米国債の格下げを受け長期金利が一段高、米国債は買い場か

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米国債の格下げを受け、米国株・日本株ともに下落

格付大手のフィッチが、米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」へと1ランク引き下げました。

米国債の格下げは、2011年8月にS&P社が実施して以来12年ぶりで、前回はリスク回避で株安、そしてむしろ米国債価格は上昇しました。今回は株安・債券安となっていますね。

格下げによって市場が債務リスクをあらためて感じることにはなったと思いますが、リーマンショック以降政府債務が膨張し続けてきた以上、格下げ自体は時間の問題だったと思います。したがって特段の意外性はありません。

米国債の格下げ背景

今回の米国債の格下げには、以下の背景が指摘されています。

  1. 米国債増発
    前四半期より7%ほど多い発行
  2. 強い米景気
    ADP雇用が市場予想の2倍近い強い数字
  3. 日本の長期金利上昇
    YCC修正によって、低金利で外債(米国債)に向かっていた日本マネーが日本国債に回帰か

リーマンショック以降、増加し続ける米政府債務

米政府債務対GDP比(出所:FRED)

上図は対GDP比の米政府債務ですが、実際に2007年以降は政府債務が毎年計上され、積みあがっている状況です。特にコロナショック後の財政支出は大きいことがわかります。

米政府債務はこのように毎年膨張しているので、格下げはいつ起きてもおかしくない状況でしたからこれ自体は特に意外性はありません。格付け大手S&Pは先んじて引き下げていましたし。

債務は民間から政府へ移転

しかし市場に対してあらためて債務リスクを認識させ、楽観的な市場に水を差すには十分ですね。

米国の政府債務は特にリーマンショック以降増え続けています。リーマンショック前は民間債務が危機の発端となったわけですが、リーマンショック以降は債務が民間から政府へ移転している感があります。これは以前も記したと思います。

ただ米国は米ドルという基軸通貨を有しているので、恒常的に米ドルと国債に対する需要が存在し、理論的には政府債務が増えようが国内外からの需要があるかぎり国債を発行して資金調達できる特権的地位があります。

しかし裏を返せば、米国債に対する需要や信用が落ちると、財政危機リスクが高まることになります。上段の背景3つ目に「日本マネーの米国債に対する需要低下」が挙がっているのはそうした背景があります。日本は米国債の最大の保有者ですから、影響が相対的に大きくなります。

米国債市場は世界最大の有力な投資先の1つでもあり、受け皿でもありますから、ただちに需要が急減することは考えにくいと思います。

ただ昨今株式市場はダウが13連騰するなどかなり強気でしたし、株価がいつ調整してもおかしくない状況である意味で格好の格下げです。

格下げにより長期金利が一段高、米国債は買い場か

米国債ETF【TLT】の価格

米長期金利は 4.1% 近くまで上昇。歴史的にもこの水準は高く(=債券価格は安く)、「債券市場は近年まれにみる買い場である」とする見方も増えてきました。

関連記事:米ピーク金利が近づいた今こそ長期債を買うべき時-歴史が語る(Bloomberg)

たしかにいずれ利下げに転じることを見すえてそろそろ買い始めてもよい水準に思えますが、買う場合はあくまで一気に入れず、少しずつにしたほうがよいと個人的には思います。

市場ではジャクソンホールで今後インフレターゲット変更の憶測も出始めていますから、長期金利のさらなる上昇も頭に入れておく必要があるかなと思います。

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