超高配当たばこ株、ベクターグループ【VGR】銘柄分析

【VGR】ベクター・グループ/ベクトル・グループは1873年に設立のマイアミの本社を構える米国企業。たばこ事業と不動産事業の2本柱で、たばこ事業は傘下のリゲット・グループを通じて「ピラミッド」「リゲット・セレクト」「グランド・プリックス」などのブランドを擁します。
当該企業の特徴はなんと言っても20年連続増配で2019年4月末時点の配当利回りが16.6%と驚異の高配当であり、数字上は危うさ満点の企業です。
では実際にどれくらい危ういのかをチェックすべく、同社各種指標を見てみましょう。
【VGR】業績推移
まず同社の①売上高・②営業利益・③純利益・④営業利益率・⑤営業キャッシュフローマージンを見てみましょう。

売上高は堅調、営業利益もまぁ伸びてはいます、ただしこの業績推移を見て思うのは、たばこ産業にしては営業利益率と営業キャッシュフローマージンが低いですね…。
【VGR】営業CFマージン比較vs同業他社
ということで、たばこ各社(MO・PM・BTI)と営業CFマージンを比較してみましょう。

やはりVGRの営業CFマージンは他社と比べて二段階ぐらい落ちますね。うーんこの水準ですとあまり食指が動かないですね。これならばいくらVGRが高配当と言えども、私なら価格決定力・収益力に勝る他の3社を選好すると思います。
【VGR】FCFPS・EPS・DPS・配当性向
更に以下4つの指標を見てみましょう
- FCFPS(1株あたりのフリーキャッシュフロー)
- EPS(1株あたりの純利益)
- DPS(1株あたりの配当)
- 配当性向

過去10年間の全ての年において「DPS>FCFPS・EPS」となっているのも大いなる懸念点です。配当性向も全ての年で100%を超え、150%~500%で推移しているため、配当支払余力に疑義が生じます。
よく20年連続で増配してこれたなぁというのが率直な印象。では長期借入金と発行済み株式数を見てみましょう。
【VGR】長期借入金・発行済み株式数

過去5年間で長期借入金・発行済み株式数が増加しています。借入および株式発行によるファイナンスが増えていることが示唆されます。
【VGR】キャッシュフロー推移
では、更に直近のキャッシュフローを見てみましょう。

直近3年間、営業CFは順調に増加も、額としては配当支払より少なく、また、先に示した借入金の増加を裏付けるように、純債務計上額(長期借入ー返済)が多く、そのほぼ同額の配当支払が近年なされていることがわかります。
さすがに営業キャッシュフローより配当支払額の方が多いのは気になりますね。営業CF>配当支払額であることは三菱サラリーマン的には最低限満たしておきたい点です。
【VGR】トータルリターン(VS S&P500)
下図はS&P500との配当再投資込みのトータルリターン比較です。1988年~2019年3月末時点で、VGRが意外にもS&P500に勝っています。

リーマンショックでの落ち込みが軽微である一方、2017年頃からの落ち込みが激しいですね。S&P500より相当ボラティリティが高いことがわかります。
【VGR】ベクター・グループに対する雑感
VGRの業績・指標についてまとめると以下の通りです。
営業CFマージン:BTI>MO>PM>VGR
配当性向:150%~500%
配当安全性:DPS>FCFPS・EPS、配当支払額>営業CF
配当利回り:16.6%
連続増配:20年
過去30年トータルリターン:VGR>S&P500
まさにハイリスク・ハイリターンな銘柄ですね。個人的には1万ドルぐらい突っ込んでも面白そうではありますが、その場合はいつ減配されるのかわからない恐怖と隣り合わせになりそうですね。
収益力・財務健全性・配当持続性などは同業他社のアルトリア・グループ【MO】や、フィリップ・モリス【PM】などとは大きく劣るのが実情ですから、無理にVGRに投資せずとも、MOやPM・BTIなどへの投資を選好するのが普通でしょう。だからこその超高配当を示現しているのでしょうね。
ただ、この銘柄は英文投資サイト等を見る限り、数年前から減配リスクを指摘されており、どこまでこの配当が維持されるのかは要注目です。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!