【VTI】、S&P500ETF【VOO】とは?
本記事では、VTI・VOOを比較しています。結論としては両者に決定的な差は見いだせず、好みの範疇といえるでしょう。
VTIもVOOも、「米国株の未来に賭け、市場全体/平均への投資を通して簡便に資産形成をめざす投資家」にとって、有力な選択肢となるETFです。
背景は以下2点。
- 良好な過去リターン傾向
- 米国株の分散投資が簡便
以下、VTI・VOOの概要・詳細を見ていきます。
【VTI】バンガード・トータル・ストック・マーケットETFとは?
VTIとは、端的には以下の通り。
- 米国株へ全体的に投資できるETF
- 設定日 2001年5月
- 大手資産運用会社(バンガード社)が組成
- 経費率(手数料)0.03%
【VOO】が連動する「S&P500」とは?
S&P500(S&P500種株価指数)とは、米国証券取引所上場の代表的な約500銘柄で構成される株価指数を指します。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出・公表しています。
これは、ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場する500銘柄の株価を時価総額比率で加重平均した指数です。1941年から1943年の平均を10として算出されます。
このS&P500に連動するETFとして、同じくバンガード社が組成する【VOO】というETFがあります。
では、以上を踏まえてVOOとVTIの比較をしてみましょう。
【VTI】と【VOO(S&P500)】を比較
両ETFを以下の点で比較します。
- 保有銘柄数(分散度)
- 経費率(手数料)
- セクター比率(分散度)
- 組入れ銘柄(特徴)
- 配当利回り
- トータルリターン(パフォーマンス実績)
①保有銘柄数
ETFの名称 | 保有銘柄数 |
---|---|
VTI | 3,935 |
VOO | 507 |
※2021年9月13日時点
VTIとVOOの最も異なる点は、この保有銘柄数の差です。それ以外の後述する項目は、現時点で大きな差は見いだせません。
VOOの約500銘柄でも分散度としては十分といえ、特段の優劣は見いだせません。なお、VTIは2020年12月時点では3,590だったので増えています。
ちなみに「細かい名称」のお話としては、以下の通りです。
- VTIは市場全体へ投資できる「パッシブ投資」と呼ばれ、
- VOOはS&P500に連動する対象に投資する「インデックス投資」と呼ばれます。
②経費率(手数料)
VTI | 0.03% |
VOO | 0.03% |
※2021年9月13日時点
- 同じです。2019年に両方0.04%から下がりました。
- どちらも低水準の手数料。問題ありません。
③セクター比率
両ETFのセクター構成比率を比較します。
VTI
セクター | 2020年12月 | 2020年1月 |
---|---|---|
テクノロジー | 26.5 % | 20.1% |
一般消費財 | 16.3 % | 13.5% |
ヘルスケア | 14.0 % | 13.6% |
資本財 | 13.3 % | 13.4% |
金融 | 10.1 % | 19.1% |
生活必需品 | 5.5 % | 7.6% |
不動産 | 3.5 % | ー |
電気通信 | 3.4 % | 1.8% |
公益 | 3.4 % | 2.8% |
素材 | 2.0 % | 2.3% |
Energy | 2.0 % | 5.8% |
VOO
セクター | 2020年12月 | 2020年1月 |
---|---|---|
Information Technology | 27.5 % | 21.0% |
ヘルスケア | 14.1 % | 15.1% |
一般消費財 | 11.6 % | 10.3% |
Communication Services | 11.1 % | 10.0% |
金融 | 9.8 % | 13.3% |
資本財 | 8.4 % | 9.7% |
生活必需品 | 7.0 % | 6.7% |
公益 | 3.2 % | 2.8% |
Materials | 2.7 % | ー |
不動産 | 2.6 % | 2.7% |
Energy | 2.0 % | 6.0% |
- 概して大きな差はありません。両ETFともIT(テクノロジー)セクターが一番多く、ともに約3割です。
- ハイテクの躍進により、2020年初よりも比重がさらに高まっています。
④組入れ上位銘柄
VTIとVOOの組み入れ上位10銘柄は組入比率が違うだけで、銘柄自体は全て同じです。
2020年1月時点
銘柄名 | 保有比率(%) | |
VTI | VOO | |
Apple Inc. | 3.3% | 4.2% |
Microsoft Corp. | 2.9% | 3.6% |
