VYMとHDV、米国高配当株式ETFはどちらがおすすめか

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以下2つの米国高配当株式ETFのうち、どちらが良いかというご質問につき、以下述べます。

  1. 【VYM】バンガード米国高配当株式ETF
  2. 【HDV】iシェアーズ・コア米国高配当株ETF

米国高配当株式ETF【VYM】と【HDV】、どちらがおすすめか

VYM・HDVは、いずれもキャピタルと高いインカムの両取りが可能であってきたETFであり、配当所得を多く得たい投資家にとって過去傾向から有力な選択肢になるETFです。

どちらも信託報酬は安く、過去パフォーマンスも堅調、配当利回りもそれなりです。強いて言うならば、好みで分かれる形でしょうか。

拙著にも記載の通り、最も安定感が見られるのは【VYM】ですね。初学者でも取り組みやすいと思います。

以下両者の違いを見ていきましょう。

VYMとHDVを比較

両ETFを以下の点で比較します。

  1. 連動をめざす指数
  2. 保有銘柄数(分散度)
  3. 経費率(手数料)
  4. セクター比率(分散度)
  5. 組入れ銘柄(特徴)
  6. 配当利回り
  7. トータルリターン(パフォーマンス実績)
  8. 暴落時の下落率

【VYM・HDV】①連動指数

  • VYM:大型株の中でも、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を、重点的に組入れ
    (連動指数:FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス)
  • HDV:財務の健全性が高く、同時に、持続的に平均以上の配当を支払うことのできる、質の高い米国籍企業75銘柄で構成
    (連動指数:モーニングスター配当フォーカス指数)

予想配当利回りが高い銘柄で主に構成されるVYMに対し、財務の健全性が高いというスクリーニングを経ているのがHDVという格好ですね。

このスクリーニングがどれだけ健全になされるのかは、1つの注目ポイントです。たとえば、オイルメジャーが外れる場合、どのタイミングで外れるのかは興味深いところです。

【VYM・HDV】②保有銘柄数

  • VYM:404銘柄
  • HDV: 75銘柄

VYMの方が分散されています。

つまり、VYMは良くも悪くも1銘柄から受ける影響が相対的に少なく、HDVはその逆です。

【VYM・HDV】③経費率(手数料)

  • VYM:0.06%
  • HDV:0.08%

以前は両者ともに0.08%でしたが、2019年2月にVYMの経費率が0.08%から0.06%に値下げされ、以降はVYMに軍配が上がっています。

とはいえ、どちらも安く大差ありません。

【VYM・HDV】④セクター比率

VYM

2018年12月
金融 18.8%
消費財 14.2%
ヘルスケア 12.3%
テクノロジー 10.9%
消費者サービス 9.6%
石油・ガス 9.0%
公益 8.5%
工業 8.3%
通信サービス 4.8%
素材 3.6%
2020年10月
金融 18.7%
ヘルスケア 15.0%
消費財 14.0%
テクノロジー 10.4%
資本財 10.3%
公益 8.7%
消費サービス 8.5%
石油・ガス 5.9%
電気通信 4.6%
素材 3.9%

HDV

2018年12月
2020年10月

2018年時点では、VYMは金融セクターが多いのに対し、HDVはエネルギーセクターが多いのが特徴。

2020年時点では、VYMは依然金融セクターが多く、HDVはヘルスケアが第1位。エネルギーセクターのエクソンやシェブロンが低迷しており、順当な変化。

セクター比率も、銘柄入れ替えで変動するので逐次変わります。

【VYM・HDV】⑤組入れ上位10銘柄

VYM

2018年12月
銘柄名 保有比率(%)
JPMorgan Chase & Co. 3.7%
Johnson & Johnson 3.4%
Exxon Mobil Corp. 3.1%
Procter & Gamble Co. 2.9%
AT&T Inc. 2.4%
Cisco Systems Inc. 2.4%
Chevron Corp. 2.3%
Verizon Communications Inc. 2.2%
Intel Corp. 2.2%
Pfizer Inc. 2.1%
2020年10月
銘柄名 保有比率(%)
Johnson & Johnson 4.0 %
Procter & Gamble Co. 3.3 %
JPMorgan Chase & Co. 3.0 %
Verizon Communications Inc. 2.4 %
Intel Corp. 2.1 %
Merck & Co. Inc. 2.1 %
AT&T Inc. 2.1 %
Pfizer Inc. 2.1 %
Comcast Corp. Class A 2.0 %
Bank of America Corp. 2.0 %

