YCC撤廃への思惑がくすぶり続けるドル円相場

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YCC撤廃への思惑がくすぶり続けるドル円相場

事前に「YCC維持」の観測記事が出る

昨日1月18日(水)、日銀金融政策決定会合を控え、午前10時台にBloombergから、以下のような観測記事が出ましたね。

(ブルームバーグ): 債券市場では、新発10年国債利回りが一時0.485%と日本銀行の許容上限0.5%を下回り、約2週間ぶりの水準に低下した。18日の日銀金融政策決定会合では現状のイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)政策が維持されるとの見方が背景。先物は売り買いが交錯した後、上昇が鮮明になっている。

この報道と同時期に事前にやや円安ドル高に触れました。

その後、日銀からYCC維持などの姿勢が示され、急速に円安へふれるも、今度は円高へ、結局ドル円は元通りどころか円高へ振れてその日を終えました。

結局、読売新聞のYCC修正観測記事は、単なる飛ばし記事なのか、当局者の意図的なリーク(=海外の投機筋を灼くために裏をかく意図)か、真偽は不明ながら、いずれにしても総裁交代のタイミングでYCC撤廃を判断する可能性は残るため、撤廃シナリオが先延ばしとなった格好です。

午後になって一部報道で、西村経産相発言「我々は金融緩和から脱却する局面に近づいている」などが伝わるなか、ドル/円は129.60円近辺に下押し、日中高値から約2円の下落となるなど荒い「行ってこい」に。

YCC撤廃への思惑はくすぶり続ける

ドル円の壮大な「行ってこい(上昇したが、結局反落して元通り)」が示唆するとおり、市場は日銀の緩和脱却を意識される展開。昨日の記事で言及したように、やはりYCCへの思惑がくすぶっています。

「共通担保資金供給オペ」という柔軟オペ

日銀はYCC維持のほか、「共通担保資金供給オペ」の拡充を公表。これまでゼロ金利のみでのオペが、10年までの年限を都度決定できる「柔軟オペ」に変身。

要は年限(国債の2年物、5年物、10年物など)にかかわらず、柔軟に金利低下を促すことができるようになったと。新制度の貸付利率は、年限ごとの国債市場の実勢を踏まえ「金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促す観点から、貸し付けのつど決定する利率」ということなので、貸出利率によっては、金融機関が日銀から低金利で借り入れた資金で利回りの高い国債を買えば、その利回り分の利ざやを稼げるようになるということですね。日銀があまり国債を買わなくても金利低下を促せる可能性があると。これまで日銀があまりに国債を買い占めすぎて、市場に出回る国債が枯渇する現象への対策とみられます。

とどのつまり、「金利を低下させる手段が増えた」と言えそうです。

債券市場からは「そういう手があったのか」との声も挙がったそうですが、早速5年の資金供給オペの通知があり、国債利回りは0.51%から一気に0.37%割れまで急低下。一時的に急激な円安へつながりました。

その後、黒田総裁の定例記者会見終了と同時に売りに押される展開。NY時間には、12月米小売売上高や12月米PPIが予想を大幅に下回る弱い数字となると、米10年債利回りが一気に3.4923%まで低下。ドル円もアジア時間の安値128.22円を下抜けて一時127.57円まで売り込まれました。

今後日銀がとると思しき金融政策

  1. YCC撤廃
  2. 長期金利目標の引き上げ
  3. 長期金利変動幅の拡大

市場では上記3つの予測が出ているようですが、いずれにしても実質的な利上げ方向へ舵を切る政策ですね。

市場の関心が珍しく日銀へ集中したばかりであり、ドル円は引き続き米国株買いポジションの為替ヘッジを兼ねて短期的にはドルを売り、中長期でドル買いに転じたいと考えています。

政府は「金融緩和脱却」を志向か

ロイター通信によると、西村康稔経済産業相は18日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の討論会で、日本が金融緩和を停止できる段階に近づいていると述べた。

日銀はこの日、金融政策の現状維持を決定した。西村氏は、金融政策はいずれ正常化することになるが、明確な道筋が見えるまで日銀は現在の政策を維持する方針だと理解していると述べた。

政府の多様な政策によって、日本の物価上昇は他国より緩やかなものにとどまっていると説明。その上で、今後、投資が行われ賃金が上がり、経済が軌道に乗れば金融緩和の停止も可能になると指摘し、その段階に近づいているとの認識を示した。

日本企業に今年、5%プラスアルファの賃上げを期待するとし、それによってコストプッシュ型でなく需要が原動力のデマンドプル型の穏やかなインフレにつながることを望むとした。

政府の意図が気になるところです。金融緩和の脱却とはすなわち、金利上昇を経て国債の利払い増につながるのが順当ですが、経常黒字で、政府債務が家計金融資産等よりいまのところは低位であることから、「まだ大丈夫」という認識か。あるいは、「いざとなれば国民資産とガッチャンコ」なのか、はたまた。

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