米国株投資の不都合な真実

米国株投資への楽観は控えたいと考える理由

おそらく米国株投資家も含め、先進国の多くの人々が見たくない側面だと思いますが、一応こんな側面もあるということで記します。要旨は以下3点。

  1. 米国株・全世界株への投資の大前提に「現行の近代資本主義の継続
  2. しかし、その限界を示唆する側面も
  3. グローバル資本の利益は、不都合な真実からも構成される

ではまず、以下の事実を紹介します。

現行近代資本主義がもたらした変化

以下3つは、すべて1950年を境に急増。

  1. 「人口・実質GDP・エネルギー消費」
  2. 「S&P500」
  3. 「環境負荷(二酸化炭素・温暖化など)」

現行近代資本主義がもたらした変化

ここでいう現行近代資本主義とは、具体的には1950年以降を指します。第二次世界大戦が終了し、人口・実質GDP・エネルギー消費が急増し始めた時を起点としました。

人口・実質GDP・エネルギー消費の推移

下図を見てみましょう。人口・実質GDP・都市人口・エネルギー消費の推移です。

出所:「The Trajectory of the Anthropocene: The Great Acceleration / Will Steffen」

  • 人口・実質GDP・エネルギー消費量は、1950年を境に急増しています。

米国株(S&P500)の推移

では次に、S&P500指数の推移を見てみましょう。同じく1950年から急増していることがわかります。

S&P500の推移

1900~1950年(5→15)

1950~2000年(15→1,500)

  • 物価調整を排した値ではありますが、S&P500も「人口・実質GDP・エネルギー消費」と同様に、1950年以降に急増しています。

二酸化炭素・亜酸化窒素・成層圏オゾン・表面温度

ではその間に、地球環境で起こった変化はどうでしょうか。

出所:「The Trajectory of the Anthropocene: The Great Acceleration / Will Steffen」

  • こちらも同様に、1950年以降に急増しています

ここまでのまとめ

つまり、以下3つは、すべて同じように1950年を境に急増しているのです。

  1. 「人口・実質GDP・エネルギー消費」
  2. 「S&P500」
  3. 「環境負荷(二酸化炭素・温暖化など)」

実際に③は、先進国でも目に見える形で顕在化し始めてきています。温暖化はもともとの地球環境の変化とする説もありますが、現に異常気象や災害が増えていることは統計的に可視化されています。

たしかに書籍「FACTFULLNESS」で示されているように、全世界の自然災害で亡くなる人の数は過去100年で半分以下になったとされています。それは、国際的な災害支援の体制や災害対策が特に貧しい国々で普及したからとの遠因も指摘されます。

現行の経済成長モデルの継続は、持続可能でない可能性が高まっている

気候変動については、国・産業などによって利害が分かれることから、すべてを妄信することは避けたい一方で、上のツイートのように、パリ協定の目標を超えるシナリオでも日本の一部地域が冠水する予測もみられます。

仮にこういったシナリオが現実化(というか、現状のままでは現実化する可能性が指摘されている)した場合、現行の近代資本主義の根幹が揺らぐことが考えられます。

もちろん、新産業が勃興して既存の業態が生まれ変わる可能性もありますが、株式(企業価値)の源泉は、企業が事業活動によって創出した付加価値(≒マクロ的にはGDPの要素)です。よって、その野放図な成長にブレーキがかかる場合、企業価値にはネガティブです。

もちろん、現行近代資本主義・人々の欲望が動力となって、技術革新・生活や医療の向上など、様々なポジティブな面もあります。

一方で、ネガティブな面もあるということですね。先進国の豊かさの裏には、途上国の

  • 廉価な労働力の搾取
  • 資源の収奪・生産物の買い叩き
  • 環境負荷の押し付け

などが見え隠れします。グローバル資本の縫製工場などの労働環境は典型的な一例です。

今までは先進国の人々が、意識しないと見えない(または見たくない)「遠くの国」で不都合な真実が進行していました。

しかし、上述ツイートのように、現在は環境負荷という形で先進国でもその不都合な真実が見えやすくなってきました。

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米国企業の利益は、不都合な真実の上に成立している

たとえば、米国株投資家にはおなじみ、マイクロソフト【MSFT】やアップル【AAPL】で例を挙げます。

両社が用いるコバルト(産地:コンゴ民主共和国)やリチウム(産地:チリ)は、コンゴ民主共和国での水質汚染・農作物汚染・1日1ドルという低賃金での児童労働などが国際的に非難され、チリでは鹹水や地下水のくみ上げによる生態系の破壊と地元住民の利用淡水量の制限といった形で、現地資源の収奪という実態も取り沙汰されるようになってきました。

AAPL・MSFTはあくまで一例であり、テスラやエクソンモービルなども、結局はこの種の不都合な真実を資源算出国に転嫁する形で利益を得ている構図が見いだせます。

米国株の過去リターンの再現は、あくまで「現行近代資本主義の継続」が大前提

拙著「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門」にも記しましたが、「あくまで、米国株の過去リターンというのは『現行近代資本主義の継続』が前提条件として存在する」ということです。

仮にその前提が崩れるような環境面の予測変化を受けて、国単位でシステムが移行・変わるとなれば、前提条件は変わり得ることに留意しておきたいところです。

近い将来においては過度に悲観的になる必要はないと思いますが、とはいえバランス感を保っておきたいというのが率直なところです。

私の投資に対する考え方も、投資方針も、FIREを経て大きく変わってきた気がします。

Best wishes to everyone.

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