HDV

2018年12月
銘柄名 保有比率(%)
EXXON MOBIL CORP 9.4
VERIZON COMMUNICATIONS INC 6.8
JOHNSON & JOHNSON 6.5
CHEVRON CORP 6.1
PROCTER & GAMBLE 5.7
PHILIP MORRIS INTERNATIONAL INC 5.4
WELLS FARGO 5.3
COCA-COLA 4.6
PFIZER INC 4.5
MERCK & CO INC 4.2
2020年10月
銘柄名 保有比率(%)
AT&T INC 9.0
EXXON MOBIL CORP 8.5
JOHNSON & JOHNSON 6.8
VERIZON COMMUNICATIONS INC 6.3
CHEVRON CORP 5.6
PFIZER INC 5.4
COCA-COLA 4.0
CISCO SYSTEMS INC 3.8
MERCK & CO INC 3.7
ALTRIA GROUP INC 3.7

VYM・HDVともに、構成銘柄上位に大きな変化はなく、引続き大型高配当株が占める形。

構成銘柄も、セクター比率同様に銘柄入れ替えで変動するので逐次変わります。

【VYM・HDV】⑥配当利回り推移

過去の分配(配当)利回り推移は、伝統的にHDVの方が高いですね。

【VYM・HDV】⑦トータルリターン

:VYM、:HDV

あくまで、2012年を起点とした期間に限ると、2020年9月に至るまで【VYM】が総じて上回っています。

なお、VYMは設定日が2006年なのに対し、HDVは2011年なのでご参考まで。

次に市場全体の暴落時における下落率も見ておきましょう。

【VYM・HDV】⑧コロナショックでの下落率

以下はコロナショックにおける月次ベースでの最大下落率です。

  1. 24.0% VYM
  2. 26.1% HDV

大差なしながら、ややVYMに軍配。

参考までに、2020年初来のトータルリターンも見ておきましょう。

:VYM、:HDV

コロナにおける月次ベース下値からの足もと反発率は以下の通り。

  • 12.5%:VYM
  • 14.6%:HDV

当該期間の反発局面においても、VYM・HDV共に概ね似た動きですね。

VYMとHDVの比較まとめ

VYM・HDV比較ポイント
  1. 保有銘柄数(分散度)
    ⇒ VYMの方が良くも悪くも分散度高い
  2. 経費率(手数料)
    ⇒ VYM若干安い
  3. セクター比率(分散度)
    ⇒ VYMの方が良くも悪くも分散幅広い
  4. 組入れ銘柄(特徴)
    ⇒ HDVの方が良くも悪くも上位銘柄の占める割合高い
  5. 配当利回り推移
    ⇒ HDVの方が良くも悪くも概して高い
  6. トータルリターン(パフォーマンス実績)
    ⇒ 現時点では概ねVYMに軍配
  7. コロナショックでの下落率           ⇒ 大差なし、VYMに軍配

ということで、高配当株ETFの中では、VYMとHDVいずれも選択肢になり得ると思います。

身もふたもない話ですが、VYMとHDVのどちらが良いかを細かく突き詰めて考えるのもよいですが、それよりインパクトが大きいのは、資産運用の元本・原資をいかに築くかです。

トータルリターンは自身でコントロール不可能であるため、ある程度コントロール可能である「収入ー支出の最大化」に最も注力したいところですね。その点も踏まえた上で、資産運用をお考えになることが一案です。

Best wishes to everyone!

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公開日:2018年12月18日