積立ETFに利益あり、暴落に備えて逆指値の売注文を入れるべきか

積立ETFに利益あり、急落に備えて逆指値の売注文を入れるべきか

2021年1月中旬時点において、米国株も日本株も極めて良好な値動きとなっています。

日々、資産が増え続けている方が多いのではないでしょうか。一方で、危うさも払拭しきれない相場であるようにも感じます。

今回は、「急落に備えて、利益が出ている今のうちに逆指値をセットしようかと考えている」という方からのご質問です。

ご質問

題名: 質問:積立ETFに逆指値の売注文を入れるべきか

穂高さま

いつもブログを愛読させて頂いております。

1点質問があり、現在1年近く定期積立にて米国ETF(SPYD,VIG,VTI,VYM)をコツコツと増やしておりますが、最近の好況により思ったより利益が出ております

しかし、この状況下でいつ急落するかわからないため、少しは利益がでるくらいの値にて逆指値の売注文を出しておいたほうがよいのでは、と考えるようになったのですが、穂高様は積み立てETFにおける逆指値の売り注文につきどのようにお考えでしょうか?

10年以上の長期の積み立てなら不要かと思いますが(配当金も出ますし)せっかく利益がでているので、精神上の安定のため急落時に逆指値で備えておくのも必要ではないかとグルグルと思考がまとまりません

もしお手すきのお時間ありましたら、参考に穂高様の考えを教えていただければ幸いです。

色々とお忙しいと思いますがお体ご自愛くださいませ。

上記ありがとうございます。

留意しておきたい3つのこと

お決めになる際、以下事項に留意しておきたいところと思います。

  1. タイミングは読むのは困難で、仮に機会損失が生じれば過大認識するリスクあり
  2. 過去の傾向は、長期目線では上昇
  3. ただし、現在は壮大な金融実験中でもある

① タイミングを読むのは困難、機会損失の過大認識リスク

釈迦に説法かもしれませんが、

  • 市場のタイミングを読み切ることは、困難ではあります。
  • 利益確定をすれば、その後もするする上昇が続く可能性もあります。

そういった場合、人は往々にして「機会損失」を必要以上に心理的に感じるものです。

つまり、一般的にはこう思うケースがあります。

  • 利益確定(逆指値ヒット)をした以上、それより上の値段で再び買いに入るのは避けたい

その後、下落となればよいですが、長期上昇トレンドに入ってしまうと、機会損失は大きくなります。人は損失を過大に認識してしまう傾向があるため、利益確定を考える際は、以上のようなリスクは認識しておきたいところですね。

② 過去の傾向は、長期目線では上昇

S&P500 長期チャート

よほど投資対象に難がない限り、米国株は全体として長期目線では上昇してきました。

つまり、長期目線では、「タイミングが読めない」という前提に立った場合、どのような形であれ市場から完全に降りることは非合理性も生じます。

利益確定し、その後それよりも安い値段で買うことができれば、理想的です。ただし、あくまで「上手くいけば」という前提条件付きにはなります。

③ ただし、現在は壮大な金融実験が行われている

現在の金融政策は、「非伝統的」という言葉が端的に表すように、今後長期的にどのような副作用が生じるのかは予察できないのが実情です。

つまり、「過去の傾向が通用しない局面が出てくる可能性」があります。その象徴の1つとして、今まで「オルタナティブ」と呼ばれていた代替資産に資金が集まる現象も起きています。

低金利・カネ余りが常態化する中で、資産運用の現場では大きな潮流が着実に水かさを増しています。オルタナティブ資産への投資です。「オルタナティブ」は「代替的な」もしくは「既存のものに代わる新しいもの」という意味を表します。機関投資家などプロのポートフォリオが変化する背景について整理してみたいと思います。振り返ると、2016...

本来はあくまで「オルタナティブ(Alternative)」という語が示す通り、主役になり得ない資産でした。鉱物・金融派生商品・PEなどが例として挙げられます。ビットコインなど新たな投資対象も生まれています。

では、どうするのか

以上を踏まえた上で、解になり得るのは、たとえば半分は逆指値注文をしておき、半分は長期資金として置いておくといった形が一案です。割合はあくまで一例です。

お気持ちも十二分にわかります。コロナショックのような暴落が近い過去に起きた今、利益を一定範囲で確定しておきたいですよね。

私なら、「どちらに転んでもよいようにしておく」ことが一案だと思います。

つまり、逆指値をすべて入れてしまうと、運が悪ければ、指値がすべてヒットした直後に、するする上昇するかもしれません。こうなると心理的に厄介です。後悔が残りかねません。一方、後悔が残らないという確信があれば、すべて逆指値でも心理上の障壁は見当たらないことになります。

経験上、この後悔というのは厄介で、パフォーマンスを落とす要因にもなり得ます。

こういったリスクに鑑みると、心理的に配慮した折衷案として、「半分逆指値、半分そのまま」というのが1つの形です。

これならば、半分刈られても、もう半分あります。暴落しても、半分は逆指値で難を逃れています。つまり、心理的にバランスを取りやすいのです。

まとめ:理論と効率だけで語れないのが資産運用

  • 利益を確保しておきたい
  • 損失は避けたい

人間である以上、必ずこういった感情は生じます。理論と効率だけでは語れないのが、資産運用ですね。

そのため、「心理的に心地よい投資行動は、どういったものか」を考えると同時に、「著しくパフォーマンスを落とさないこと」もある程度は考えておきたいところですね。このバランスを自分なりに探っていくというのが、長期投資の要諦でもあると思います。

答えになっていますでしょうか。不明点あれば、遠慮なくご連絡ください。ご質問ありがとうございました。

Best wishes to everyone!

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公開日:

コメント

  1. 稲次恵子 より:

    質問した者です。
    このたびは大変ご多忙な中、早速ご回答いただきとてもありがたく思います。
    私の質問に適格な回答を頂けて助かりました。
    回答を頂き、悩みの原因が「利益も最大限欲しい、損失も最大限回避したい」相反する希望であったことに今更気づきました。
    利益50%:損失50%にするのか、利益70%:損失30%にするのか、バランスを自分の納得いく形で考えて実行してみようと思います。
    なかなか周りにこのような相談をできる相手がおらず、グルグルと一人で悩んでおりましたが、思い切ってご相談させて頂いて本当に助かりました。
    除雪作業等大変なことと思いますが、どうぞお体お気をつけてお過ごしください。