三菱サラリーマンさんおはようございます。突然のDM、不躾で申し訳ありません。
一つお尋ねしたいことがあり、DM送らせていただきました。
現在某化学メーカーに勤めており、従業員持株制度があります。
内容は、拠出額の10%上乗せで、自社の株式を毎月購入するというものです。
(弊社の配当金は平均3.2%ほどを推移しています。)
三菱サラリーマンさんのように、給与から(他社の)株式を購入はしているのですが、この持株会の制度が非常に魅力的だと感じ、こちらに積極投資したいのですが、いかがでしょうか?
尚、持株会で買付した株の配当金は、0.1円単位で再投資されます。
お忙しいところ長文で申し訳ありません。お答えいただければ幸いです。
奨励金10%の持株会に積極投資すべきか
結論から申し上げますと、やはり会社の将来性に対する判断、ここが極めて重要なポイントです。
拠出額の10%上乗せというのは、実際確かに有利です。これ自体は断然利用すべき価値のある優遇ポイントですね。
ただ、一方で「自社株に積極投資するということは、個別株に集中投資すること」を意味しますから、その個別株リスクと10%の奨励金というメリットを天秤にかけて決断するという整理になります。
実際にお勤めの企業がどこか不明なので私からは何とも言えませんが、化学メーカーにお勤めということですので、既にご存知とは思いますが、化学産業における概要・特徴を投資対象としての観点からつかんでおきましょう。
以下売上高順に日本の化学セクター企業を例示します。
企業名 | 売上高 | 純利益 | 営業CF | 営業CF マージン |
|
1 | 三菱ケミカルHD | 3.9兆円 | 1695億円 | 4155億円 | 11% |
2 | 富士フイルムHD | 2.4兆円 | 1381億円 | 2493億円 | 10% |
3 | 住友化学 | 2.3兆円 | 1179億円 | 2081億円 | 9% |
4 | 旭化成 | 2.1兆円 | 1475億円 | 2120億円 | 10% |
5 | 信越化学工業 | 1.5兆円 | 3091億円 | 4006億円 | 27% |
6 | 花王 | 1.5兆円 | 1536億円 | 1956億円 | 13% |
7 | 三井化学 | 1.4兆円 | 761億円 | 1094億円 | 8% |
8 | 積水化学工業 | 1.1兆円 | 660億円 | 852億円 | 8% |
9 | 資生堂 | 1兆円 | 614億円 | 925億円 | 9% |
10 | 昭和電工 | 9921億円 | 1115億円 | 1497億円 | 15% |
この辺りの上位企業、特に旭化成・信越化学・花王・資生堂あたりは個人的には自社株として投資するにあたり、好みの企業と言えます。
旭化成なんかは、旭化成建材の不祥事の時期は絶好の買い場でしたし、業績は非常に安定しています。就活で訪問したことがありますが、趣向を凝らしたセッション内容でした。
ただ、上表の通り、信越化学工業を除いては営業キャッシュフローマージンは10%近傍であり、高いとは言えません。そして、それなりに設備投資も必要な業界です。
例えば、政策投資銀行(DBJ)の「化学産業の設備投資動向」によれば、国内設備投資増減率推移は以下の通りで、化学産業は製造業の設備投資増減率と酷似しています。
そして近年では自動車向け素材や電池・電子材料・半導体向け素材など、生産能力増強や製品高度化を目的とした設備投資が必要になるなど、景気敏感セクターかつ一定の設備投資が必要な産業です。
また、化学株は、原材料に原油が使われることが多いことから、業績の変動要因として原油価格が安ければ原材料安、原油価格が高ければ原材料高といった影響があります。
更に、化学業界は市況も関係してきますね。記憶に新しい2017年には、中国環境規制に伴いエチレン市況は堅調、エチレンプラントの高稼働に繋がりました。
まとめ
以上のような特徴から、化学産業は一般的に景気敏感株に分類されるものであり、ディフェンシブ銘柄には類しません。(上段にある花王のような生活必需品銘柄は除く)
ですので、ご自身の勤める企業の
- 将来性
- 特徴
- 株価変動の大きさ
- ディフェンシブ性
等の要素を勘案して、決めることになります。
実際どの企業における自社株に積極投資するのかは不明なため、以上のようなやや曖昧な表現に終始してしまいますが、もし銘柄分析が必要であれば「お問い合わせフォーム」から遠慮なくご連絡ください。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
従業員持ち株会については、以下記事もご参考に供します。