「特定口座(源泉徴収あり)で損出し後、同日に買い戻し」について、注意点を以下に記しておきます。年末に向けて「損だし」をされる方は、ご注意ください。
以下情報は、疑問点をSBI証券に問い合わせて判明したものを含みます。
「特定口座で損出し→同日に買戻す」と取得単価が平均化されるので要注意!
株式投資、特に配当金を得た投資家は、「損出し」による節税は利用しておきたいところです。ここでいう損出しとは、以下を意味します。
「損出し同日に買い戻す」ことで、価格変動は最小化。しかし取得価格が平均化。
損だしの際、可能な限り「損失確定時の売却価格と買い戻す際の取得価格の変動を最小化したい」のではないかと思います。
なぜなら、損出しした翌日に何らかの事象で対象銘柄が急騰すると、「急騰した差額 × 株数」分が、実質的に損した気持ちになるからですね。
例示すると以下通りです。
損出し銘柄:マクドナルド【MCD】100株
12月1日:$180でMCDを損失確定(損出し)
12月2日:$185に急騰、仕方なく185ドルで買い戻し
すると、損失確定時と同額の$180で買い戻した時と比べて、以下金額が実質的な損失となります。
「差額5ドル分($185 – $180)」×「保有株数100」=500ドル
逆も然り($175ドルに急落すれば、逆にお得)ではあります。
損出し同日に買い戻した結果
こういった潜在的な価格変動リスクを最小化すべく、損出しした同日に同銘柄を買い戻すとどうなるでしょうか。
具体的に例示すると以下通り。(数値は例)
12月1日:$180でMCDを損失確定(損出し)
12月1日:$180.1で買い戻し
この場合、買戻し後の取得価格は$180.1と思いきや、翌日 $190.05 表示、つまり「($200 + $180.1)÷ 2 」という計算処理がされます。
- SBI証券によれば、まず当日は180.1ドルと仮表記で、翌日に確定値(今回の例で言えば$190.05)が表示されるそうです。
いわく「特定口座で同日に買い戻す場合、売りではなく買いが優先的に認識・処理されるため、取得価格は上式のように平均化された後に、買い戻すという処理順」との由。
ゆえに上式のように、取得単価は買戻し時の$180.1とならず、$190.05となります。
譲渡損失も平均価格ベースで算出されてしまう
よって、損出し目的で計上した損失は、以下①とならず、②になるとのこと。
- (元々の取得単価 $200 ー 損出し時の売却価格 $180)×100株
- (「取得時」と「買戻し時」の平均単価 $190.05 ー 損出し時の売却価格 $180)×100株
つまり、想定していた譲渡損失(①)よりも、少ない損失額(②)で確定されることになります。
つまり、「特定口座で同日に買い戻すと、節税・税金繰延できる額が減ってしまう」ことになるため、留意が必要です。
見積もっていた損失額を下回る額で譲渡損が計上されることにより、還付される税額も減少するからです。
「特定口座で損出し→同日に買戻す」時の注意点まとめ
まとめると、「特定口座で損出し後、同日に買い戻した場合に起こる現象」は以下の通り。
- (元々の取得単価 ー 損出し時の売却価格)×株数
ではなく、
- (「取得単価+買戻し時」の平均単価 ー 損出し時の売却価格)×株数
- 「買戻し時の購入価格」
ではなく、
- 「元々の取得単価+買戻し時の購入価格」÷2
表現が少々ややこしいですが、最後のまとめをご理解頂ければ大丈夫と思います。
よって、損だしの際は、翌日に買い戻せば「半分だけ損だしになってしまう」ことは避けられます。
ご参考になれば幸いです。
Best wishes to everyone.
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