シングルマザーの方から、「子供に伝えたい投資と生き方、そして今後のお金との向き合い方」についてご質問を頂きましたので以下回答申し上げます。
私も幼い頃に親を亡くし、親が大変だった姿・ひたすらに努力してきた姿や生きざまを見てきたので、他人事とは思えません。一方、大変だからこそ、お金というものと向き合う非常に良い機会にもなり得るかと存じます。
こうやってブログを通じて同じような境遇の方のお役に立てる(かもしれない)機会を得られるのは、ブログをやっていて良かったと感じる瞬間でもあります。
シングルマザーと、子供と、お金の付き合い方と。
題名: シングルマザーが子供に迷惑をかけないためのお金の付き合い方に
メッセージ本文:
三菱サラリーマン様
はじめまして。
50歳、中3と高3の子供を育てているシングルマザーです。
いつもTwitterやブログを拝見させていただいています。
今日は今後、子供にお金の事で迷惑をかけないために今からどのよ
私は現在看護師をしていて給料は毎月手取りで27万円ほどです。
来年、給料は下がりますが夜勤のない職場に変わろうかと迷ってい
2人の子供の大学(国公立大)進学のためにそれぞれ800万円
この先子供の成人式と結婚式にそれぞれ50万円ずつのお祝いと、
三菱サラリーマンさんの記事を読み、投資を始めたいと思っていま
三菱サラリーマンさんとはあまりにも立場が異なるので、質問する
50歳、女性、子供2人のシングルマザーの今後のお金との付き合
ご質問、誠にありがとうございます。状況につき、拝承いたしました。
私の母も、昔は某大手信託銀行に相談しつつ投資信託をしていましたが、経費率が1%超、売買手数料2%というボッタくり金融商品を勧められ投資していた経緯があるので、まずこちらにご相談頂き、有難いです。
- 50歳シングルマザー、お子さま2人(高3・中3)
- 月給手取り27万円(今後減る見込み)
- お子様各々へ進学のため800万円貯金(下宿・10万仕送り予定)
- 貯金2,000万円
- 持家
- 成人式・結婚式の際にはお祝い金
お子様2人を女手1つで働きながら育ててらっしゃるということで、ご苦労も多いかと思います。更に看護師さんということで体力面も大変かと推察します。
そんな中、少しでもキャッシュフローが増えれば、お財布にも心にも、少しは余裕が出来るかもしれません。
お金はあくまで副次的な存在ですが、一方で不足感があると余裕を奪い得るものなので、資産運用はやはりご検討されてよいと思います。
次は夜勤のない仕事環境とはいえ、仕事に育児に家事に、時間は目一杯そちらに取られるのではと推察いたします。
以上の状況から、「資産運用にかける時間・余裕は限定的」という前提で以下進めさせて頂ければと思います。
個別株ではなく、ETFか投資信託が好適。
まず、結論は以下の通りです。
証券口座
- SBI証券か楽天証券
ETFならば、VTI or VYM
- 配当金というキャッシュフローあり、お子様が投資を知る際にも分配金の存在は好適
- SBI証券の自動積立サービスなら安値は狙えないが、平均点を狙え手間不要
投資信託ならば、eMaxis Slim S&P500
- 配当金というキャッシュフローなし
結論から申し上げますと、「資産運用にかける時間・余裕は限定的」という前提から、投資対象は個別株ではなく、ETFまたは投資信託が好適です。
ETFならば、なかでも「米国株全体に投資可能なVTI」か「高配当株に分散投資可能なVYM」を推しますが、個人的には配当金というキャッシュフローを重視する(後述します)という意味で、やはりVYM推しです。
投資信託であれば、eMaxis Slim S&P500か楽天VTIで十分と思います。この投資信託の方が分配金が自動で再投資されるため、より手間はかかりませんが、それゆえに配当金というキャッシュフローはありません。
「高配当株ETF(VYM)への投資による配当金というキャッシュフロー」を重視する理由は、やや長くなってしまいますので、詳述した以下記事をご参考に供します。
なお、ETFとは、「マクドナルド、P&G、コカ・コーラ(社名はあくまで例)など数十社~数百社の企業群が1つのパッケージ商品として組み込まれ、ETF1つを買えば、その数十社~数百社の企業に一括で分散投資できる」とご理解いただければ大丈夫です。
上述の通り、資産形成・資産運用の際、VYMように分配金が定期的に出るものではなく、分配金の出ない投資信託も一案にはなります。
ETFか投資信託、どちらが好適か? → ETF(VYM)
しかし、ご質問者様の場合、
子供たちには投資のことを知ってもらい、私に何かあった時にも自
立して生きていく方法を伝えたい
と記載いただいている通り、「投資を知る」際には、配当金という定期的なキャッシュフローが実際に生まれた方が、確実により実感が湧くかと思います。
「あまり手をかけずとも、金融資産からキャッシュフローが生まれるんだ」ということを実感するには、分配金のない投資信託よりも、分配金のあるETFの方が、より好適と思います。
以上から、ETFに絞って以下記載させて頂きます。
更に、以下再掲しますが、
子供たちには投資のことを知ってもらい、私に何かあった時にも自
立して生きていく方法を伝えたい
ということで、「ご自身のためというより、どちらかと言えばお子さんたちのため」という色彩が強いと推察します。
ゆえに、50歳というご年齢を考慮したとしても、お子さんへの資産継承も考え、長期投資という選択肢は捨てる必要なしと思います。
しかし、育児に家事にお仕事に、ご多忙と拝察しますため、SBI証券の自動積立サービスを利用して、毎月定期的に積み立てていく形でも良いと私は思います。
VYMの積立額はいくらぐらいが良いのか
貯金が2,000万あるとの事ですが、目下米国は景気拡大が10年超も続き、株式市場はS&P500が最高値更新中ということで、ここで多くの資金を投じるのはおすすめできません。
