約2万ドル分保有しているIBMの2019年第3四半期の決算を振り返ります。IBMは昨年底値での買い増しが奏功し、何気に地味に気に入ってる銘柄です。
そして毎々ながら、微妙な決算内容です(笑)
減収が止まらないIBM。果たしてこのIBMの減収もいつか止まるのでしょうか。
【IBM】2019年第3四半期決算、減収続く微妙な決算も年間FCFガイダンスは維持
決算ハイライト:EPS○ 売上×
Q3’19決算 | 市場予想比 | |
調整後EPS | $2.68 | + $0.01 |
売上 | $18.03B | – $190M |
- Q2比で67億ドルの債務削減
- 売上高180億ドルで前年同期比-3.9%(ただし為替・売却事業調整後は-0.6%)
- フリーキャッシュフロー18億ドルに対し、配当支払い14億ドル、自社株買い1億ドル(自社株買いはRed Hat買収に伴い7月9日から停止)
- ガイダンスはEPS・FCFともに維持
今回がレッドハット買収後に反映される最初の決算です。
まずはこのレッドハット買収で大きく膨れ上がった債務が67億ドル減ったということでこれは朗報。(ただし自社株買いは停止)
一方売上高は引き続き減収でいつもながらあまり良くありません。
引き続き減収の売上高内訳
Q3’19 | 前年同期比 | Q3’18 | |
Cloud & Cognitive Software | 5,280 | +318 | 4,962 |
Global Business Services | 4,117 | +41 | 4,076 |
Global Technology Services | 6,700 | -401 | 7,101 |
Systems | 1,481 | -255 | 1,736 |
単位:$ mil
- 買収したRed Hatのデータプラットフォームや、AI・IoTなどを含むクラウド&コグニティブ部門や、グローバルビジネスサービス部門は前年同期比増収も、それ以上にクラウドサービス・技術サポートを含むGTS部門・システム部門の減収が響き、全体として引き続き減収
ということで微妙です。GTSやシステム部門の減収を補いきれない構図が続きます。
グロスマージン:小幅に悪化
Q3’19 | 前年同期比 | Q3’18 | |
Gross Profit Margin | 46.2% | -0.7% | 46.9% |
前年同期比でほぼ同程度。
ガイダンス:維持
Q3’19時点 | |
調整後EPS | $12.8以上 |
フリーキャッシュフロー | $12.0B |
IBMの2019年における年間配当支払い額は約56億ドルなので、フリーキャッシュフロー120億ドルを前提とすると、FCFベースの配当性向は46%と当面の配当余力自体はあると見受けられます。
350億ドルから560億ドルにまで増えた長期借入金ですが、今期にやや返済しています。今期フリーキャッシュフロー180億ドルのうち155億ドルが株主還元(配当支払・自社株買い)に回されています。
ただし、自社株買いは前述の通りRed Hat買収に伴い一旦停止。それにより、今まで実施してきた自社株買い起因のEPS上昇は当面なくなります。
IBMの最大の特徴はキャッシュフローの潤沢さです。フリーキャッシュフローベースの配当性向は余裕があるものの、過去の遺産が蝕まれつつある中、戦略的事業であるクラウド・コグニティブなどがどれだけ収益化できるのかが注目です。
本業によるEPS上昇が今後描けるのかが最大の注目であり、Red Hat買収により上表の通り巨額の債務が計上されており、肥大化した長期債務が今後も削減されていくのかが個人的に注目ポイントです。
直近決算は引き続き微妙な結果ですが、毎々微妙な決算が続いているため、やや投資家を麻痺させているのではと思うほどに、あまり期待されていない銘柄な気がします。
ただ、株価横ばいながら買値以上の値で配当もしっかり吐き出してくれる銘柄なので、個人的には現状OKです。
引き続きIBMは配当持続性をチェックしつつ、様子見しつつ、ホールドします。
Best wishes to everyone!
IBMについて、以前配当持続性を検証してみたものです。
2019年1Q決算はキャッシュフローは堅調でしたね。
IBMはこの時に大きく買い増したのが非常に大きかったです。こういうところで買える局面を今後も増やしていきたいところです。