本記事は2018年8月に回答した記事です。今のような下落局面で振り返ると非常に興味深いですね。
そんな疑問にお答えします。
バブル懸念がある前提で、今日から投資を始めるとしたら
以下peing経由で頂いたご質問です。
三菱サラリーマンさんが今日から投資を始めるとしたらポートフォリオどうしますか?
結構バブルのような気がするんですが。
ご質問、誠にありがとうございます。まずはバブルという前提下で一般的にどのようなポートフォリオが一案になり得るか、そして三菱サラリーマンならどんなポートフォリオを構築していくかを述べます。
PERではバブルと言えるか
まずバブルが前提となっていますので、一応現在がバブルかどうか、PERの観点から見てみましょう。
ただ、PERは1つの材料にはなり得ますが、全てを測れるわけではないことを申し添えておきます。
以下はS&P500のPER長期チャート。
2018年8月現在の実績PERは25倍と、14〜17倍の巡航水準と思しき範囲からは大きく上抜けています。
ただITバブルやリーマンショック後の40倍以上と比べると、ややインパクトに欠ける数字ではあります。
一方、90年代以前はほぼ一貫して25倍あたりで反落しているのも興味深いところですね。ただ、現在は高金利に耐えられるだけの経済状況でないことは、過去と違う点です。
ご質問頂いた方のように、イケイケどんどんな姿勢で市場に臨むよりも、常にある程度保守的・悲観的に現状を見積もるのは、個人的には賢明と考えます。
常在する市場の反落・調整リスク
米国の利上げ局面・貿易摩擦・債務リスク等、リスクは挙げればキリがありません。特に債務リスクは新興国や中国に限ったことではなく、世界的に増加し続けています。
買収した企業の利益で買収代金を回収するのに何年かかるかを示す「EV/EBITDA」は2018年は1995年以降で18倍で、リーマンショック前を上回ります。株価が高騰し、割高な買収が増えているということです。
低格付け債・ジャンク債市場も、世界的な低金利を背景に旺盛な資金需要があります。特段大きな信用プレミアムを負担することなく資金調達できる環境が従前より整っています。
IPO市場も上場企業数は減少傾向にあるものの、金融緩和による金余りから一部活況を呈しており、信用プレミアム同様に市場監視機能が果たして働いているかも不明な部分はあります。
リスクの芽を探し出すとキリがありません。バブル云々に関わらず、市場は常に脆弱な部分があり、多くの投資家が見過ごす余地は常にあると言って良いと思います。
ということで、バブルに対する御託というか私見がやや長くなってしまいましたが、バブルという前提で話を進めます。
バブルの際に投資を始めるにはどんなポートフォリオが良いか
バブルの際に投資を始めるとしたらポートフォリオをどうするか、ということですが、自身のリスク許容度に応じて以下2つのETFのいずれかを選択し、あるいはミックスし、今すぐにでも淡々と長期的に積み立てる形が一案と考えます。
- VYM
- AGG
以下記事で詳述していますのでご覧ください。
ETFの特徴等は上の記事をご覧頂ければと思いますが、投資をする際にあたってまず把握しておいた方が良いと感じることがあります。
- 自分が狼狽売りをしてしまいそうかどうか、
- バイアンドホールドと言いながらそのホールドを果たして出来る忍耐力があるのか、
- どの程度までの下落なら耐えられるか
この辺りは自身である程度把握しておいた方が良い点です。3つともに共通するのは、要は「自分がどの程度冷静でいられるか」ということ。
人によって資金量は違います。定常的なキャッシュフローによる入金力も違います。
- 資産の何%の下落まで冷静でいられるのか、
- 資産のどの程度が含み損になると他のことに手がつかなくなるのか、
- 含み損がいくらになれば不安から逃れたいあまり衝動的に売ってしまいたくなるのか、
全て人によって違います。
要すれば、リスクを許容できる度合、リスク許容度は人によって、家族環境によって、その他の要因によって異なるわけですね。
これを自身の性格上、ある程度ざっくりでも良いのでおぼろげながら把握しておくのが重要ではないでしょうか。それが金融商品を選ぶ際に判断材料になり得るからです。
リスク許容度が低いのであればAGGの比率を増やすのも一手ですし、ガンガンいく性格なのであればVYM一本・VTI一本というのも一案だと思います。
まとめ
ということで、自身の性格やリスク許容度に鑑みた上で、VYM・AGGなどのETFを各々、あるいはミックスして活用するのがおすすめです。
もし私がバブルな状況下という前提でポートフォリオを今から組み始めるのであれば、入金力をフル活用し、やはり今と同様、成長期待の低い不人気な高配当株・連続増配株を買い、定常的なキャッシュフローを増やしていく形を採ると思います。
つまり、いまとやることは変わらないということです。それが良いリターンを生むのか、生まないのかも将来振り返ってみなければわかりません。
ただ、配当という定常的なキャッシュフローは人生と投資(買い増し余資)を柔軟にしてくれる1つの解になり得る、あるいは過去帰納的にはなり得てきた代物ではあります。
「市場を知り、金融商品を知り、自身をしれば百戦危うからず」
とまでは言わないまでも、何戦か生き延びることは可能でしょう(笑)。過去から帰納的に結論を導出するとすれば、米国株市場に居座り続けることが、財を成す1つの方策であってきました。
その帰納的結論が正しいのであれば、「市場を知り、金融商品を知り、自身を知る」ことができれば、居座り続けるお尻の図太さは徐々に増していくはずです。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
VYMとAGGの2つのETFをオススメとして示した記事を再掲します。
現金比率というのは、ある意味常に悩ましい命題ではあります。リスク許容度が低いのであれば、AGGを増やすのも一手ですが現金比率を高めるのも一手です。ただ、定常的なキャッシュフローがある人であれば、現金比率の下限は下がるでしょう。
AGGは低リスクな運用方法として以下記事でも取り上げています。ただ為替リスクはありますし、米国というカントリーリスクは厳然と存在します。