

穂高様のお考えを伺えれば幸いです。

結論:戦争当事国が指数から外されると、そのぶん基準価額が下がる

「eMAXIS Slim 全世界株式」の運用会社でもある三菱UFJ国際投信に確認した内容をふまえて結論を示すと、以下のように言えます。

結論

投資対象国が紛争地域や交戦国になると、指数から外される可能性があり、その場合投資信託はその国を組み入れた分、価格が下落する。

したがって、投資信託の投資対象国が偏っていると、有事の暴落リスクが応分に高まる。

例:中国が戦争当事国であり、指数算出会社(例:MSCI)が中国を指数から外すと、中国に 30%投資する投資信託の基準価額は 30%下落

ご質問文にあるような「ある国に対する資産凍結」自体は投資信託の価値と直接的なかかわりは考えにくく、むしろ取引所が閉鎖されるなどして取引停止となり、流動性がなくなってしまうことで価値が下落することになります。

例:中国と台湾が戦争した場合、オルカンは5.3%下落

背景と具体例は、以下のとおりです。

結論の背景

戦争などの有事で、

  • 特定の国の取引所が閉鎖されたり、
  • 米国の株式市場に上場する紛争当時国の会社の株取引が停止(実例:ロシア関連ETFは2022年に取引停止)になると、

指数算出会社が紛争当事国の銘柄を指数から外す可能性があり(実際にウクライナ戦争でロシアはMSCIから外された)、その場合は運用会社は評価額をゼロにして、投資信託の基準価額に反映される。つまり評価額ゼロで損切りとなる(実際にオルカンでもロシアが占める割合分が損切りとなり基準価額が下落した)

したがって、たとえば全世界株式は以下のような構成ですが、

出所:三菱UFJ国際投信

仮に今後、中国と台湾が戦争状態となり、指数算出会社(MSCI)が両国の株式を指数構成から外した場合、5.3%(=3.6+1.7)がゼロ評価となり、たとえばオルカンの基準価額が1万円だった場合、基準価額が530円下落します。

実例:ウクライナ戦争後、ロシア株や債券を組み入れた投資信託は暴落

実例として、ウクライナ戦争でロシア株に何が起こったのかを以下まとめています。ロシアの株式や債券を組み入れた投資信託は、軒並み暴落し、2023年8月現在も回復していません。

このような有事のリスクを軽減するためには、有事リスクの高い新興国を避けたり、投資対象地域を分散させることが有効と考えられます。

ポイント

ロシア株式:取引停止前から暴落し、停止後も下落

たとえば楽天証券が扱うロシア株式ファンドの価格は以下のように暴落しています。

ロシア株式ファンド(出所:楽天証券)

この投信は2022年2月28日以降、買付・解約の申込受付が停止されました。したがって上図を見ると停止前から暴落し、停止後もさらに値を下げています。

ロシア債券:取引停止前に暴落、取引再開後も低迷

ロシア・ボンド・オープン 毎月決算型(出所:楽天証券)

この投信は2022年3月2日に買付・解約の申込受付が停止されたのち、2022年8月1日に解約受付が再開されました。

したがって、取引停止前から暴落し、取引再開後もわずかに変動するものの、低迷し続けています。

このように、交戦国が発行する債券や株式の価値は、取引停止前から暴落し、以降も低迷していることがわかります。これはロシア関連のほかの株式・債券ファンドも同様の傾向を示しています。

まとめ

  • 投資対象国が紛争地域や交戦国になると、指数から外される可能性があり、その場合投資信託はその国を組み入れた分の価格が下落する
    例:中国と台湾が交戦した場合、オルカンは理論上5.3%下落
  • 実例として、ロシア株や債券の投資信託は、ウクライナ戦争で暴落し、その後も回復していない
  • 有事リスクを軽減するためには、投資対象国を分散させることが有効と考えられる

ほかご参考として、三菱UFJ国際投信から確認したことを併記しておきます。

三菱UFJ国際投信に確認したこと
  • 運用会社でも取引はできないので、株式は売却できない
  • 2022年3月4日の「お知らせ」に掲載したように、指数算出会社が「ロシア株式を指数から除外する」と発表した関係で、その指数に連動をめざしたファンドも同様にロシア株を除外することになった。その際、売却できなかったものに関しても評価をゼロにすることで、ロシア株の影響を除外できる。基準価額にはマイナスの影響で、組み入れ比率が3.9%なら、それがゼロになる。1万円に対して390円下落するイメージ
  • 先般のようにロシアでの取引所が閉鎖されて、流動性がなくなると評価ができない。ファンドの構成銘柄がADRならば、ADRの取引停止の影響を受ける。ファンドの構成銘柄が現地株式ならば、現地の取引所閉鎖の影響を受ける
  • 中国が台湾に軍事侵攻した場合、中国がロシアと同じ評価を受ける(つまり指数算出会社(例:MSCI)が中国を指数から外す)と、中国を組み入れた投信はその比率分、基準価額が下落する
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