Amazon.com Inc. | 2.8% | 3.3% |
Alphabet Inc. | 2.4% | 3.0% |
Berkshire Hathaway Inc. | 1.4% | 1.7% |
Facebook Inc. | 1.3% | 1.6% |
JPMorgan Chase & Co. | 1.3% | 1.5% |
Johnson & Johnson | 1.2% | 1.5% |
Exxon Mobil Corp. | 1.2% | 1.5% |
Bank of America Corp. | 0.9% | 1.1% |
2020年12月時点
銘柄名 | 保有比率(%) | |
VTI | VOO | |
Apple | 5.1% | 6.4% |
Microsoft | 4.7% | 5.6% |
Amazon | 4.0% | 4.7% |
1.9% | 2.3% | |
Alphabet (Class A) | 1.5% | 1.8% |
Alphabet (Class C) | 1.4% | 1.7% |
Berkshire Hathaway | 1.2% | 1.5% |
Johnson & Johnson | 1.1% | 1.3% |
Procter & Gamble | 1.0% | 1.3% |
0.9%(Visa) | 1.1%(NVIDIA) |
2021年9月時点
銘柄名 | 保有比率(%) | |
VTI | VOO | |
Apple | 5.1 | 6.1 |
Microsoft | 4.7 | 5.7 |
Alphabet | 3.4 | 4.2 |
Amazon | 3.2 | 3.8 |
1.9 | 2.3 | |
Tesla | 1.2 | 1.4 |
Berkshire Hathaway | 1.1 | 1.4 |
NVIDIA | 1.0 | 1.3 |
JPMorgan Chase | 1.0 | 1.2 |
Johnson & Johnson | 1.0 | 1.2 |
- AAPL、MSFT、AMZN、GOOG、FBなどハイテク大手が上位に名を連ねます。2021年にはTesla、NVIDIAが入りました。
- 組入れ上位銘柄も、ほぼ同じです。
補足
これら情報は、Vanguard社の公式ページより入手しています。
⑤分配利回り推移
上表はVTIとVOOの分配金/配当金推移を比較したものです。
- 一貫してVOOがVTIを上回るも、大差なし。
- 分配金利回りの差が開いた2016年9月9日・9月26日。その差は0.19%。有意な差はなし。
- 設定来分配金利回りの推移は、VTIが1.84%、VOOが1.91%。
- 共に分配金利回りが2%近傍に達すると、1%台に戻りやすい傾向。
例えば、2019年4月5日の分配利回り算出の際は、2018年6・9・12月及び2019年3月の分配金4回合計値をもとに算出。
⑥トータルリターン(年率)
トータルリターンもほとんど差はありません。
青:VTI 赤:VOO
- しいて言えば、ハイテク比率が少し高いVOOがVTIをやや上回る形。年率0.15%の僅差。
- 両者とも過去10年間で年率13%のリターン実績。
VTIとVOOの比較まとめ
- 保有銘柄数(分散度)
⇒ VOOよりVTIが分散度高い - 経費率(手数料)
⇒ 同じ - セクター比率(分散度)
⇒ 概して同じ、両者ハイテク比率高い - 組入れ銘柄(特徴)
⇒ 上位銘柄ほぼ同じ。 - 配当利回り
⇒ ほぼ同じ。 - トータルリターン(パフォーマンス実績)
⇒ ほぼ同じ。
ということで、もはやどちらを選ぶのかは好みの範疇と言えるでしょう。
米国株式市場の未来を信じるのであれば、VTIでもVOO(S&P500連動)でも有力な一案と思います。なお、流動性はSPY(ステートストリート社のS&P500連動ETF)より劣ります。
VTIやVOOに投資するということは、その国の企業成長に賭ける・BETすることを意味します。
先述の通り、2011~2020年における過去リターンは以下の通りで、非常に高い数字です。
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
---|---|---|---|---|
VTI | 17.6% | 17.1% | 13.4% | 12.1% |
VOO | 17.9% | 17.3% | 13.9% | – |
VTIやVOOを購入することで、以下のことが簡便に行いやすくなります。
- 資本市場として法整備がなされ、
- 流動性も高く、
- GAFAなど大規模・高利益率・寡占傾向の一部企業群の、
- 利益成長の果実を享受しやすい
Best wishes to everyone.
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