不安定な相場で生き残るために必要なこと
債券版恐怖指数(米国債の予想変動率:implied volatility)が、リーマンショック(2008年12月)以来の水準に高まっています。
グラフが上にいくほど、債券市場の不安が高まっていることを示唆します。
つまり、昨日までの市場の状態を簡潔にいうと、以下のとおりです。
金融当局
主な問題はインフレです。銀行は安定しています。
信用不安の心配はありません。安心してください。
債券市場
株式市場、債券市場、為替市場のいずれも大きく変動しています。投資家心理が悪化し、「お金が大きく減るかもしれない」という恐怖が先立ちやすい状況ですね。
自分へのシンプルな問いかけ
このような状況では、「そもそもの投資の目的」に立ち返ることが有効かと思います。
たとえば、投資対象が全世界株式や全米株式の場合、シンプルです。原理的に、以下シナリオ①・②のうち、①のほうに賭けたからこそ、あなたはいま投資をしているはずです。
- 人々の欲望を原動力に世界経済が成長し続ける
(楽観的) - 現行資本主義が後退し続け、崩壊する
(悲観的)
もし、シナリオ②に賭けるならば、あなたは今、投資をしていないはずですね。崩壊を前に精いっぱい今を享楽的に過ごすか、空売りに徹しているはずです。
投資をするということは、シナリオ①に賭けることであり、シナリオ①に賭けるということは、「暴落=買い増しチャンス」ということになります。
であれば、じっくり待って買い増すなり、徐々に買い増せばよい、ということになります。
このように、「投資とはどのような行為で、自分はそもそもどのシナリオに賭けたのか」という原理原則に立ち返ると、おのずと結論はシンプルです。賭けるシナリオを変えないかぎり、結論は変わりません。
「利益拡大の快楽」より「損失拡大の恐怖」が、人間心理を支配する
ではなぜたびたび株式市場が荒れ狂うかというと、多くの人々は、このシンプルなことに立ち返らずに「不安」という感情に駆られて取引するからとも言えるでしょう(もちろん、短期的な成績を問われる機関投資家などは、このかぎりではありません)。
私もFXで経験があるのですが、「不安」という感情に振り回されて売買すると、きわめて高い確率で負けます。利益が拡大する快楽より、損失が拡大する恐怖のほうが、人間心理を支配し、損失確定という行動に至るからです。いわゆるコツコツドカン(利益を小さく積み重ねたが、大きな損失で吹っ飛ぶ)ですね。
不安という感情を排するための「資金管理」
そのため、「不安」という感情をおさえるために、「心地よい水準の金額を投資にまわす」という資金管理が重要になってきます。
つまり、自分にとって適正なリスクを取ることです(ちなみに、定期的な収入が多ければ、買い増しの余地が大きいため、多くのお金を投資にまわす心理的なハードルも下がりますね)。
株式市場とはいわば、
「行き過ぎたもの(バブル)」があれば、「揺り戻し(暴落)」が起きつつも、人々の欲望が増していくことを原動力に、長期では成長を続ける、
といったメカニズムを今まで内包してきた生きものです。
であれば、今後かならず暴落や不安定な相場とお付き合いしていくことになります。お付き合いをする際には、冒頭の以下を思い出すことが一案です。
- 人々の欲望を原動力に世界経済が成長し続ける
(楽観的) - 現行資本主義が後退し、崩壊する
(悲観的)
投資をするということは、①のシナリオに賭けること。
賭けるシナリオを変えないかぎり、「暴落=買い増しチャンス」ということになる。
ただし注意点として、もし暴落した場合、暴落前の水準に回復するまでに数年以上がかかる場合もあります。そのことを念頭においたうえで、買い増すのか、買い増す額はいくらなのか、といったことを自分に問う必要があります。
関連記事
過去の一例です。
暴落では、自分の状況やメンタルを冷静に客観視できるかを問われますね。
暴落局面での買い増しにおいて、一例として、過去のデータを示しています。