相続財産の運用、悩んだうえで配当を積み上げてセミリタイアめざす

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相続財産の運用、悩んだうえで配当を積み上げてセミリタイアめざす

相続財産の運用の進め方について、悩みつつも、セミリタイアを考えている方からのご質問です。

相続財産の使いみちは丁寧に考えたいですね。単なるお金ではなく、親の思いもおもんばかり、受け止めたうえで、仁義の立つ活用を考えたいところです。

資本主義においては、そのシステムが覆らないかぎりは投資元本の大きさが資産形成で重要な要素にはなります。つまり、単なる無機質な数字の面だけでいえば、相続は投資元本が増えることにはなります。

ご質問

題名: 相続財産の運用について

メッセージ本文:
いつも楽しく拝見させていただいています。
相続財産の運用について相談させていただきたく連絡させていただきました。

○プロフィール
私(32歳)年収550万円
妻(32歳)年収180万円
長男(2歳)
※子どもは後1人考えています。
○資産
預金300万円
教育資金贈与1500万円
中古マンション
※ローンはいつでも返せる金額
○運用
私:NISA550万円(QQQ及びS&P500連動型投資信託
妻:積立NISA150万円(S&P500連動型投資信託)

この度父が病気でなくなり、4000万円程度を相続予定です。
今の計画では3000万円をVYMに先行投資し残りの1000万円を新NISAでS&P500連動型の投資信託を購入予定です。

現在は妻と私で年間160万円をNISAで運用しています。
今後は同額で新NISA枠でVYM2400万円とS&P500連動型投資信託1200万円を積立て、枠が埋まればVYMをひたすら積立てる予定です。配当についても再投資する予定です。

家族の状況にもよりますが、上記の運用で40歳でセミリタイアしたいと考えております。

投資信託は全額解約し予備費とした上で、配当金20万円と妻と私それぞれで月10万円程度稼いで子育てと趣味を楽しめたらなあ考えております。

お聞きしたいのは、上記計画に無理はないかという店舗数です。

3000万円を一括投資しますが、その後、積立と配当再投資で同程度の額を積み立て時間分散は一定できると思うのですがどう感じられますか。投資信託を選んでいるのは為替リスクを考えたためす。
父が積み上げてきた相続財産なのでリスクを取りすぎるのはどうかと考えるのですが、自分の理想を実現したい気持ちもあり、悩んでおります

上記以外にも何か思うところがあればアドバイスいただけますと幸いです。

  1. 現在の投資対象
  2. 相続財産の運用方法(4,000万円のうち、3,000万円をVYMに一括投資、残り1,000万円を新NISAでS&P500連動型の投資信託を購入)
  3. 円建て投資信託の為替リスク
  4. セミリタイア後の収入
  5. 相続財産を運用するということ

現在の投資対象について

現在の投資対象は、「QQQおよびS&P500連動型投資信託」ということで、米国株の成長に賭ける際に一般的に取り組みやすいオーソドックスな投資対象です。

相続財産の運用方針

相続財産の運用方法は、「4,000万円のうち、3,000万円をVYMに一括投資、残り1,000万円を新NISAでS&P500連動型の投資信託を購入」ということですね。

VYMは、米国高配当株ETFのなかでも安定感のある商品です。そのため、相続財産を、「米国株の今後の成長に賭けて、安定的に配当を積み上げて運用したい場合」に適すると言えます。

一括投資は「タイミングに大きく左右され、タイミングによっては含み損を長く抱える可能性がある一方、長期的な成長に賭ける場合は効率的となる手法」であることをご承知、ご理解のうえであれば、よいかと思います。「つみたてとの二刀流」ということなので、一定のバランスがとれます。

合計7,600万円をセミリタイア時点では運用に回すというご計画だと理解しますので、月20万円の配当金を得るのは、その後のVYMの増配も想定すると、近い数字になる目算は立ちますね(VYMの分配利回りは過去平均3.1%、税引き後は約2.1%、増配率は過去平均8%程度)。

また、投信は全額解約して予備費にされるのも、堅実と思います。買付余力となる現金は、暴落局面や下落局面で輝きます。投資チャンスにもなり、精神的な安定にもつながるので、重要ですね。

1点述べますと、余裕資金は意識的に多めに確保しておかれるとよいと思います。自由に動かせる資金が多いほど、精神的な余裕と暴落時の投資チャンスにつながります。

円建て投資信託でも、投資対象が国外なら、為替リスクはある

投資信託を選んでいるのは為替リスクを考えたためです

と記載いただいています。

おそらく、「投資信託は円建てなので、為替リスクはない」とお考えかと想像します。結論から言うと、「円建て投資信託でも、投資対象国が外国通貨の経済圏ならば、為替ヘッジがついた商品でないかぎり、為替リスクはある」となります。

これはたしかに誤解されやすい点かもしれません。「円建てなら為替リスクなし、外貨建てなら為替リスクあり」ではなく「投資対象が、外国通貨が使われる経済圏かどうか」がポイントです。

たとえば、S&P500連動型投資信託は、米国への投資、つまり「米ドルという外国の通貨が使われる経済圏への投資」です。そのため、為替ヘッジ付の商品でないかぎり、為替も反映されたうえで円建て価格が表示されています。よって、為替(米ドル・円レート)の影響は受けます。

為替の影響をなくしたい場合はFXの口座を開いて、米国株への投資額と同額分のドルのショートポジション(ドル売り)を建てることで可能です。

ただ、FXで為替ヘッジをやる際には、レバレッジをかけることができてしまうことから、メンタル管理や資金管理は必須で、注意点がいくつかあります。もし為替ヘッジを希望される場合は、まず以下もあわせてご一読いただくとよいかと思います。

久しぶりにFX(為替ヘッジ)であらためて痛感したこと

セミリタイア後の収入

配当金だけでなく、ご夫婦でそれぞれ月10万円を稼ぐ方針ということですね。これは、生活を経済的にも精神的にも充実することにつながりやすいと思います。

とくに、社会や人と関わるならば、なおのことと思います。人から感謝された対価としてお金を得るという行為は、お金を得るにとどまらず、「うれしい」「よかった」「だれかの役に立てた」「社会の一員としての責務を果たしている感」という精神的な充実を生みます。この感覚は、セミリタイアやFIREしているかどうかにかぎらず、前向きにたのしく生きる源泉にもなりますね。

このように「セミリタイア後にお金が足りるか」という観点だけでなく、将来をお考えになっていると、後悔するリスクなども相当おさえやすくなると思います。

相続財産を運用するということについて

父が積み上げてきた相続財産なのでリスクを取りすぎるのはどうかと考えるのですが、自分の理想を実現したい気持ちもあり、悩んでおります

と記されています。

たしかに相続財産をリスクにさらすのは、その性質上、気負いも生まれやすいですよね。

無計画にギャンブル性の高いものに相続財産をつぎ込む等はたしかにどうかと思いますが、ご尊父をおもんばかり、悩みながらも残りの人生を主体的に考えたうえで、理想を実現するために筋が通る、または仁義が立つと思える相続財産の使い方ならば、それは親も温かく見守ってくれるのではないでしょうか。

このたびはご愁傷様でございました。また、ご質問ありがとうございました。ご参考にしていただければ幸いです。

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