社員持ち株会で、自社に成長性を感じる場合の戦略
今回は、
ご質問者さま
というご質問に回答します。
企業には、社員持ち株会(自社株会)がありますね。メリット・デメリットを以下の通り、おさらいしておきましょう。
メリット
- 奨励金
(企業により、掛け金の5~15%を会社が拠出し、上乗せ)
デメリット
- 人的資本と金融資本の運用先が同じであるというリスク
(勤務先の業績が下がると、給与・株式の両方が下がってしまう)
ご質問
では、以下がいただいたご質問です。
題名: 〇〇自社持株への投資についてご意見伺いたいです
メッセージ本文:
穂高 唯希様
いつもためになる情報を発信頂きありがとうございます。マカダミアと申します。
勤め先の持株会について問い合わせさせて頂きたくご連絡差し上げ
以前も持株についての記事はありましたが、各企業により持株シス
私は〇〇で勤務しており、持株
購入に際して会社補助がございます。補助については「他社並み」
持株積立は会社の持続性、将来性による是非も大きいと以前記載さ
つきましては〇〇という個別銘柄を前提とした持株投資についてご
また、持株投資にはいくつか戦略があると思いますが、下記❶❷の
私としては❶は弊社の配当利回りが低いので❷を行おうと考えてお
- 会社の成長を信じて掛金最大で買い付けを継続し、配当金による
キャッシュフローを得る。割高に感じるほど高騰した場合は都度売 却する。 - 掛金最大で持株買い付けを行い、1単元株貯まる毎に定期的に売
却する。
(奨励金部分で稼ぐイメージです)
(逆ドルコストにより売却額も平準化ができると考えています)
なお、将来的には配当によるキャッシュフローを得、今のうちから
今年から積立NISAを開始し、楽天VTIを積み立てております。
長文失礼いたしました。大変恐縮ですがご回答頂けると幸いです。
回答
ありがとうございます。なお、具体的な社名・数値等は省いています。
ご記載の通り、以前持株会に関する記事で、「将来性・持続性も大きなポイント」と記していました。
会社は肯定的な安定株主が欲しいため、奨励金を付して自社の株式を保有してもらうインセンティブを設けます。ただし、同社の将来性がなければ、株価の毀損が奨励金を上回ることもあり得ますから、総合的に判断することが必要になってきますね。
社員持ち株会の定期売却
さて、まずは以下の部分について回答いたします。
- 会社の成長を信じて掛金最大で買い付けを継続し、配当金による
キャッシュフローを得る。割高に感じるほど高騰した場合は都度売 却する。 - 掛金最大で持株買い付けを行い、1単元株貯まる毎に定期的に売
却する。
(奨励金部分で稼ぐイメージです)
(逆ドルコストにより売却額も平準化ができると考えています)
特段の好みがなければ、①でよいかと思います。ただし、「売却額の平準化を図りたい」ということも目的とされているようですから、それであれば②でよいですね。
- 拙著にも詳述の通り、配当を再投資することで、株式から得られる将来価値を減らさないことになります。
- 一方で、配当を受け取ることは、定期的な利益確定になりますから、売却額の平準化を自動的に行えます。
ちなみに、配当が自動で再投資される持株会もありますね。
自社に成長性を感じる場合の掛け金
貴社の社員であれば、掛け金上限まで全額拠出しても納得できる以下要素を見いだせます。
- 世界的なマーケットシェア
- 技術水準
- 商品の代替が困難であること
もちろん、現状がいつまでも続く保証はありませんが、続くシナリオに賭ける価値は十分ありそうです。また、奨励金の水準もポジティブ要素ですね。
ちなみに
将来的には配当によるキャッシュフローを得、今のうちから
投資することで少しでも生活負担を楽にしたいと考えております。
人によって価値観はさまざまですが、配当というキャッシュフローが得られると、株価も理論的に同程度さがる要素になる一方で、「生活が楽になる感覚を実感として得られる」というのは、大きなメリットの1つですね。
ご記載の通り、配当は「生活負担を楽にする仕組み」になり得ると思います。
デメリットも念のため併記しておきますね。
まとめ
自社の成長性に賭けるのであれば、奨励金を最大限に活用し、掛け金を上限まで活用し、どんどん積み立てていくという戦略が出てきますね。
あくまで一例ですが、私は入社と同時に給与の大半に相当する持株会を掛け金上限まで設定しました。
私にとっては自然な行動でしたが、当時はかなり異端だったようです(笑)強制的な天引きにもなりますね。当時の会社・マーケット状況・奨励金などに鑑みてです。
金融資本(投資先)が1社に偏在するリスクが高まりやすい一方で、タイミング・成長性などがよければ、リターンも高まりやすいという形ですね。
そのタイミングを分散することを意図して、定期売却というのは、1つの方策になると思います。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone.
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