FIREは黎明期から成熟期へ(NHKクローズアップ現代)

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FIREは黎明期から成熟期へ(NHKクローズアップ現代)

2023年4月12日、NHKのクローズアップ現代で「FIRE」が特集されました。

放映内容を受けて考察したことを以下記します。

FIRE特集での「焦点」が変わった

私が2021年に出演したフジテレビ/Mr.サンデー、TBS/ニュースキャスター、テレ朝/羽鳥慎一モーニングショーでの概要と、今回のクロ現の概要を比較します。

FIRE特集内容の変化

2021年

  • FIREとは
  • 達成方法
  • 達成後の生活

2023年

  • FIREとは
  • 達成者の労働観、人生観の変化

メディアではキャッチーにするために「FIRE=働かずに生きる」といった趣旨で語られがちです。私も実際に出演してそう感じました。そこは2021年、2023年とも共通しています。ただし実際には、FIREを達成した発信者の多くに共通するのは「働かないこと」が主眼ではなく、形を変えて社会と関わっていますね。

さて、今回のクロ現で印象的だったのは、FIRE達成者の労働観・人生観の変化に焦点を当て、FIREにも向き・不向きがあるというか、FIRE後のかたちも人それぞれであることが婉曲的に描かれていました。

つまりFIRE黎明期であった当時は、「どのように達成したか」に焦点が当たり、しばらく時が経ったいま、「FIREしてどうなったのか」に焦点が当たったと言えます。

FIREは、人生における究極的な問いかけ

「FIREしてどうなったか」という問いは、人間が生きるうえである意味で根源的な問いです。

なぜなら、FIREという、基本的な欲求が高次に満たされた状況になると「自分は1度きりの人生でどうありたくて、どう生きていきたいのか」という究極的な問いに最終的に向き合うことになるからです。

FIREは「正解」ではなく、人生と向き合う「方策」

今回の放送では、FIRE達成者のうち以下三者三様であることが描かれています。

  • Aさん:経済と時間の自由を得て、家族とかけがえのない時間を過ごせることや、趣味に打ち込めることなどに大きな充実を感じている人
  • Bさん:時間を持て余し、家で過ごす時間が増えたことで家族との不和などにもつながり、メンタルのカウンセリングを受けている人
  • Cさん:自分の成長を感じたくて、会社で仕事をすることでその成長を感じられることに気づき、再び会社に属することを選んだ人

つまりFIREというものは、ある意味で自分の価値観や人生観をこれでもかというぐらい問われる状態だと言えます。だからこそ、達成者(A・B・Cさん)でもこれだけちがいが生まれます。万人に通じる普遍的な生き方の「正解」があり、そしてその正解がFIREなら、三者三様という結果にはなりません

Aさん、Bさん、Cさん、お三方ともFIREしたことで、FIRE後の自分を徹底的に直視できる環境になり、だからこそ自分をより深く知れたのではないでしょうか。

Bさんは、FIRE達成後に最も「たいへんな例」として描かれていたような位置づけですが、「自分はFIREするとこうなるのか」という自分の一面を知ることができた、という前向きな受け止め方もできます。

つまりFIREは「生き方における万人にとっての正解」とはかぎらず、「自分を深く見つめなおせる環境」という人生を考えるうえで意義深い一面があると思います。

だからこそ見つめなおせた結果、今の状態を謳歌する人、再び会社に属することを選ぶ人、別の生き方を模索する人などのちがいが生まれると。

FIRE後にいずれ突き当たる「自分はどうありたいのか」という問い

今後、Chat GPTに代表されるようにテクノロジーの指数関数的な進化によって、多くの単純労働が必要なくなり、ベーシックインカムに近いもので給与が代替される可能性もあります。

その場合、だれもがFIREに近い状態になります。そのときに問われるのは、まさに「自由な時間をどのように生きていくのか」という根源的な問いの答えをだれもが模索することになります。その意味でFIREはいわば、時代の先を行っているのかもしれません。

自分の価値観や人生観を突き詰めて自問自答したうえでFIREしたならば、自分のことをよく理解できています。したがって、FIRE前後で理想と現実のギャップが小さくなります。

もちろん、「まずは今の状況を変えたくて、苦境から脱したくてFIREをめざす」というのも1つの答えですよね。そうしてまずは自分を守り、自分を見つめなおすことも時に必要ですよね。

ただ、最終的にはやはり「1度きりの人生で自分がどうありたいのか」という根源的な問いに突き当たると思います。

  • 趣味に没頭したい
  • 家族との時間を大切にしたい
  • 感謝されることがうれしい
  • 人の役に立てることがうれしい
  • 日本のためになにかをしたい

人によっていろいろだと思います。

私も、私なりにFIRE後の生き方の方向性の軸になる答えを見つけたと思っています。もちろん、今後変わっていくかもしれません。万物は流転するので、あくまで現時点での答えです。

多くの人に共通するであろうひとつの答えとして、新刊「#シンFIRE論」から感じ取っていただけると思います。

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