株式+債券ポートフォリオの機能低下リスク

株式+債券のポートフォリオは、インフレ局面で注意

本記事の概要
  • 過去15年間は低金利を背景に「株高+債券高」
  • 「インフレ+景気減速懸念+金融政策の手詰まり感」で「株安+債券安」に注意
  • インフレヘッジ資産への分散を意識

株式に加えて債券に投資することで期待できること

まず一般的に資産ポートフォリオを分散させる手法の1つとして、「株式に債券を加えること」が挙げられます。

株式と債券は投資対象として競合し、値動きが異なる分散効果が期待できる、ということですね。

値上がりと配当を得られる株式か、価額上昇と金利を得られる債券か。

債券利回りが高ければ株式より相対的に魅力が増します。逆も然りです。

債券をポートフォリオに組み込むことで、たとえ株式が下がったときでも以下を期待できる、とされます。

  • 「債券が上がることがある」
  • 「株式より値動きがマイルドな傾向。資産全体の変動をマイルドにできることがある」

実際に米国債券(投資適格級)は、株式に比べ値動きがマイルドな傾向があります(下図)

以上が通常の局面における概論的な話です。しかし今後は注意したいところです。

インフレ局面では債券の目減りリスクに注意

まず全体として認識したいのは、「この15年間は金利が下がり続けてきた」ということです。

株式と債券の両方にとっては低金利による「株高+債券高」が両立する環境であってきました。

リーマンショック以降、金利は下がり、債券は上昇してきた

下図の赤線は米国の長期金利(10年債利回り)です。2007年の5%近傍から、直近は0~1%台まで低下。

FRBの政策金利(緑線)もリーマンショック以降0~2%台にとどまっています。

ではリーマンショック以降の債券の値動きを見てみましょう。米国の投資適格級以上の債券に投資するETF【AGG】は下図の通りです。

長期金利低下と歩調を合わせ債券価格も上昇傾向にあってきました。これは債券と金利には負の相関(金利上昇局面では債券価格は下落傾向、金利下落局面では債券価格が上昇傾向)があるため、順当な推移と言えます。

一旦まとめると「リーマンショック以降、金利は低下傾向で、債券価格は上昇」してきました。

現況:「金利上昇を急速に織り込む」

では現在の状況を確認しておきましょう。現在は、「2年債利回りが急騰し、米国の金融政策が利上げに向かう観測が加速している」という状況です。

3月の利上げはつい1週間前は市場が織り込む利上げ幅は25bpsでしたが、今や市場は50bpsの利上げ幅を織り込んでいます。

この記事を記した時点では今年の利上げ織り込み回数は4回でしたが現在7回です。

「小規模の利上げではインフレが収まらない」というシナリオを、市場が先々週よりも警戒してきていることを示唆しています。

株安+債券安のリスク

いずれにしても、インフレが急速に鎮火しないかぎり、金利の上昇が見込まれます(ここでいう金利とは、短期金利。長期金利は短期金利に複数の要因が影響)。

金利(名目金利)が上昇すると、債券価格は下落に転じることが想定されます(債券と金利は逆相関の関係にあり、金利が上がれば債券は下がります)。

つまり、現在のようなインフレ(≒名目金利上昇)局面で、かつ実体経済の減速が懸念され、さらに金融政策に手詰まり感があるなかでインフレが収まらなければ、株安+債券安のリスクを想定しておきたいところです。

インフレ局面のヘッジ対象

高いインフレが継続する場合は、以下の対象に投資することで、ヘッジ効果が期待できます。

  • ゴールドなどコモディティ
  • 資源関連銘柄(たとえばエクソンモービルなど)
  • 物価連動債
  • 土地・不動産

資源関連銘柄については、既にかなり上昇してきていますから上値が限定的である可能性も意識し始めたいところです。

とうもろこしや銅などのコモディティも市場のリスクオフがあまりに進めばリーマンショックの時のように売られ始めることは留意したいところです。

一般的にはやはりゴールドや不動産ということになるのでしょう。私自身もそうした投資対象へ分散しています。ゴールドには【GLD】というETFがあります。

ちなみに日本国債に投資する場合は「10年変動」タイプを挙げてきました。インフレリスクを減じるためです。

まとめ

FEDの金融政策が利上げに本格的に転じることになれば、この15年間で転換点になると言えます(2016~2019年は利上げであるものの本格的とは言えない幅)。

金融政策の変更というのは、債券の観点からも大きな転換点であり、株式と債券に投資することで分散をねらってきた場合も、債券価格の下落リスクを認識しておいた方がよいと思います。

【AGG】は設定以来、基本的に金利低下局面です。2016~2019年の小規模な利上げ局面では約7%の下落($112 → $104)でした。仮に今後本格的な金利上昇局面となる前提においては相応の下落リスクが想定されます。

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金融政策の手詰まり感などについては、以下に詳述しています。

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