【高配当BDC】ARCC・MAIN・NEWT・ORCC・PSEC・HTGCについて
高配当株でもある以下BDC銘柄群についての、ご質問です。
- MAIN
- NEWT
- ORCC
- PSEC
- HTGC
- (ARCC)
初めてコメントさせていただきます。
ともぞうと申します。
昨年末に三菱サラリーマンのブログに幸運にも出合い、自分にとって新しいものの考え方・生き方に大きな衝撃を受けました。
それ以来、第二の三菱サラリーマンさんになろうと、三菱サラリーマン様のブログを参考に銘柄選定し、アーリーリタイアを目指して高配当を中心に米国株を買い増しております。
ほぼ同年齢で出身大学も同じということで、誠に勝手ながら親近感を抱いております。
この度はBDC銘柄に関する三菱サラリーマン様のご見解を伺いたく質問させていただきます。
私は、本記事や以前の記事でご紹介いただいたARCCをポートフォリオの5%強保有しております。
三菱サラリーマン様のARCCの記事をきっかけにBDC銘柄にも興味を持ち、楽天証券で購入できる、銘柄にも興味を持ちました。
- ORCC(こちらはなぜかSBI証券でも購入可能)
- HTGC
- PSEC
- NEWT
- MAIN
上記BDC銘柄について三菱サラリーマン様はどのようにお考えてしょうか。
大変僭越ながら、投資初心者である私の所見を以下に述べさせていただきます。
ORCC
昨年NYSE?に上場し歴史は大変浅いが、シニアローン比率が90%後半と大変多く安定的なポートフォリオを有し、直近は特別配当も出て1株配当はARCCとほぼ同額であり、インカム狙いであればいい銘柄か。
NEWT
特筆すべきは最近の増配率の高さで、2020年2Qの配当は前年比20%超の増配率で、本日時点での利回りも12%超とかなり高い。ここ10年のリターンはS&P500の2倍程度であり、BDC銘柄でありながらキャピタルゲインも狙える銘柄。MAINと同様に内部管理なのもメリットか。
MAIN
毎月配当でインカムゲイン及びキャピタルゲインが狙える銘柄。ここ10年のパフォーマンスはピカイチ。本日時点の利回りはARCCの3分の2程度?と大きく劣るが、キャピタルゲインも狙えることを加味すればいい銘柄と言えるか。こちらも内部管理。
PSEC
BDCの銘柄の中では大きい部類に入るが、ここ10年でも減配を繰り返しており、先行き不安。IR情報を見ると、今後は安定運用で減配しないような印象を受けなくもない。。?
HTGC
ARCCとほぼ同じく、増配はあまりなく安定したキャッシュフローが見込める銘柄。ベンチャー企業に特化して貸付けしているようで、その点他のBDC銘柄と異なる?
お忙しい中恐縮ですが、いつかこれらBDC銘柄に対する三菱サラリーマン様のお考え、または銘柄紹介の記事をブログで発信いただけますと大変幸いです。
P.S. 日経新聞への掲載記事や、先日発売された書籍も拝見させていただきました。これからも三菱サラリーマン様の背中を追って投資を続けていく所存でございます。
ご質問、誠にありがとうございます。大変恐縮であり、光栄です。
BDCとは何か。
そもそも「BDCとは何か」について、まずおさらいしておきます。

BDCのイメージ図
- Business Development Company(ビジネス・デベロップメント・カンパニー)の略称
- 米国で中堅企業や新興企業等の事業を、金融・経営面で投融資する投資会社
BDCの投資対象は、未上場企業も含まれ、投資家は「BDCを通じて未上場である新興企業や、あるいは中堅企業へ投融資する」ことが可能になります。
BDCの特徴
また、大きな特徴として、利益の90%以上を投資家へ配当として分配することで法人所得税の免除あり、REITと似た優遇措置を享受しています。これが高配当である一因です。
分散・投資対象クラスの選別は図られている
BDCの運用資産については法律により分散が求められています。
例えば、
- 少なくとも資産の70%を法律で定められた適格投資対象(時価総額2.5億ドル未満の未公開企業の株式、ローン、債券など)に投資すること
- 1銘柄当たりの構成比率を全体の25%以下に抑えること
などが定められ、借入に関する制限も設けられてはいます。
投資対象が新興・中堅企業ゆえのリスク
とはいえBDCの業態上、新興・中堅企業向け投融資という性質ゆえ、信用力の高い大企業向け融資とは言い難い面、注意必要と思います。
反面、信用リスクが高い企業向けの融資利率は、一般的に高く設定されます。リスキーな反面、リターンを生む源泉にもなり得ます。
基本的に、下落相場で弱い
投資家の利回り追求が強まれば、社債などのスプレッドは、信用力がより高いクラスから順次縮小するのが一般的です。
スプレッドが縮小すれば、通例、投資家は従来より信用力の低いクラスへ投資対象を広げる傾向が見られます。(こういった局面で、高配当銘柄に食指が伸びがちですが、こういう時こそ注意ですね)
高利回りのBDCや、レバレッジ型の債券ETFは、下落相場で資金が引き揚げられやすく、下落率が応分に高くなることには留意必要と思います。
個人的にBDC銘柄は、ポートフォリオの5%以下とするなど、あくまで分散は必須としています。リスク許容度が高くない投資家には、向いているとは言い難いと思います。
ARCC・ORCC・MAIN・NEWT・PSEC・HTGC について
では以上踏まえた上で、ご質問いただいた各BDC銘柄について記します。
- ORCC
- MAIN
- NEWT
- PSEC
- HTGC
なお、ARCCは以下ご参照ください。
【ARCC】エイリス・キャピタルのメリット・デメリット、リスク要因
【ARCC銘柄分析】エイリス・キャピタルを市場暴落時に仕込みたい【高配当米国株】
ORCC

