日本株は、「日銀の政策修正なし、YCC据え置き」を織り込む動き
7月24日の日本株は、YCC据え置きを織り込む動きでした。
下図のように、中央銀行が長期金利と短期金利を人為的に調節することです。

YCCのイメージ(出所:Quick Money World)
銀行株↓ 不動産株↑ = YCC据え置きを織り込む動き
7月24日の日本株市場は、具体的に以下のような動きでした。
- 銀行株が下落
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は一時3.3%安、三井住友フィナンシャルグループ(8316)は一時2.7%安 - 不動産株が上昇
三菱地所、三井不動産など大手不動産や、Jリートが総じて堅調
ではここで、なぜ上のような動きがYCC据え置きを織り込む動きなのか理解するために、「金利と銀行」「金利と不動産」の関係を確認しておきましょう。
YCC修正が銀行に好材料となる理由
銀行は調達金利と貸付金利の差(純金利マージンといいます)で利益を得られます。
日銀が長短金利をおさえつけていることで、純金利マージンは小さくなり、銀行は金利差による収入を得にくい状況が続いてきました。
YCC政策修正ならば、銀行は純金利収入を得やすくなるので、銀行株の上昇要因です。逆にYCC修正なしだと、銀行株の下落要因になるというわけです。
YCC修正が不動産に悪材料となる理由
逆に不動産価格にとっては、YCC修正は悪材料です。
不動産は大きな買い物なので、通常は住宅ローンなど借金をして買います。金利が上昇すると借金の利子負担が重くなるので、不動産を買える人がかぎられ、需要が減退し、不動産価格が下がる要因になり得ます。
以上をふまえると、銀行株が下落し、不動産株が上昇した昨日(7/24)の日本株は「日銀がYCCを修正しない」というシナリオを織り込んだ動きだったことがイメージしやすくなったかと思います。
仮にYCC修正となれば、サプライズになる
YCCを修正しないシナリオを日本株が織り込んだので、仮に今週日銀が「YCC修正します」という発表があると、サプライズになります。
銀行株は大きく上昇し、不動産株は大きく下落するケースも想定されます。なぜなら、市場は予想外のことに大きく反応するからです。
そして、YCCの修正は、構造上、サプライズでおこなわれる可能性に留意しておきたいところです。
関連記事:YCC政策撤廃はサプライズでおこなわれる可能性に留意
7月18日のG20で植田総裁はYCC修正観測に水を差す発言をしており、あくまでメインシナリオはYCC修正なしだとは思いますが。
ちなみに
今般、日本株がYCC修正なしのシナリオを織り込んだ背景として、ロイターの「今週の金融政策決定会合で日銀が現行の金融政策を据え置く」という”関係筋”による報道があると思いますが、関係筋というあいまいな情報発信元ならば、どんな内容の記事でも書けてしまう。相場を意図的に動かすこともできてしまいますね。