「インデックス投資を継続して積み立てる際、積み立てる金額をどうしていくのがよいか」というご質問をいただきましたので、以下回答いたします。
- どの程度、長期上昇にBETし、
- どの程度、効率を重視し、
- どの程度、メンタルへ配慮するのか
このあたりが、主なポイント・要素として集約されます。
インデックス投資の積み立て金額、どう時間分散を図っていくのか【効率・メンタル】
題名: 質問です:インデックス投資の積立金額増額について
メッセージ本文:
三菱サラリーマン様
いつも勉強になるブログを楽しく読ませていただいています。
今回、インデックス投資の積立金額増額について質問させていただきます。
現在私は20代会社員で、資産の最大化を図るために、お給料からインデックス投信の積立をしています。順調にいけば数年に一度昇給があり、それに伴い積立の金額を増やしいくつもりです。
仮に手取りの20%を投資に回すとして、手取り20万円の時は4万円積立ですが、手取り50万円なら10万円の積立てになります。
しかし、この時頭に引っ掛かったのが、この投資方法だと給料が増えた人生の後半にリスクを大きくとってしまう可能性があるのではないか、ということです。
例えば私が50代になる頃に長期の株価低迷があれば投資金額が大きい分マイナスの影響も大きくなると思います。
積立の時間分散を図るのなら、できれば一生涯に当たって投資金額を均等にするほうが合理的な気がします。
かといって、給料が増えたのに投資金額を増額しないのも資産の最大化は図れません。
この点について、三菱サラリーマン様のお考えを聞かせていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
ご質問ありがとうございます。
そうですね、上記青字でハイライトした部分について、そう思われるのも理解できます。
若い時期に、可能な限り最大額を投資に回す
- どの程度、金銭を得たいと思うのか
- その金銭はなんのために必要とするのか
等の「金銭に関する価値観・目的」にもよりますが、私なら以下の形を採ります。
- 若年期に可能な限り最大額を投資に回す
- 年齢を重ねるにつれて、リスク資産を減らす
理由は以下3点です。
- 若年期の資本は期間を長く取れ、影響が大きい
- 長期投資の傾向(期待リターンがプラスに収れんする)を最大限活かす
- 若い時期ならば、余生が長く、リカバリーが効く
明日は給料日。収入の8割をせっせと株式買付にまわす単純な作業。そうして配当収入の綺麗な右肩上がりのグラフが描かれていく。いかに若年期に投下資本を蓄積できるか、もうそれに尽きるんやで。
— 穂高 唯希|Yuiki Hotaka (@FREETONSHA) May 24, 2017
現行資本主義の傾向・体制が維持される限り、「いかに若年期に投下資本を蓄積(そして市場へ投入)できるか」がポイントになります。
また、投資期間が長いほど、期待リターンはプラスに収れんする傾向が過去みられてきました。そのため、できるだけ多くの額を長い投資期間としてさらす形が傾向的には良いことになります。
また、若い時期であれば、リスクを多少とっても、一般的には人生の後半よりも金融資本的にも人的資本的にもリカバリーが効きますね。「余生が長い=可能性も大きい」からです。
給与のうちから定率を、人生の後半まで投資に回し続けるケース
ご質問文で、
- 「定率、たとえば給料の20%を投資に回す投資方法の場合、給料が増えた人生の後半にリスクを大きくとってしまう可能性」
- 「例えば私が50代になる頃に長期の株価低迷があれば投資金額が大きい分マイナスの影響も大きくなる」
と記載されています。
人生の後半まで定率で投資すると、収入に比例して積み立て金額も増えますから、増えた積み立て金額分は、投資期間が相対的に短くなります。(金額×投資期間でリスクを定義する場合、前半で積み立てた分のリスクも増大するという解釈もあろうと思います)
