「美しく、強く、成長する国へ」を読了

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美しく、強く、成長する国へ


読みました。高市早苗氏の著書です。

1章には「日本がどのような価値観を持ち、どのような伝統と歴史があり、美徳があり、それを紡いできたのか」ということが記されています。これは、日本人であれば誰しもが潜在的に理解できる部分だろうと思います。そして今後も紡いでいくべき理念・美徳・普遍的価値だと個人的には思います。

また、全体を通して「今どのような時代に生きていて、日本がどのような状況にあって、内憂外患としてどのようなことが起きているのか」といったことが民生・政治・軍事・経済・法制などの多方面から記されています。そのため、それらを俯瞰するひとつの視点を得るという意味で参考にできると思います。

なかでも印象的だったのは、「水源法」のくだりです。

米国の占領下で作られたのが現在の日本国憲法であり、外国資本による水源地の買収を禁止しようと高市氏が法案を提出しようとしたところ、現行憲法の財産権の制限から頓挫したという話があります。

これが事実であるならば、現行憲法は独立国家の実態に即していないと言わざるを得ないでしょう。占領統治下の歴史的な背景を踏まえると尚のことです。

私の知る限り、そもそも中国はもちろん、フィリピンなど諸外国では、外国人による土地の購入は制限されています。一方、日本ほど緩い国は他にないのではないかというぐらいです。

また、本書の記載内容ではありませんが、水源地というのは、中国共産党が新疆ウイグル自治区を支配するべく漢人を大量に移民させる際にまず水源地を押さえていたとされる歴史を想起させます。北海道の水源地の話が事実ならば、由々しきことです。

経済政策についても記されています。

たとえば、本書は「インフレ率3%以上を理想的な経済状態」とされています。おそらくリフレ派(積極的な金融緩和を通じて景気の回復と緩やかな物価上昇を促す経済政策)の考えに基づいていると推察します。

個人的にはリフレ派の主張は、脱炭素による欧州のエネルギー政策等を遠因のひとつとした石油や天然ガスなどのエネルギー価格の上昇による世界的な物価上昇(日常の衣類や素材等の多くの製品は原材料としての石油に依存しています)が際立ってきた現況をふまえると、今後岐路に立たされるのではないかと考えています(今やもうひとつの変数としてウクライナ情勢が加わりましたけども)

つまり最近とみに述べている通り、「インフレによる利上げ圧力」と「国債市場の安定のために低金利維持」または「集票力基盤維持のための予算編成を前提とした低金利維持」という板挟みに遭うのではないかということです。

当該状況に陥ったとき、インフレ率の高さは消費促進という正の影響ではなく、むしろスタグフレーションや個人消費の低迷、または上記ジレンマを意識したマーケットの売り圧力などの負の影響が甚大になる可能性が考えられます。

本書には、債務残高対GDP比を注視していく上で、「自国通貨建て国債を発行でき、日銀に通貨発行権があり、名目金利を上回る名目成長率が達成されればPB赤字でも財政は改善可能」といった内容があります。

また、「金利一定下で貨幣供給を続けるとインフレが止まらなくなる指摘があるが、危機管理投資と成長投資について年間投資額を柔軟に調整すればよい」という論があります。

紙幅の関係もあってのことかもしれませんが、低金利が維持できなくなるマクロ環境になり、且つインフレが起きるという状況になれば、やはりマーケットが制御不能に陥るリスクがあることは個人的には気になります。

以上、経済政策の面では上記のような所感がありますが、日本という国の国家観を考える上で、日本人として参考になる部分が多々あると思います。

日本はいまだに米国の占領政策(日本の弱体化を目的とした思想・教育面での抑圧)を引きずっている部分があると考えられ、その意識を根本的に変革していくには、日本人ひとりひとりが勉強し、知を獲得していく過程で確固とした国家観を持つ必要があると私は思います。

戦後の日本は、徹底的な弱体化を狙ったGHQの占領政策により国家観念と愛国心が不当に抑圧され続けたことは、先人から実際に耳にしてきたことです。その後遺症は76年後の日本に未だ蔓延っていると言わざるを得ないでしょう。最新のコラムでも軽く触れた通りです。愛国や特定の政治的発言がタブー視されかねない空気感があること自体が由々しきことと。

娯楽や楽なことに流れがちな総体的な現状を見るに、以前の日本人の美徳を取り戻すには難しい部分も多々あるとは思いますが‥。先人や敬愛する先祖が、今の日本人の政治観や国家観への興味がないようにも見える現状を見ると、どういう思いを抱くのでしょうか。そんな思いを禁じ得ません。先人や祖先に恥じぬよう、そして自分にできることをやっていくというおもいは強くあり続けています。

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