いま買い時のJリート銘柄とは
まずJリート市場全体の概況としては、TOPIXに比べて弱く、分配利回りは4%台と過去10年間において高い水準です(下図参照)。
その背景として、以下が挙げられます。
- 日銀の金融政策修正(金利上昇によって、不動産価格、空室率、賃料に対する悪影響への懸念)
- オフィス供給が高水準(2023年問題)
Jリートの投資戦略
Jリートの買い時を探るうえで、まず以下の性質と戦略を確認します。
- Jリートはそもそも高配当になる性質
- 上値追いではなく「逆張り」が基本戦略
① そもそも高配当になる性質
まずJリートは、利益の90%以上を配当にまわすことで法人税の支払いが免除されます。
したがって、一般の株式に比べて内部留保は少なく、ファンド自体が内部留保を活用して成長をめざすというよりも、投資家への安定配当を重視する性質を帯びます。
② 逆張りが基本戦略
日本の人口が趨勢として減っていく現状をふまえると、不動産市場も全体として長期成長する公算は高くないと言えます。
したがって、長期成長を前提とした戦略で機能する「上値追い」よりも、あくまでタイミングをねらっていく「逆張り」を基本戦略としています。
また、認識しておきたいのは、「大きな下落局面では、大口の投資家は個別のリートをちまちま売らずに、流動性の高い指数で一気に売るため、指数を構成するJリートは一律で軒並み売られる」という傾向です。
たとえ住宅系や物流施設系のリートで、賃料が安定していても、です。ここに価格のゆがみが生まれます。こうしたゆがみを逆張りで突いて、高い分配金を得る戦略が有効です。
Jリート最古参:日本ビルファンド投資法人(8951)
では以上のJリートの基本事項を踏まえたうえで、個人的にいま購入を検討できる銘柄は、日本ビルファンド投資法人です。
私もJリートは長らく見てきましたが、日本ビルファンド投資法人といえば、スポンサーが三井不動産で、Jリート最古参銘柄の1つ。分配利回りは一時期2%台でした。それだけ株価が成長した銘柄です。
現在の分配利回りは4%であり、近年では考えられなかった数字です。オフィス系リートですから、テレワークの普及などで株価はコロナショックで低迷。現在は当時と同水準まで低下しています。
直近の決算を確認すると、空室率の上昇は鈍化傾向にあり、財務レバレッジも高くありません。ただ、向こう1年は内部留保を取り崩して分配金に充てています。
分配利回りの観点から逆張りを考えるには悪くない水準に見えます。ただし逆張りはさらに下がる可能性も念頭におくと、数回に分けて買っていくほうが保守的ではあります。
なお、本銘柄はちょうど6月決算なので、6月28日(水)までに買えば9月に1口あたり11,500円の分配金(税前)を受け取ることができます。
関連記事