米軍からの防衛装備品調達額を配当金で回収【LMT/RTHへの国富流出】

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外資企業への国富流出は株式を購入し、配当金で回収

要するに、防衛装備品代金の支払いを2年から4年延期してほしいと防衛省が国内業者に要請したという趣旨の記事だ。延期要請の理由は、〈高額な米国製兵器の輸入拡大で「後年度負担」と呼ばれる兵器ローンの支払いが急増〉したことだという。

5年前と比べて約6倍(対外有償軍事援助のローン残高)にもなっているとは驚きである。

出所:トランプが嬉々として吹聴「日本がすごい量の防衛装備品を買ってくれる」

最新鋭戦闘機F35Aも6機を916億円で追加取得する。1機当たりの値段は12年度の96億円から約150億円に跳ね上がった。部品の調達、メンテナンス、修理など経費に使用年数をかけてはじき出すライフサイクルコスト(総費用)は、当初より16%増えて2兆2千億円となった。防衛省関係者がこう不安を語る。

「防衛装備品の価格は米国のロッキード・マーチンなど軍事企業の言い値です。日本企業では調達できないので、金額を吊り上げたり、納期を守らなかったりというのが常套手段になってぼったくり状態。トランプ氏との約束でF35Aはあと40機くらい買わされるのではないかと心配されている。ライフサイクルコストはトータルでいくらになるのか、想像もつかない」

出所:安倍首相とトランプ大統領の“密約” 防衛費倍増で11兆円へ

最近FMS(対外有償軍事援助)など、あまり国内防衛産業に旨味のない、米国からの割高な防衛装備品調達が話題になっています。

私は別に国粋主義者ではありませんが、日本で平和に育ってきた日本人にとってはあまり好ましいとは言えないものではあります。

しかし、資本とは基本的には国境をまたぐものであり、資本の自由な移動がある程度は保障されているのが資本主義の良いところでもあります。

株式買付によって流出した国富・高収益の一部を享受

となれば、そこで考え付くのは、米防衛装備品大手である以下2社の株式を購入し、割高に売却しているのであれば、その収益性の一部を我々が享受することが一案です。

  1. 【LMT】ロッキード・マーチン
    配当利回り2.95%
  2. 【RTH】レイセオン
    配当利回り1.75%

両社が高値売却で得た利益は、最終的には利益剰余金として蓄積され、それは株主資本でもあり、株主への配当金原資にもなるわけです。

会社の懐から株主へ形を変えた富の移転が合法的に行われるわけであり、これを利用しない手はありません。

要は、もし日本の人々が両社の株式を購入すれば、日本政府経由で国富が流出する分の一部を回収できることになります。

日本の10人に1人が米軍事大手に投資したら

仮に日本国民1億2000万人のうち、1,200万人が100万円をLMTかRTHに投じたとしましょう。

その場合の投資総額は以下の通り。

  • 1,200万人×100万円=12兆円

もはや両社の時価総額と同等の水準になってしまいましたが、2社以外へも振り向けること自体は可能ですから続けましょう。あくまで理論的な数字の御遊びです

対してロッキードマーチンとレイセオンの直近税引後配当利回りは平均1.7%なので、

  • 12兆円×1.7%=2,000億円

ということで、日本で10人に1人が100万円を投じた場合の【LMT】ロッキードマーチンと【RTH】レイセオンからの受取配当金総額は税引後で年間2,000億円となります。

米軍から調達した防衛装備品費用

それではこの配当金として得られる2,000億円によって、どれぐらいの米軍からの防衛装備費用をまかなえるか、以下防衛装備庁のデータを基に算出してみましょう。

米軍からの防衛装備品調達額推移(2017年)

2017年の米軍からの調達装備品の一覧表(日本の要求機関・品目・防衛装備品調達額・調達先)は以下の通り。

要求機関 品目 金額
(億円)
調達先
空幕 F-35A戦闘機 940 米空軍省
陸幕 ティルト・ローター機 709 米海軍省
空幕 E-2Dの取得 248 米海軍省
空幕 E-767の情報処理能力等の向上 219 米空軍省
空幕 新たな空中給油・輸送機の増勢 202 米空軍省
空幕 滞空型無人機等の取得 168 米空軍省
海幕 イージス装置等のプログラム維持管理 83 米海軍省
海幕 護衛艦の近代化改修器材調達 43 米海軍省

合計で2,612億円

つまり、2,612億円の国富流出のうち、2,000億円が配当金によってまかなえてしまうことになります。実に75%

ほとんどまかなえてしまいました(繰り返しながら、あくまで理論的・数値的なお話)。

ちなみに、グラフにすると下表の通りです。

米空軍から調達したF-35A戦闘機が圧倒的に高いですね。一式でこれだけの金額になります。

陸海空のうち、米軍からの調達費用が一番高いのは空軍ということですね。

米軍からの防衛装備品調達額推移(過去5年間)

ちなみに、以下は過去5年間(2013~2017年)における、米軍からの防衛装備品調達額推移です。(出所:防衛装備庁)

上表の通り、この5年で428億円から2612億円と6倍以上に急増しています。

確かにメディアの言う通り、米軍からの防衛装備品調達額は急増していることが確認できます。

2017年においては、冒頭に挙げた通り調達品目は陸幕・海幕・空幕の各種品目ということで多岐にわたりますが、2013年なんてイージス装置の維持管理73億円と米空軍省から調達したF-35A戦闘機1式の355億円だけですからね。

更に2014年で言えば、F-35A戦闘機1式の750億円のみ。

以上から、米軍からの調達防衛装備品が多品種化・高額化したことがわかります。

まとめ

日本人の10人に1人が、各々100万円を以下米軍事大手2社

  1. 【LMT】ロッキード・マーチン
    配当利回り2.95%
  2. 【RTH】レイセオン
    配当利回り1.75%

に投じると、税引後受取配当金総額は年間で2000億円。実に米軍からの直近2017年の防衛装備品調達額の75%をまかなえてしまうという理論的な結果になりました。単一企業の時価総額を考慮すると、もちろんほかの前提条件も必要

第二次世界大戦以降の「資本の移動は自由である(国際資本の自由化)」という資本主義の原理原則に則り、こういうことが時価総額を無視した場合においては理論上は可能なわけです。

これもいわば、自分が生きている世界のルールを知ることで、浮かびうる方策ですよね。

自分が生きているルールをしっかり把握しておくことは、やはり肝要です。

Best wishes to everyone!

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