定率には必ずしもこだわる必要はありません。むしろ「人生の後半は、残りの投資期間も短くなることと同義」ですから、私なら人生の後半は、むしろ積み立て金額は減らすと思います。
なぜなら、過去右肩上がりの傾向であってきたS&P500も、10年以上のスパンで低迷し続けた時期もあるからですね。
「インデックス投資で、人生の後半における取り崩し期間でなんらかのショックで含み損に陥り、損失確定することは避ける」ためにも、人生の後半ではリスク資産の比率を落とした方が無難です。
積み立ての時間分散。投資金額は均等にするのか。
また、「積立の時間分散を図るのなら、できれば一生涯に当たって投資金額を均等にするほうが合理的な気がします。」と記載いただいています。
ここは、
- 「今後の推移が右肩上がりを描くこと」にどの程度BETするのか、
- どの程度メンタルとの兼ね合いを取っていくか、
という部分が主に関係してきます。
以下、順に述べます。
①継続的な長期上昇に、どの程度BETするか
長期投資をするということは、いわば「投資対象が右肩上がりを描く」ことに賭けることを意味しますね。でなければ、長期的に投資する対象に値しません。
この点において、強気にいくのであれば、「できるだけ多くの額を投資期間のできるだけ早い段階で、市場に入れておくことが望ましい」という論理展開が可能です。
②どの程度、メンタルとの兼ね合いも取っていくか
ただし、ではそうかと言って、一括投資に偏りすぎると、タイミングによる影響が大きくなりすぎてしまいます。
たとえば、直近でコロナショックがありました。もし下落直前にまとまった額を投資した場合、結果的には「下落してから投資した場合」と比べて、相対的に負の影響が大きくなります。
これは、後悔に繋がります。後悔の念が生じると、人は取り返そうとする心理的傾向が一般的に見られます。
そして、このメンタルは、概して良い結果を招きません。そのため、こういった事態を避けることを最優先にしてもよいぐらいです。
合理的な面ばかりに焦点を当てると、メンタルへの配慮が行き届かない場合があります。このあたりはバランスを意識されるとよいと思います。
まとめ
- 「今後の推移が右肩上がりを描くこと」にどの程度BETするのか、
- どの程度メンタルとの兼ね合いを取っていくか、
つまり、まとめると、上述①と②でバランスを取った結果、「積立の時間分散も一定程度は図りつつ、メンタル面も配慮して、投資金額を均等にする」という形は、現実的な1つの解です。
- 「いやいや、私はとにかく最も合理的と思しき方法で行きたい」
- 「投資はゴリ押しでいく」
等の考えの方ならば、冒頭に挙げた通り、定額で積み立てるよりも、「可能な限り多くの額を若年期から積み立て続ける」形も1つの解です。
ただし、この場合は、多くの金額を長期にわたってリスクにさらすことになります。その状態で暴落が起きても、しっかり積み立て続けるメンタルが、前提として求められます。
投資初心者さまの場合は、まずは定額で積み立ててみて、自分を客観視してみるのが一案です。「こんな感じか」とつかめてきたら、金額を増やすなり調節する形です。
ただし、くれぐれも、「相場の雰囲気に流されて積立金額を変える」ようなことは、私はおすすめしません。その行動は、他者にコントロールされてしまっています。
あくまで投資は、自分で主体的に市場と対話し、リスクをコントロールすることですから、「あくまで冷静かつ客観的な自分」を前提とした上で、投資方針なり金額を設定することが重要です。
以上、ご参考になれば幸いです。20代からの株式投資、今後の人生の選択肢が増えるとよいですね。
Best wishes to everyone!
SBI証券で自動積立サービスもありますね。機械的に投資が可能ですから、利用価値の高いツールです。以下ご紹介しておきます。
以下記事に、積立の過去シミュレーションも載せています。本シミュレーションにおいても、しっかり機械的に積み立てることが前提として求められます。
理論と実践のバランスですね。投資においても、非常に重要です。「理論が絵に描いた餅とならないように」ということです。