高配当で心地よいポートフォリオを作るための分散のしかた
本記事は以下のような方に向けて記したものです。
投資家
配当を多く得たい
バランスのとれたポートフォリオにしたい
ポートフォリオ全体で緩やかな値動きをめざしたい
分散効果を得たければ、業種の特徴を理解して分散する
配当を多く得るには、個別株投資が一案です。自分で高配当・増配株をタイミングを見計らって購入することで、より多くの配当を受け取ることができます(もちろん、高配当株ETFでもよいです。ただし分配利回りは分散されるぶん個別株より低くなることが多いです)。
一方で、一般に個別株投資は値動きが激しくなりやすいです。なぜなら、セクターを適切に分散していなければ市場平均より偏るからです。
そこで、卵を1つのかごに盛るな、分散投資が大事とよく言われますね。
ただひとくちに分散投資といっても、いろいろです。たとえば同じセクターのものを10社購入するより、異なるセクターを1社ずつ購入したほうが分散効果の向上が期待できます。
では次に分散のしかたについて具体的に例示します。
例①:ウォーレン・バフェット氏のポートフォリオ
たとえばウォーレン・バフェット氏は、以下銘柄を保有しています(データ元:バークシャー・ハサウェイ社「Form 13-F」、2023年3月末時点)。
- ハイテク株:46%
アップル(AAPL) - 銀行株:9%
バンク・オブ・アメリカ(BAC) - エネルギー株:11%
シェブロン(CVR)・オクシデンタル(OXY)
この4銘柄だけで、バフェット氏のポートフォリオの実に66%を占めます。集中投資でありながら、以下のように均整がとれています。
- 地政学リスクが高まったり、インフレが加速した場合、エネルギー株にとって好材料
- 一方、インフレが沈静化し、金利が低下した場合は銀行株にとって悪材料ですが、ハイテク株には好材料
つまり、市場がどう動いてもバランスが取れるポートフォリオになっています。
例②:日銀の金融政策に左右されにくいポートフォリオ
日本株でも同様のことが言えます。
たとえば日銀の金融政策正常化(≒利上げ)による値動きを緩やかにする分散されたポートフォリオを作りたい場合、以下のどちらも買うことが一案です。
- 銀行株(利上げが好材料)
- 不動産株(利下げが好材料)
金融政策の動向に賭けず、左右されにくい偏らないポートフォリオを作りたい場合、好適となる一例です。
実際に2023年7月にYCC柔軟化が決定されたときも、銀行株が上昇し、不動産株は下落しました。どちらも保有している場合、値動きが相殺され、配当は両者から受け取ることができます。
まとめ
以上から、以下のようにまとめられます。
- 安定したポートフォリオを作るためには、セクターの特徴をふまえて分散することが一案
- 例①:インフレの上下に対して中立としつつ地政学リスクに備える → エネルギー株 + ハイテク株 + 銀行株
- 例②:金利の上下に対して中立とする → 銀行株 + 不動産株 or Jリート など
もちろん、市場全体の心理が悪化するような突発的な事象に対しては、あらゆるセクターが脆弱になることもあり得ます。
一例としてこんなのが機能することもあります、といった文意ですね。