【DE】ディア・アンド・カンパニー、好決算で、株価跳ぶ
農業機械などを製造する米ディア・アンド・カンパニー【DE】は、2022年11月23日、第4四半期(8-10月)決算を発表しました。
同社への投資額は現在、資産全体の7%を占め、ポートフォリオの組み入れ比率第1位です。
2022年4Q決算
好調な需要に加え、農機や建設機械の値上げで売上高が一段と膨らんだことで、以下のような結果となりました。
- 純利益:前年同期比75%増の22億5,000万ドル
- 1株利益:市場予想($7.11)大きく上回る$7.44
通年で見ても、下図上段の通り、売上・利益ともに+20%と大きな伸びを示しています。
株価・指標
株価は上昇し、調整後PER(2023年)は依然として15.74倍と米国株にしては低い水準です。購入した時も好決算の反映前で15倍と著しく低い水準でした。
PERはあくまで目安に過ぎず、調整後EPSベースで算出した値かどうか等の目配りが必要な上に、成熟銘柄では指標として機能しないことも多いです。しかし堅調な成長をみせる銘柄で15倍という水準は低いと感じました。
国際情勢
- ロシアのウクライナ侵攻や、中国の台湾侵攻といった国際社会の不透明感
- 「西側諸国とそれ以外」「民主主義国家と専制主義国家」という分断
- 「中間層の縮小」「格差の拡大」という分断
- 世界的に債務が累積的に増加している状況
これら現象は、第二次大戦前の「ブロック経済(自国または友好国、またはそれに準じる国で排他的な経済圏を形成し、そこに閉じこもって自国の権益を最優先で守ること)」を想起させ、グローバリゼーションの退潮(=現代版ブロック経済化のリスク)を連想させる現象であると私はとらえています。
そのような状況でも(いかなる状況でも)、人々が必要とするのは食料ですね。このような「人間の生存にかかわる現物」は、平時より有事(または有事を連想させる状況)に、価値が相対的に高く評価されやすくなります。
資源や食料を「持てる国」は「持たざる国」よりも優位性が顕著になります。国家や産業レベルでは、持てる国は価格支配力や発言力、国家運営の柔軟性は相対的に増すことになります。個人レベルでは食料とエネルギーの自給手段の有無や居住地域の地産地消率などで差異が顕著になります。
この「持てる国」と「持たざる国」の構図は時代が変わってもなかなか変わりません。日本が近代、一貫して悩みの種であり続けてきたことでもあります。
10月に投資した際に、「食料関連銘柄を持っておきたい」として本銘柄を挙げましたが、国際情勢の観点からは以上のような考えが背景にあります。業績に直結するとはかぎらない部分もありますが、投資における精神的な納得感の観点からは重要な点だと考えています。
米国株全体としては年末までは過去の季節性として堅調な傾向が認められますが、今後の各種経済指標を見つつ引き続き適時判断し、今年のような年明けの下振れシナリオには注意を払いたいと思います。
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