ORCC ホームページより
主な投融資先は米国、業種は分散、変動金利100%、シニアローン比率98%が特徴ですね。
さらにうち80%は、「第一順位担保(First Lien)付シニアローン」であり、高いシニア比率は、債権回収リスクの観点から一般的にポジティブです。これは、47.8%の【ARCC】(2020年3月現在)より高い値です。シニアローンごとの回収率は後述します。
BDC銘柄らしく配当利回りも高く、その点においてはインカムを享受できます。
ただ気になるのは、上場日が浅いため、参照可能な過去データ(株価推移・配当推移など)が限定的な点。直近コロナのドローダウンは半値であり、ARCCと同等。
ARCCと比較すると、この辺りの「限定的な実績」と「その不透明さに起因するリスク」をどう天秤にかけるかが焦点と思います。
高利回りを取るか、過去実績という1つの材料を取るか、下落相場でのリスクをどう見るのか等の観点ですね。
NEWT・MAIN
外部管理でなく、内部管理である点は、支払う管理手数料の観点において、ポジティブとされます。
MAIN:赤、ARCC:青、NEWT:黄、S&P500:緑
両者とも、当該期間においては、S&P500を大きく上回ります。
ただし、2008年という下落局面を経ている期間が起点であるため、起点の株価レベルが低め、やや差し引いて考えた方が無難です。
直近パフォーマンスが良い対象は、ある意味いつ買い始めるのかが悩ましいところではあります。
その意味でも、コロナのような暴落相場では、やはりBDC狙いの投資家にとって、購入タイミングの好機として見ておきたいところです。
PSEC
以前、PSECは私も検討しましたが、やめました。
一時期、値動きを見ていましたが、平時でも【ARCC】に比べて弱めなのはネガティブ。クレジットリスクがARCCより高そうな印象でした。
最近は追っていませんが、こちらに投資する積極的な意義は、あくまで個人的ながら見いだしづらいところです。
HTGC
ベンチャーに特化したBDCということで、その点において特徴的です。
2010年に減配しています。以降は、安定したインカムが得られています。
MAIN:赤、ARCC:青、HTGC:黄、S&P500:緑
「BDCの投融資先としての分散を図れる」というメリットは見いだせると思いますが、ARCC・MAINと比べると、当該期間における推移はやや弱いですね。
弱い分、上値余地があるとみるのか、あるいは帰納的に今後も弱いという前提に立つのか、こういった観点にもなってきますね。
【ご参考】シニアローンの回収率
ご参考まで、そもそもシニアローンの債権(この場合は、≠債券)としての回収率を見ておきましょう。
同債は、以下3つに大別されます。
- 無担保債
- 第一順位担保付
- 第二順位担保付

出所:インカム投資に関する調査研究(年金シニアプラン総合研究機構)
「1st Lien Loan 【第一順位担保(First Lien)付シニアローン】」の回収率が最も高いですね。
単に「シニアローン」とひとくちに言っても、1st or 2ndで貸倒率は大きく変わることが読み取れます。
ちなみに、米ロサンゼルス年金基金もわずかにアセットアロケーションに組み入れているのが、当該シニアローンです。
規模が大きければ、投資先(貸付先)の選択肢が増え、分散を図ることで利益率や未収リスクも減る傾向が見られます。
まとめ
BDCは、基本的にどの銘柄も「下落局面では、株価下落率が市場平均より大きい傾向」が過去見られています。
これは単に「ネガティブ」との結論は、尚早です。購入タイミングによっては、キャピタルとインカムを大きく両取りできる潜在性も秘めています。
事実、コロナ期に購入したものは、直近50%乗っています。
ただし、求められるリスク許容度も応分に高く、多分にタイミングにも左右されます。また、投資家が相対的に高利回りを求める局面(つまりバブル気味の時)にも物色されやすいです。
BDCの中でさらに物色する際は、先ほどグラフが示唆する通り、シニアローンと一口に言っても優先順位付きの有無等によって債権回収率も異なります。そこまで目を配りたいところです。
規模が大きい方が、一般的に分散を図れ、分散という観点における未収リスクも減る傾向が期待はできます。(もちろん、未収リスクは投融資先の性質・クラスにも起因)
いずれにしても、ポートフォリオの大きな部分を割くには、一定の勇気とリスク許容度が必要ですね。あくまでポートフォリオ全体の5%以下などにとどめるのが無難ではあります。
が、多くのインカムだけでなくキャピタルを狙える可能性が存在するのも事実です。リスクを取ってキャピタル・インカムの両取りを狙うには、やはり選択肢となるのが、BDC銘柄群でもありますね。
大局的なポイントとしては、
- これらBDC銘柄群を市場暴落時に仕込めるか否か、
- 危機後を乗り越えて業績堅調か、
- 上記2点のリスクを許容できるか、
これらをクリアできれば潜在的に大きなインカムとキャピタルもねらえます。
末筆ながら、目標を達成されることを祈念しております。ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
コロナショック期にARCC購入。タイミング次第でキャピタル・インカムの両取りが潜在的にねらえる銘柄です。
ARCCは、マネックス・楽天で取扱っています。
コメント
三菱サラリーマン様
ともぞうでございます。
この度は質問に大変ご丁寧にご回答いただき誠にありがとうございました。
大変勉強になり、BDC銘柄への理解が深まりました。
今後も益々のご活躍期待しております☆
いつになるかわかりませんが、FIRE達成の際は必ずご報告させていただきます。
よろしくお願いいたします。
P.S. 夏場は気温が高く、出勤時にオフィスのある17階まで階段で登ると大汗をかいてしまうため、階段を利用できないのが悩ましいです。。
ともぞう