米ドルに換えて、米国株ETFを買うタイミングはどうすればよいか
米国株に対して、市場全体的に、簡便に、分散投資する際の投資対象としては、以下2案に大別されます。
- 投資信託(楽天VTI・eMAXIS S&P500 など)
円建てで直接買い付け可能 - ETF(VTI・VOO など)
円を米ドルに換えて、米ドルで買い付ける形
このうち、ETFを買い付けるタイミングについて、以下ご質問に回答いたします。
題名: ご教授いただけますと幸いです
メッセージ本文:
はじめまして。
米国ETF投資について最近勉強をはじめたばかりで、毎日少しず
穂高さまのブログ、他の方のブログ、色々と拝見させていただいた
ずばり、米ドルに換金するタイミングとETFを買い付けるタイミ
毎月買付が好ましいことはわかっているのですが、毎月まとまった
その場合、
- その都度その時の為替で換金し購入するのか、
- 円高ドル
安と踏んだ時に多めに換金しておくのか、
どうされているのでしょ
また面倒くさがりなこともあり、4半期に一度と決めたら株価等に
初心者丸出しの質問で恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたしま
回答
ありがとうございます。私を含め、だれもが最初は初心者ですね。
明日をより良くしようとする、新たなご一歩ではないでしょうか。
ポイント①:市場の動きを正確に読み切ることは不可能。米ドル購入タイミングの分散が一案。
さて、米国株ETFを購入するための米ドル購入の際、以下2案のうち、
- その都度その時の為替で米ドルを買い米国株ETFを購入するのか、
- 円高ドル
安と踏んだ時に多めに換金しておくのか、
特段の嗜好がなければ、①でよいと思います。
②ができれば理想的ですが、私も長年為替(FX)に過去関わっていた経験上、「為替は読めない」と考えておいた方がよいです。
つまり、一般的におすすめしやすいドル転の手法は、以下の通りです。
- 米ドル購入タイミングを分散させる
米ドルの値動きも、ETFの値動きも、正確に読み切ることはだれひとりできないですね。これは言い切ってよいと思います。
購入タイミングを分散させることで、納得いきやすくすることが一案と思います。納得性は後悔を減らし、後悔を減らせば、冷静で良好なメンタルで投資を続けられることにつながります。
ポイント②:「一括投資」×「定期買い付け」が有力
毎月まとまったお金を捻出するのが厳しいため、4半期に一度程度を考えております。
こういった買い付け方で、特段の問題点は見当たりません。市場が成長するシナリオに賭ける場合、この形でよいと思います。
- 必然的に購入タイミングの分散になりますし、
(定期買い付け) - 現状できうる中で最大限に市場に資金を置いて収益をねらう、
(一括投資)
という投資行動を意味していますね。
私がFIREに至るまで行ってきたこと(以下)も、同じです。
明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付にまわす単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで。
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) May 24, 2017
米国株にかぎった場合、理論的には「タイミングが悪くとも最初期に一括投資することが合理的」とするデータがあります。
- Given the difficulty of timing the market, the most realistic strategy for the majority of investors would be to invest in stocks immediately.
- Procrastination can be worse than bad timing. Long term, it’s almost always better to invest in stocks—even at the worst time each year—than not to invest at all.
- Dollar cost averaging is a good plan if you’re prone to regret after a large investment has a short-term drop, or if you like the discipline of investing small amounts as you earn them.
S&P500(1993~2012年)において、タイミングの悪い時期に投資したとしても、現金で持っているよりも、収益が高かったというデータです。
※ ただし、理論は理論にすぎず、それ以上でも以下でもありません。一括投資が怖ければ定期つみたても、もちろん有力な一案です。ご自身のメンタルに寄り添うこともまた、肝要です。
ポイント③:自動買付で、半ば忘れているぐらいでも
また面倒くさがりなこともあり、4半期に一度と決めたら株価等に
惑わされず淡々と買い付けようかとも思っているのですが、やはり 米国ETFは為替のこともあるのでそんな安易な考えではいけない のかなとも思い、未だに踏ん切りがつかずにおります。
安易どころか、よい案と思いますよ。買付が自動で行われ、半ば忘れているぐらいでちょうどよいと思います。
投資が趣味であれば別ですが、人生を豊かにする手段である資産運用が、生活の主役になってしまっては本末転倒ですね。
さらに、足元の株価が割高か割安かを正確に読み切ることは、一般的には大変に難しいです。「私は読める」と思うのは、それは慢心である可能性が高いです。
こうした背景から、淡々と定期的に買い付けるという「機械的かつ感情が入る余地を限定的にした投資手法」は、長期的に機能しやすい手法だと言えます。
フィディリティ調べで、株式投資のパフォーマンスが良かったのは、
- 「証券口座の存在を忘れていた人(They were the accounts of people who forgot they had an account at Fidelity.”)」
という示唆深いレポートがあります。
頻繁な売買はパフォーマンスを押し下げやすいことも示唆する一例と思います。
長期投資なら、直近の値動きを過大認識しないよう
ちなみに、以下について申し添えておきます。
米ドルに換金するタイミングとETFを買い付けるタイミングについてです。ここ最近ドルが上がってきており、一年早く勉強をはじめておけばと悔やまれます…
たしかに、ついつい直近の値動きをベースに考えたり、「あの時買っておけばよかった」という感情が生じたりすると思います。人間心理として普遍的に生じることですよね。
ただ、短中期での投資をお考えでないかぎりは、そこまで気にされずともよいかと思います。
米ドルは確かに直近上昇しているため、円からドルに換える際にドル高は不利ですが、上昇幅は10%に至らず。長期でみると誤差レベルです。
人間は、直近の値動きを過大認識しやすいものです。視点は多く、視野は広く。長期投資ならばどっしり構えておくことが肝要ですね。
まとめ
いずれにしても、成長市場に資金を置き続けることが重要だと思います。そうしていれば、少なくとも過去の傾向としては収益をもたらしたのが米国株ではあります。
未来は不透明ながら、その不確実性(リスク)を伴ったリターンに賭ける価値は見いだせるのではないでしょうか。
ただし、くれぐれも「①リスクの取りすぎ、②思い上がり、③焦燥」こういったものに注意ですね。あくまで謙虚に市場と向き合いたいところです。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone.
関連記事
以下もご参考に供します。