資産ポートフォリオ
現在のような信用不安の拡大局面では、市場は荒れやすいですね。
平時から備えておけば、いざリスクシナリオが懸念される状況でも、一定の泰然さを保てるものと思います。まさに『騒がしい世界で「主体的」であれ』です。
資産ポートフォリオを一例としてご参考に供します。
「しなやかなポートフォリオ」をめざしてきました。頑健でありつつも弾力性があり、ポキッと折れないことです。過度に悲観的でも楽観的でもない、均整のとれたポートフォリオが望ましく思います。
資産が増えてくると、守りたい気持ちが強くなりやすいですね。「得る快楽」より「失う恐怖」のほうが、一般的な人間心理として先立ちやすいからでしょうか。そのような状況にも適した構成だと実感しています。
株式:36%
株式を保有することで、「資本主義の継続、世界経済の成長」というシナリオに一定以上は賭けるかたちです。
したがって、基本的にはホールドですが、ひずみ(バブル)生成・崩壊の短期化の傾向と、金融緩和によるひずみの蓄積が進んできたことを念頭に、ときに空売りを交えながら臨機応変を心がけています。
不動産:24%
金利上昇局面におけるリスクは住宅ローンの変動金利です。
金利上昇に備える場合、固定金利のほうがよいことになります。ただしローンを組むと保証料が数十万円かかるので、現金で払える場合は現金払いが望ましいと思います。もちろんレバレッジをかけて不動産投資をしたい場合はそのかぎりではありません。
また、投資というよりも、畑付きの土地ならば有事の際に耕せるという側面も見いだせます。
ゴールド:17%
ゴールドの保有は、以下2つの目的があります。
- 資産クラスの分散
- 通貨リスクの分散
先進各国では、通貨の乱発と債務の膨張が続いています。
政府は、国民から徴税し再分配する役割があり、政府債務の存在それ自体を否定するものではありません。ただし、膨張が過ぎると臨界点があることが懸念されます。ひとつ言えるのは、「錬金術はない」ということです。
国家は通貨発行権があるので、原理的にはいくらでも紙幣は刷れます。しかしもし仮に「いくら紙幣を刷っても問題ない」ならば、国民に10億円ずつ配って他国の不動産や食料を高値で買いあされることになります。そのような桃源郷は、見当たらないですね。
国民純資産を大幅に上回るほど身の丈に合わない純債務を政府が負い、経常収支の悪化が進むと、それらがトリガーとなって通貨に対する信用不安が生じやすくなると考えられます。ただ、それが「いつ」なのかはわかりません。「政府と民間をあわせた純債務の絶対額が大きくとも、増加をおさえられれば、国家に寿命がないので借り換えをし続けられる」という論理も成り立つので、もっと先のことかもしれません。
黒船来航前の江戸幕府のように、オランダから事前情報が来ていた状況でも、「今まで起きなかったから、これからも起きない」といった楽観主義は現実によく見られます。しかし、「いつかは起きかねない」と中長期的な頭の体操はしておきたいです。
さて、以上のような状況をふまえると、無国籍通貨とも言われるゴールドは資金逃避先として有力な候補になります。中長期的には金への逃避が底流としてあるとも想定しつつ。なお、現在のような信用不安では、まさにゴールドへの資金逃避が起きています。
FX:6%
FXは、主に米国株の買いポジションに対する為替ヘッジ(ドル売り)目的で使っています。
現金:14%
現金は、ある程度は確保します。運用に柔軟性を持たせるためです。
「バランス」と「心地よさ」
あくまで現時点の資産構成ではありますが、心地よいポートフォリオだと感じています。
なにかに依存することは、すなわち脆弱さ(打たれ弱さ)と隣り合わせですね。
金融市場に依存しすぎると、荒れた相場で心も荒れる可能性が高まります。
金融資本からの収益は平時からさほど重視せず、「あくまで資産構成のうちの1つでしかない」という位置づけにしておくと、適度な距離感でお付き合いできると思います。
ではほか何を重視するのか。社会性のある活動です。
「人間は、社会的な動物」だというのが持論です。周囲・地域・社会と主体的に関わることで、充実も得やすくなります。
金融資本は、数字の動きで社会を感じる。対して、事業や貢献活動などは、「人とのかかわりあい」や「数字で表されないもの」で社会を感じることでもあります。バランスよくやると、お金も心も満たされやすいと思います。
数字は可視化できて便利な一方で、際限がないので消耗しやすい側面があります。あらゆる「数字」とのお付き合いも適度な距離感が肝要と思います。