2019年の米国高配当株について振り返ります。
高配当株に対する目線として、人にもよると思いますが、「数倍の値上がりを短期間で望むというより、高配当を享受しつつ、含み益も乗れば」というスタンスが多いかもしれません。
2019年は、それを体現した年だったのではないでしょうか。
2019年の米国高配当株
2019年の米国高配当株ETFを振り返る
VYM:赤、HDV:青、SPYD:黄
上図は、米国高配当株ETFである「VYM」・「HDV」・「SPYD」の年初来チャートです。
2019年初来の配当を含まないリターンは以下の通り。
・VYM :+20.2%
・HDV :+16.6%
・SPYD:+16.5%
2018年は10月あたりから相場が調整し始め、クリスマスに大きく下げました。この年末の下げによる「発射台の低さ」を含めても、出色のリターンです。
米国株は堅調、日本株は高配当バリュー株も夏の下げでしっかり拾えていれば僥倖も僥倖、更にJリートも凄まじかったというところと思います。
2019年は、高配当株投資家にとって、高配当を享受し、更に含み益まで大きく乗るような1年だったのではないでしょうか。
2019年の米国高配当個別株を振り返る
個別株も見ておきます。
ADR含む米国株において、比較的メジャーな高配当株として、上図・以下が挙げられます。
ティッカー | 業種 | 値上がり幅 |
SO | 電力 | 45.2% |
BTI | たばこ | 34.8% |
T | 通信 | 32.8% |
IBM | 情報技術 | 17.4% |
JNJ | ヘルスケア | 14.1% |
VZ | 通信 | 9.8% |
MO | たばこ | 2.2% |
XOM | 石油 | 0.3% |
こちらも発射台の低さは留意必要も、総じて堅調。エクソンモービル(XOM)、アルトリアグループ(MO)は低調。これは配当を含まない数字なので、配当分も加えると上振れます。
以下各論です。
IBM
IBMは「枯れた株」としてのイメージが完全に定着化していると思われます(笑)が、買い時がよかったので、なんだかんだ悪くないパフォーマンスを見せています。
JNJ
ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)。オピオイド、タルクなど訴訟を抱えながら、株価は130ドルで何度も反発。結局目下140ドル台の平時に戻っています。いかにもな動きで、株価における一定の下方硬直性は健在です。
XOM
エクソン(XOM)は、シェールオイルの投資は足もと減速気味ながら原油相場は依然低迷する逆風下、長期化すると見通しやや厳しそうです。見通しネガティブとしたいです。
MO
アルトリアグループ(MO)は、目下大きく反発中で、低迷期の今年に買い増した投資家は恩恵に浴しています。
SO
サザン(SO)もそうですが、今年は公益セクター・電力株が傑出したパフォーマンスだったように感じます。調整局面でもほとんど下げず、流石の動きでした。
T・VZ
AT&T(T)、ベライゾン(VZ)の通信株も、一部去年から、そして今年は面目躍如の格好。万年横ばいのイメージも、特にAT&Tにおいては、強いキャッシュフローを背景とした積極的な債務返済が印象的です。
2019年の米国高配当株まとめ
今年は本当に、米国株の強さが際立った印象を受けます。
ISM製造業指数は11月に48.1と4か月連続で節目の50を下回るなど、一部経済指標は以前より減速気味ながら、足下の19年11月小売売上高はやや下振れ気味も依然前月比+0.2%とプラスを維持・非製造業指数は堅調維持など、ユーロ圏や日本より概して強かったです。
米FRBの予防的利下げも追い風です。2019年は3度も利下げしました。あくまで現時点ながら、1995年・1998年型の形で、株価は堅調維持という形になっています。
このようなマクロ的な追い風も受け、2019年は高配当株投資家にとって、「高配当を享受し、更に含み益まで大きく乗るような1年だった」という方が多いと思います。
とはいえ、これはこれとして有難く感じつつも、このような恵まれた年が毎年あるとは限らず、あくまで来年からはまた新たな気持ちで臨みたいものですね。
リセッションや調整が来ることも念頭に、平時から可能な限り心地よい投資方針を定めておくこと、肝要と思います。その心地よい投資方針として、高配当株というのは、やはり良案です。
各人がしっくり来る手法、そして種々の手法も認めつつ、広い視野で柔軟に相場変動を受け止めていきたいところですよね。
乗る船型・辿るルートは違えど、船頭が目指す方向は、舵取りする方向は、あくまで同じ目的地であるはずです。
Best wishes to everyone.
FRBの利下げ・予防的利下げについては、以下に詳述しています。
おすすめETF第一位は、SPYDです。ただ直近あまり買い場がないですね。