しかも投資自体が初めてということであれば、まずは少額、例えば月5万円など少額から毎月決まった日にVYMを購入し、「これぐらい株価が動くんだ」など体感してみることが良いかと思います。
1点、注意点としては、株式に投資する以上、価値が半分になることも起こり得ます。リターンがある以上、リスクも包含します。リスクについては以下記事に詳述していますので、よろしければご参考にしてください。
▶米国高配当株ETFの投資にあたり、留意すべきこと【ETFのリスクとは】
以上述べてきた要素を踏まえますと、ひとつの案として、以下の通りとなります。
▶証券口座
SBI証券
▶投資対象
SPYDまたはVYM
▶投資方法
SBI証券で自動積立サービスを利用し、毎月積立
▶投資金額
相場は高値更新中、投資初めてということで、月5万円など、まずは少額から。
結論的にはこのような案に着地するのですが、おすすめしていて心苦しい部分は、株式というのは、いつ最高値を迎え、いつ暴落を迎えるのかは、こればかりは読み切ることが出来ないということです。
もしかすると、向こう5年間、大方の予想に反してまだ米国株が伸び続けるのかもしれません。その場合、月5万円ではなく、一括で投資した方が良いことになります。その一方で、半年後に暴落が来るかもしれません。その場合、月5万円を投資せず、半年後に投資を始めた方が良いことになります。
つまり、相場が読めない以上、投資方法において100%絶対的な正解、各局面でもベストとなる投資手法というのを適時採ることは非常に困難であるという前提は、株式投資をする上で、ご理解頂けると思います。
そこで時間的な制約がある中での、やはり中庸となるのが、定期積立になるという形です。投資が初めてかつ今の相場環境に鑑みますと、少額から始めて少しずつ投下額を増やしていく形が良いかと思います。
相場環境に関する私なりの考えは今後も適時ブログでお伝え申し上げられればと思います。
「子供たちに投資のことを知ってもらい、母に何かあったときに自立して生きてもらう方法」とは。
子供たちには投資のことを知ってもらい、私に何かあった時にも自
立して生きていく方法を伝えたい
お子さんは母の背中を見て育ちますから、特に母子家庭は「母の生きざまそのもの」を見て色々なことを思うはずです。
- 「なぜうちには父親がいないんだろう」
- 「なぜ母はこんなに身を粉にして働く必要があるんだろう」
- 「自分が働けるようになれば、お金を稼げるようになれば、母は楽になるかもしれない」
もしかするとこんなことも考えてらっしゃるかもしれません。両親より片親で育った子の方が色々なことに気づけるという一面は、あると思います。
片親は決して恵まれていないことではなく、表裏一体で、色々なことに子が気づける機会を与えることが出来るのだと思います。
母が一所懸命に子のために何かをしたり、働いている姿を示していれば、何か主体的に伝えようとせずとも、子は確実にその生きざまを間近で感じるものと思います。
私は配当金の重要性を説いていますが、ことさら金融所得を過度に美化するつもりはありませんし、労働は労働で「人のために何かをする」という点において尊いことだと思います。
その一方で、やはり資本主義の側面(お金がお金を生む)をお子さんに示唆するのは、現行社会システムを知るという意味で、良いのかもしれません。ただし、やはりお金に傾倒しすぎるのも考えものですから、そのあたりはバランスが必要と思います。
お金はあくまで人生の選択肢を増やすツール、ということですよね。お金自体が目的化すると、、やや不味な部分もあるかと存じます。
株主優待のある日本株の購入は、実感が湧くという意味では一案
お子さんに株式投資に親しみを持ってもらう1つの方法として、株主優待は一案と思います。定期的に現物としてモノが送られたり、商品券が送られてくるので、不思議な感覚や興味を抱きやすいです。
株式を保有すると、定期的にモノが送られ、そのモノが自分の興味のあるものであれば、尚興味深く感じると思います。
親が積極的に働きかけると、反面、反発しようとする子供もいますから、さりげなく株主優待が送られてくることを認識してもらうことで、抵抗感もあまりなさそうですね。
私に何かあった時にも自
立して生きていく方法
こちらについては、「価値観や価値基準が多様化していく社会の中で、一体なにに重きを置くのか」というところでしょうか。
世間で一流企業とされるところに入ることが絶対的な価値基準でもないですし、高いマンションに住むことや、名誉のあることが絶対的な価値基準でもありません。
子女に資産を多く残せばよいかと言うと、必ずしもそうでない場合もあります。多額の株式を子女に相続したものの、結局子女が親の教えに反して売却し、使い果たしたケースも聞き及びました。
このように、親がなにかモノとして遺したものは受け継がれるか定かではありません。しかし、「親の生き様」は確実に子の胸の奥深くに生き続けると思います。
- 相手を思いやる気持ち、
- 相手に寄り添うこと、
- 人のために何かをするということ、
- 自分の信念を持つということ、
- 強者が弱者を助けるということ、
これらは普遍的かつ汎用性が高く、生きていくために最も重要かつ尊いことだと思います。
ですから、生き様を子に示し続けることこそが、結局なにかを遺すことになるのではと、大変に僭越ながら、思う次第で御座います。
ご参考になりましたら幸いです。ご不明点等あれば遠慮なくご連絡ください。
Best wishes to everyone!
VYMについては、以下記事に詳述しています。
理想としては、安値で買えれば理想です。しかし時間を割けない等の事情もあると思いますので、その場合は定期積立も一案となります。
配当金のメリットについては、以下記事に詳述しています。
コメント
三菱サラリーマン様
いつも拝見させて頂いております。
コメント力に大変感心しました。
今後も活躍を期待しています。