【資本主義の未来】いつ限界を迎えるか、最後のフロンティア次第

資本主義の未来はどうなるのか?

今回は究極的命題とも言えるご質問を頂きました。私自身も非常に興味深い内容なので、しっかり詳述したいと思います。

資本主義の未来はどうなると思いますか?

NHKや雑誌などでよく「資本主義は限界で終わりに近い」と言ったような内容を見聞きするので不安です。

資本主義はもう成長しないという話もありますが、ETFを買っても意味ないのでしょうか?教えてください。とても不安です。

世界の実質GDP成長率(過去30年間)

ではまずは実際にどうなのかを俯瞰すべく、世界のGDP成長率推移を見てみましょう。

1991年~2020年(2018年以降はIMF予測値)の30年間を見る限りでは、低成長低成長と言われるほど低成長には見えません。これはあくまで先進国・新興国も含めた世界全体のGDP成長率なので、一応先進国・新興国に分解して推移を見てみましょう。

先進国・新興国の実質GDP成長率(過去30年間)

先進国・新興国に分解すると、潮流が見えてきますね。

リーマンショック以降の2010年代はと1990年代を比較すると、先進国は90年代より概して成長率が明瞭に落ちています。

対して新興国は2010年代以降も1990年代の成長率を概して上回っています。

まずこの客観的事実をおさえた上で、以下本論に移ります。

資本主義が成長するメカニズム

  1. 人口増加率の頭打ち
  2. 賃金上昇率の頭打ち(人件費の高騰段階が既に終了)

先進国では主にこの2つの現象が起きました。そして先進国のグローバル企業はどうしたか?

先進国のグローバル企業は新興国へ直接投資を始める

国内市場の飽和(人口的にも需要が落ち着いてきますし、生活水準の上昇と共に生活必需品などが概ね揃い、残るは嗜好品程度の消費に留まる)により、先進国の企業は概して賃金の低い新興国に労働力を求め、新興国に直接投資(例えばトヨタが完成車工場を建設するなど)を行います。

労働コスト減による単価低減

それにより既存商品でも単価を下げることができます。なぜなら、労働資本が安く手に入るからです。労働集約型の産業では、労働資本コストは如実に価格に反映されやすいと言えるでしょう。

つまり、資本主義は先進国のグローバル企業が、労働コストの安い新興国が大量生産し、価格を下げ、それを先進国に逆輸入することで先進国の人々は利益を享受できました。

新興国は賃金上昇

そして新興国も、先進国のグローバル企業が進出し、直接投資が行われることで雇用が生まれ、賃金上昇サイクルに入り、生活水準の向上に繋がってきました。

つまり先進国のグローバル企業が新興国に進出する段階では、先進国・新興国ともに利潤を享受できる側面があります。

賃金上昇により価格競争力低下

しかし新興国の賃金上昇サイクルが終盤に入る(≒中進国の罠)、つまり賃金上昇が一定程度済むと、労働コストの上昇によりその国で作られる商品の国際競争力が落ちます。価格面での強みが徐々に失われるからです。

するとグローバル企業はどうしてきたか。

他のフロンティアを求める

今度はまだ発展していない途上国・新興国に進出し、上に挙げた新興国と同じように、直接投資をして商品価格を下げるという行動を取るわけです。

日本企業を例に取れば、最初は安価な労働力を求めて中国に進出したかと思えば、労働コストの上昇を見るや東南アジアに進出しています。

フロンティアがある限りは大丈夫、しかしなくなると…

こうしてグローバル資本は成長を遂げてきました。つまり、資本主義的に未開な新興国”フロンティア”がある限りは、同様のサイクルを繰り返すことで、利潤率が逓減することなく商品を売り続けることができます。

しかし、中国は勿論のこと、東南アジアなどの新興国もいずれ賃金が上昇し、生活必需品も揃ってき、生きるための消費ではなく、嗜好品としての消費、コト消費が増えてくるでしょう。そして、日米欧と同じように人口増加率や賃金上昇率や物価上昇率などの頭打ち現象がいずれ出てきます。

そうなった時、残された”フロンティア”はアフリカでしょうか。

資本主義の限界が見えるのはいつか

資本主義の限界が見えてくるのは、このアフリカで賃金上昇サイクルが末期に入り、生活水準が上がり、消費行動が生きるためではなくなった時が契機になり得ます。

新興国の成長率が徐々に冒頭に挙げた先進国の低下し続ける経済成長率のように、低減していき、世界全体の成長率が逓減していくその時こそが資本主義の限界が見え始める頃だと思います。

ただ、限界が見えたところで資本主義より更にマシなシステムが現れ、そのシステムに移行していくかどうかはまた別の話です。

世界の成長率が逓減していくとはいえ、プラスはプラスです。プラス幅が減るだけで、人口が増加し続ける限りはマクロで言うGDP成長率は0%近傍にいくら近づくとはいえ、原理的にはプラスであり続けるはずです。

そのプラス幅を最も享受している企業はどこでしょう。

その時の覇権国家のグローバル企業と考えます。アメリカが今日までそうあり続けてきたように。

アメリカを覇権国家たらしめるのは以下3つと言えるでしょう。

  1. 米ドルという国際決済通貨を握っている
  2. 最大の軍事力
  3. 最大のGDPというマクロ経済

このうち3に関しては中国に追い抜かれるのは今のところ時間の問題です。が、1と2はどうでしょうね。

更にそのアメリカ発のIT技術の発展が物の製造コストを下げていますから、IT産業というイノベーションによる新たな需要創出により、フロンティアが作られており、資本主義の寿命は伸びたという見方もできます。

いずれにしても向こう20年、どの国のETFに投資するかと言われれば、私はやはり米国を推します。

資本主義が限界を迎える(「限界を迎える」という語義が「低成長」を意味するのであれば)方向に向かっているのは確かにそうだと思いますが、我々世代が高齢になるまでに本当に限界に達して、資本主義システム自体が変わるというのはいささか懐疑的と言わざるを得ません。

市井の私が到底正確に予想できるような事象ではありませんが、少なくとも向こう20年間は過度に心配する必要はないのではないでしょうか。

興味深く、且つある意味究極的命題をご質問頂き、誠にありがとうございました。

ご参考になりましたら幸いです。

Best wishes to everyone!

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