「ドル建てMMFによる待機資金の活用方法」に関するご質問です。
人にもよりますが、株式投資を行う際に、「投資に使う前のお金、つまり待機資金をどのように活用すればよいか」というものがありますね。
私がセミリタイアする前は、FRBの超低金利政策開始前だったので、ドル建てMMFに待機資金を置いて金利収入が年利で1~2%は得られました。
しかし、FRBの超低金利政策以降は、得られる金利収入は大きく低下しているのが実情です。(これは、FRBが短期金利(政策金利)を調整するからです)
以下はいただいたご質問です。青字で簡潔な回答を付記します。
題名: 待機資金の管理方法について
メッセージ本文:
穂高様
初めまして。マイナススタートと申します。
著書を読ませていただきました。
アメリカ高配当株投資についてのモチベーションの維持が課題の一つだったところ、著書に優しく背中を押されて、今後もモチベーションを維持できそうです。ありがとうございます。
さて、今回質問させていただきたいのは、待機資金の管理方法についてです。
穂高様の手法は、給料(円)の8割を給料日に一括ドル転し即外国株を一括購入というもので、待機資金としてドルを持ち続けることはなかったのでしょうか?
→ 全くなかったわけではありませんが、あまりなかったです。基本的には給与入金後に即時一括投資です。
私は、ドル転後の待機資金管理について、ドル建てMMFを購入することを考えておりまして、よろしければアドバイスいただきたいと思っております。
→ FRBの低金利政策により、ドル建てMMFで得られる金利収入は低位であり、以前ほどの旨味はなくなっています。
まず、私の整理は以下の通りです。
- 例えば、ドル建てMMFから外国株購入のためドル化(売却)した時点で円安に振れている場合、為替益が出ているため、ドルから譲渡税が徴税されることから、ドルが目減りしてしまうリスクがある。
- 逆にドル化時点で円高に振れている場合、為替損が出ているため、ドルから譲渡税は徴税されないが、譲渡損は生じているため、外国株からの配当益と損益通算できる。
よって、ドル建てMMFの購入時点で円高予想が立つならば、待機資金の管理方法としては適切となる。
このような整理に間違いはありませんでしょうか?
→ ドル建てMMFを購入した時の為替と、ドル建てMMFを解約(MMFを解約してドルのままでも、MMF購入時との為替とを比較した為替差損益を税務上は認識します)した時の為替の差異で為替差損益による譲渡損益を認識します。
また、他に適切な管理方法がありましたらご教示願えれば幸いです。
セミリタイア後の人生中心生活を満喫されているところ、細かい質問で申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いします。
拙著ご覧いただきありがとうございました。
①:私が待機資金としてドルを持ち続けることはあったか
私の投資手法は、「毎月の給与が入ったら投資に回す」というシンプルな形です。
明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付にまわす単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで。
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) May 24, 2017
基本的に即時一括投資なので、月末に毎月購入するような感じです。
よって、大規模に待機資金としてドルを持つことは、セミリタイア前に関してはあまりなかったと記憶しています。
ただし、セミリタイア後は現金比率を上げたので、待機資金の規模は大きくなっています。
②:ドル転後の待機資金の活用先としての「ドル建てMMF」について
冒頭に述べた通り、FRBの金融政策により金利・金利収入が低下しています。
ただ、もともと待機資金をMMFに置いて得る金利収入は「おまけ」みたいなものなので、私なら以下2案ありますが、②を選好するでしょうか。
- 従来通り待機資金をMMFに置くか、あるいは
- MMFの売買による為替差損益による譲渡損益の変動が気になる場合はMMFではなく現金で持っておくか、
といったところです。
外貨建てMMFの税金関係
上述赤字部分について以下の通り補足します。(3つ目の質問への回答とも重なります)
つまり、外貨建てMMFは解約時あくまで、為替差損益も含めて円ベースで譲渡損益が算出されます。
そのため、円高時に解約すれば「ドル建て額が増えているにも関わらず為替差損による譲渡損発生」という”損出し“に似たメリットがあります。
逆に円安時の場合は譲渡益が発生してしまい、税負担が生じる点、留意必要です。
こういった税務上の変動を好ましくないと思う場合は、MMFに入れずに現金として持っておく形でよいですね。いずれにしても、今は金利収入が薄いですから、現金のままでもよいと思います。
まとめ
待機資金の活用ということで、資産形成全体から見れば、資産規模がよほど大きくない限りインパクトとしては限定的です。
ただし、以前のようにMMFで金利収入を得ると、なんとなく気持ち的にうれしいというのは厳然とありますよね(笑)非常にわかります。
ただ、現行の金融政策ではMMFに置いて得られるメリットが限定的です。これは債券についても、金利と債券価格の関係から似たようなことが言えます。
つまり、以前より株式以外の投資対象の魅力が薄れているのですね。これは、株式のバリュエーションの上昇を正当化(株式がほかの投資対象より比較優位となるため)しますから、バブルが起きやすくなる側面もあります。
金融政策によって、単にお金が溢れるというよりは、こういった面もあるということですね。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
外貨建てMMFについては、以下のような記事も書いています。