S&P500は大幅下落。利下げ観測は順当に一蹴される展開。

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S&P500は下落。利下げ観測はジャクソンホール講演で順当に一蹴される展開。

S&P500は3%を超える下落。24・25日の上昇がなければ、綺麗な山を描いていました

FRBのパウエル議長は26日、注目のジャクソンホール講演にて「インフレ抑制のために当面、利上げを継続する」との方針を強調。

この講演内容自体は個人的にサプライズ感はなく、「今のマクロ状況なら、納得」という印象。

むしろこの順当な内容でこれだけ下がるのが意外でした。それだけ市場参加者が先行きを楽観していて、その楽観が剥落したかたちなのでしょうか。

景気後退を示唆する指標は、以下の通り、事欠かない状況。

  1. 製造業PMI・資本財受注ともに下落継続
  2. 中古住宅販売成約指数が前年比▲22.5%と減少幅拡大
  3. 長短金利差が依然としてマイナスで推移

FRBは平時ならば、景気後退が意識される現在のような局面では、景気に配慮しつつ引き締め度合を調節する選択肢があります。

しかし現在のような高インフレ(ピークアウトの可能性もちらつくとはいえインフレ率の水準は高い)では、景気に配慮した政策調整をする余裕はないであろうことから、近い将来に急転直下、利下げへ転じることはやはり考えづらいところです。この点においては年初から大きく変わらない状況。

そもそも市場で利下げ期待が高まっていたこと自体が、「人間の飽くなき欲望という性」または「人間は直近の事象を過大認識しやすい傾向が表面化した」ように見えます。

つまり、米国株は近年、特にコロナ禍以降あまりに好調すぎた、かつFRBの金融政策が緩和的であり続けたため、「今回もなんとかしてくれるだろう」という期待と欲望が市場参加者のあいだで醸成されやすい素地がやはりあると思います。

しかし金融政策をあずかるFRBとしては、そのような情緒に今回は応える余裕はなく、労働市場の悪化や景気後退、または株安という犠牲を払ってでも(むしろこれら犠牲がインフレ率を下げるために必要である可能性)、景気の遅行指標であるインフレ率が明確に下がらないかぎり、金融引き締めを続けざるを得ないと想定しています。

いずれにしても、今後も市場参加者の利下げ期待が尚早に高じる(株価は上昇)と、FRBが牽制または打ち消す趣旨の発言をする(株価は下落)というかたちはあり得そうですね。

「上昇と下落を繰り返しつつも、全体としてはインフレ・景気・企業業績・財政政策等のマクロ環境が好転しないかぎり、下方向への圧力は依然として強い」というシナリオを、引き続き短中期的には頭に入れておきたいところです。

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