インカムゲインの究極的な追求をすべく、配当権利確定日のみ保有し、直後売却に意味はあるか
配当金というキャッシュフローは、セミリタイアを早期に果たす「めど・評価指標」として有用ですから、早期に効率的に得たいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
以下は、いただいたご質問です。
不躾にコメント失礼します。いつも楽しみに拝見しております。
お考えを伺いたくコメントをするのですが、究極的にインカムゲインだけを追求するとせば、配当権利確定日のみ保有して(高騰予想があるとせば機械的に1か月前に買う等工夫しつつ)、権利取得後すぐ都度売却する、という手段を都度取るのがいいかと迷っております。
売買手数料等増加懸念はありますが、それでも高配当株ならコスト負けしませんし、また株自体の値下がりリスクも短期間に限定されるためいいのでは、と考えております。三菱サラリーマン様はいかがお考えでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
確かにここで言うインカムゲインとは、「配当金」ですよね。そして時間軸で考えた場合に、最も効率的に配当金を得ようとすると、究極的には「配当権利確定日のみ保有して、権利取得後すぐ都度売却する」という発想に至るのも理解いたします。
ただ、これは結論から申し上げますと、オススメしづらいところです。
原理的には、積極的におすすめしづらい
配当金というのは、資本剰余金から払い出すことも可能ですが、通常は利益剰余金が配当原資となります。そしてこの利益剰余金というのは、もともと株主資本(…※)の一部であり、要はもともと株主の資産でもあります。
株主資本とは
「株主資本」とは、拙著で詳しく触れていますが、
- 「純資産」や「自己資本」と”ほぼ同じ意味”
と理解して差支えはありません。株主資本の内訳は以下の通り。
- 資本金
- 資本剰余金
- 利益剰余金
- 自己株式
要は、元々株主の資産であるものから、所得税や住民税が差し引かれて、受取配当金として株主に分配されるのが配当金です。
元々持っているものの所在を変えただけ(企業の貸借対照表上から、株主のポケットへ物理的に移動)です。
また、株主資本が減るということは、当然株価も原理的には下がります。実際に配当落ちという現象がありますし、原理的には配当金分の下げ幅に近似していきます。
もちろん相場全体の状況次第では、上手くいくこともあります。強い上昇トレンドであれば、配当落ちも吸収して株価が上がっていくこともあります。
しかし、そのようなことは常に起こるわけではなく、大数の法則で試行回数を増やせば増やすほど原理的な値に収れんしていくと考えられます。
よって、再現性のある手法ではなく、運とタイミングに賭ける性質を帯びます。
とはいえ、周期的な値動きをする銘柄は確かに存在する
ただ、これはあくまで理論的・原理的な観点から導出した結論であり、例えばJリートなどの個別銘柄で比較的値動きが緩やかだったり、周期的な動きをする銘柄は確かに存在します。
そして、権利確定日の3か月前に保有し、権利確定日のむしろ1日前程度に売り抜けると、高い確率で利益になるような銘柄も日本株で存在します。
ですので、そういった銘柄を自身で把握していれば、効率的に資産を増やすことは可能だと思います。
私自身、実際そういった手法を採っていた時も何度かありましたが、だんだん煩雑に感じ、中長期ホールドに落ち着きました。
広くオススメできるのは、やはりETFなど分散された株式ポートフォリオを築き、時間を味方につけて地道に着実に資産を増やす方法と考えます。
Best wishes to everyone!
配当は、セミリタイア・FIREをめざす際には積み上げるに好適な評価指標ですね。
米国株には連続増配を25年以上続ける企業が多数あります。
若い時からの長期投資は、資本主義を泳ぐに有用な手段ですね。