FRB利上げによりリーマンショック再来なるか、住宅市場を確認

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利上げから住宅価格の下落までの期間

通常、金融引き締めで金利が上昇すると、住宅ローン金利の上昇と住宅に対する需要が減少するため、住宅価格の上昇率は鈍化する傾向がみられます。

当時、FRBは2004年6月に金融緩和を終え、金融引き締めに転じています。当時1%だったFF金利は、06年6月末には5.25%まで上げられました。住宅価格が対前年同期比で明確に減速しはじめたのは、2006年です。

つまり、金融引き締めから住宅価格下落に転じるまで約1年半のタイムラグが当時あったことになります。

当時、住宅を担保とするサブプライム・ローンは住宅価格の下落によって担保価値が下がるため、借り換えにはより高い金利を求められ、滞納率が上昇。サブプライム・ローンの滞納率は2007年頃から上昇し、関連証券は不良資産化し、のちのリーマンショックにつながりました。

住宅価格は下落中も、住宅ローンの質は当時より良好とみられる

あしもとの住宅価格を確認すると、引き締めから半年弱となる2022年6月から住宅価格が急落しています。したがってリーマンショックのような住宅バブル崩壊と連想しやすいですが、1つポイントとなるのは住宅ローンの質でしょう。

当時のリーマンショックでは、低所得者向けのサブプライム・ローンが住宅価格の下落で借り換えが難しくなって滞納率が上昇しました。これに加えて、きわめて複雑な証券化商品(たとえば、サブプライム・ローンを担保として証券化したものを、さらに証券化する、さらには低格付けにもかかわらず保証会社に保証させることで高格付けにする、ひいては複雑すぎて格付け会社も正確に格付けできないなど)が世界中に拡散していました。

下図データのように、中列のプライムローン、いわゆる信用力の高い借り手向けの住宅ローンは、滞納率は最右列のサブプライム・ローンと比べて非常に安定していたことがわかります。

住宅ローン滞納率(Gorton「The Panic of 2007」全米経済研究所)

当時のサブプライム・ローンに相当する「ノンエージェンシーMBS」は、2022年時点で約5%と06年当時の20%(出所:金融危機の経済学)より低い水準です。

したがってこの観点にかぎれば、足もとの住宅価格が急落しているからといって、リーマンショックの再来を連想するのは悲観的という所感です。

ただし、暴落というのは常に形を変えて現れますね。低金利が長く続いてきたところで急速な利上げですから、蓄積したひずみがいつどのような形で現れるか。ここは慎重に見たいです。

確信の持てるときに大きくポジションを張る。そうでないときは、どちらに転んでもよいように資金管理をしておくことが肝要と思っています。

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