FIREという新しい生き方と前時代的価値観への懐疑

所得の7割を貯蓄に回し、アーリーリタイアを志向する米国の若者

ウォールストリートジャーナルの記事で和製ならぬ、洋製三菱サラリーマンを発見しました。

さすがに私は廃棄直前の食品は買いませんが、倹約志向は同じですし、給与の7割を投資に回している彼とは共通点があります。

記事内のシアトルに住む弁護士のシルビア・ホールさん(38)の特徴は以下の通り。

  1. 家計を徹底的に切り詰め、2020年までに200万ドル(約2.2億円)貯蓄を目指す
  2. 食費は月75ドル以下に抑制すべく、茶色いバナナなど廃棄直前の食品を選好
  3. ガソリン代節約すべく、徒歩通勤
  4. 娯楽費節約すべく、Netflixは友人アカウントを借用

ということで、徹底した倹約をしているようです。もはや米国のミレニアル世代にとって、65歳という定年は過去の遺物になりつつあると記事内では指摘されています。

「FIRE」Financial Independence, Retire Earlyという概念

FIREという概念は既に以前弊ブログでも触れている通りですが、経済的自立と早期退職という米国の若者で広がるコンセプト・生き方です。

食材を自前で栽培、小さな家に住む、旧型の車に乗るなど反物質主義・反大量生産主義・反消費主義とでも言えましょう。

その自立と倹約の精神は古く、1758年ベンジャミン・フランクリン著「富に至る道」1841年ラルフ・ウォルドー・エマソン著「自己信頼」などに遡るとのこと。

「広がるFIREという新しい生き方」と「前時代的価値観への懐疑」

  • FIREというコンセプトに特化したオンラインフォーラム45万人以上のフォロワー
  • FIREの支持者は全米各地で集会を開き、支出管理や投資について討議

米国では既に上に挙げたトレンドができつつあるようで、ミレニアル世代は既に新たな生き方を模索し始めています。

それは同時に、上の世代の前時代的な生き方に懐疑的であることと同義で、それは確実に日本にも当てはまることでしょう。

特に周囲の上の世代のサラリーマンを見ていて思うのは、仕事第一という感じで生き、それを肯定的にとらえる(それを積極的に誇りに思っているのか、あるいは自身を否定することになるため消極的にその生き方を肯定しているのかは不明ですが)姿勢には、違和感を禁じ得ません。

それは日本のマクロ経済の中身が完全に変質したことと軌を一にしています。人口も増え、大量生産大量消費に憧れ、現代ほど知恵を絞らなくとも商品が売れた時代です。

(特にニッチな業界というのは多く存在し、当該業界では尚更知恵を絞らずとも静かに利益を上げることもできました。)

需要家のパイが広がっている以上、やればやるだけ商品は売れ、作れば作るだけ商品は売れ、設備投資を拡大しても利潤率は逓減せず、それは刺激的と思えるでしょう。

労働集約的に皆が同じ方向を向き、大号令の下に従事していれば給与も上がり、先進的な技術に触れ、生活は豊かになっていった時代。

しかしそのような時代は完全に終わりを告げました。個々人が個々の嗜好を追求し、需要は多様化し、グローバル化と共に労働単価や物価などがフラット化圧力を受けやすくなりました。

変化は激しく、明確な正しい方向、明確な最適解というのが日々変わり得る現代です。しかし悪いことばかりでもありません。

個人は以前より自分の足に依って立つ手段が増えました。

  1. 株式投資の手数料は店頭販売時代からネット移行で格段に下がり、
  2. インターネットの発達により場所に縛られず働くことも可能になり、
  3. 好きなことを表現することで収入が得やすくなった

などなど、物価や労働コストのフラット化だけでなく、メディア産業と個人の力関係もフラット化してきた時代でもあります。

こういった経済的基盤を確立するプラットフォームが普及したことも、FIREという概念の普及と無関係ではないでしょう。

とはいえ、全員が全員FIREしてしまうと、社会が成り立たないのも事実です。

先日、中国人ローカルスタッフに尋ねました。

「あなたの夢はなんですか?」

返ってきた答えはこうです。

「お金持ちになって、今の仕事をやめること」

本音の国と建前の国、この違いが如実に表れました。

Best wishes to everyone!

倹約主義によるアーリーリタイア・セミリタイアは米国だけでなく、豪州やドイツにも広がっているようです。

倹約主義者の早期リタイア、ドイツにも広がる
上記ツイート内のYahoo!記事が興味深いです。うにちっぷすさん、ありがとうございます。 一部を以下に抜粋の上...

経済的自由はアーリーリタイアやセミリタイアの大きなセーフティネットになり得ます。

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