ロボアドバイザーはポートフォリオのメインになり得るか
Twitter配信いつも楽しく、又興味深く見させて頂いています。質問させて下さい。
Wealth NaviやTheoのようなETFが運用できるシステムを運用の主軸に据えるのは、如何なものでしょうか。
お手数掛けますが、お考えを教えて頂ければ、有難いです。よろしくお願いします。
ご質問頂戴しありがとうございます。
ロボアドバイザーとは
ウエルスナビやTHEOなどに代表されるロボアドバイザーとは、人工知能が自動的にリバランス等の作業を一元化して行ってくれる商品ですね。
自動的にリバランスされるだけでなく、昨今の技術である人工知能も織り込み、投資に親しみのない層にも従来とは異なる「手間も時間もかからない投資」と題したアプローチで門戸を開いた、という意味では、画期的な金融商品です。
ウェルスナビは、「初期投資100万円で毎月3万円の積み立てを30年間継続すると、元本1180万円に対して、50%の確率で2385万円以上、30%の確率で3075万円以上」と試算しています。
2385万円というのは複利で年率4%、3075万円というのは、複利で年率5.3%でまわしたのとほぼ同額です。
つまり、「50%の確率で年率4%で運用でき、30%の確率で年率5.3%で運用できそうですよ」と謳っているということですね。
この試算の前提ポートフォリオは以下の通り。
- 米国株(VTI)
30.6% - 米国債券(AGG)
29.1% - 日欧株(VEA)
21.5% - 金(GLD)
8.8% - 新興国株(VWO)
5.0% - 不動産(IYR)
5.0%
株式だけでなく債券、コモディティ(金)、不動産も組み込まれたバランスファンドのようなポートフォリオですね。
「手数料を手間賃として相応と思えるか」がポイント
さて本題の「ポートフォリオのメインになり得るか」という点ですが、以下がポイントになります。
- 信託報酬(手数料)を手間賃として相応の料金と捉えるかどうか
ここに尽きると思います。
例えばウェルスナビの手数料は以下の通りです。
これを高いと感じるか、相応の値段と感じるか、ここに尽きます。
1.0%も0.5%も自分で手を動かして証券口座を開いて米国株や債券のETFを購入するのと比べると、高く見えます。
例えば、米国高配当株式ETF【VYM】を例に取ると、信託報酬は0.08%ですから。
ところが
以下の通りWealth Naviの売買・為替手数料は0です。
対して、国内ネット証券大手は買付金額によりますが、概ね0.2~0.45%です。(1111ドル~10,000ドル以下の買付と仮定)
そうすると、1年目に限るとウエルスナビとの手数料率の差は、比較対象をVYMとすると、「0.28~0.53%」vs「0.5~1.0%」ということで、概して0.0~0.7%程度の差に収斂することになります。
ただその後は信託報酬分の差の約0.5〜1.0%分、やはりウェルスナビの方が高くなります。
これを自動リバランスなどの手間賃として妥当だと感じればメインになり得る商品ですし、高いと感じればメインは自身で証券口座を開いてETFを買い付ける形にした方が良いでしょう。
また、いくら情報技術が発達したとはいえ、「ロボアドバイザーに虎の子の資金の大半を預けるのはなんとなく不安」という方もいるかもしれませんから、その場合はやはりメインは自身の手を動かしてETFを買い付ける形が良いでしょうね。
リーマンショック級の暴落局面にウェルスナビやTHEOがどういう動きをしたのか、まだデータとして蓄積されていませんから、その辺も不透明な部分ではあります。
とはいえ、株式以外に債券やコモディティなどリスクを抑えた運用も選べますから、その場合は値動きは市場平均よりマイルドになることが予想されます。
まとめ
いずれにしましても、ウェルスナビを例にとれば、
- 証券口座の開設も不要
- 売買も不要
- リバランスも不要
- 最低投資額は10万円
- 自動積立も月1万円から可能
と非常にお手軽に投資を始められ、「リスクを抑えた運用をしたい」などの個々人の希望もポートフォリオに反映してくれ、投資をすること自体のハードルを低くしてくれるというのはメリットでしょう。
一方で、そのぶん自分の手を動かしてETFなどを買い付けるケースと比べると、上述の通り少し手数料が高くなります。
ここに納得感があれば、ウェルスナビなどのロボアドバイザーをメインになり得るものですし、そこに納得感がなければ、ご自身でETFを直接証券口座で買い付ける方が良いでしょう。
自分の行動・決断に納得感があるか、これが人生を通しての自己肯定感や納得感にも繋がりますよね。
Best wishes to everyone!
いずれにしても、株式投資が日本でより一般的になり、世界2位の個人金融資産が米欧なみに今後成長するようになれば、それがもしかすると日本社会の停滞感や閉塞感を打破する一助になるかもしれない、そんな風に割と本気で思っています。
投資を始めるにあたって、どのようなETFが勧められるかという観点で考察した記事になります。
直接ETFを証券口座で買い付ける際は、手数料負けしない買付金額を知っておいた方が良いです。