海外駐在で証券口座の保有株式・税金・NISAはどうなるか解説!

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資産運用・投資をしている方において、虎の子である運用資金が海外転勤で一体どうなるのか心配になる方もいらっしゃると思います。

そこで読者の方から以下ご質問を頂きましたので、

  • 「海外転勤になった場合、取引制限の有無、保有株式・税金・NISA口座・株主優待はどうなるのか」

について述べさせて頂きます。

海外転勤で非居住者になった際、証券口座及び証券をどうするか

三菱サラリーマン様

こんばんは。都内在住の30代のサラリーマンです。
いつもブログの更新を楽しみに見ております。また、気軽に問い合わせをとのことでしたので質問させていただきます。

貴ブログに非常に共感をして高配当株投資をはじめました。しかしながら近い将来海外駐在の可能性が御座います。三菱サラリーマンさんも海外転勤の可能性があるかと思いますが、非居住者になった際の証券口座及び証券はどのようにすると考えておりますでしょうか?

考え方を教えて頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

ご質問いただき、ありがとうございます。

結論から申し上げますと、以下の通りとなります。※SBI証券に全て確認済

◆保有株式 → 保有OK
(一般口座に移管の上、引き続き保有可。)
◆取引制限 → 海外赴任中は原則取引NG
◆税金   → 住民税免除OK
(常任代理人手続きを行う必要あり。)
◆NISA → 一旦廃止
(一般口座に要移管。帰国後再開可。)
◆株主優待 → 実家等に住所変更可
(信託銀行に届出要提出)

まずSBI証券公式HPにおける以下記載を例に、非居住者の定義非居住者への対応について確認してみましょう。

非居住者の定義

・外国にある事務所(本邦法人の海外支店等及び現地法人並びに国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者。
・2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者。
・本邦出国後外国に2年以上滞在するに至った者。
・1年以上にわたり日本以外に居住する者。
・期間の定めのない海外転勤、海外留学。
・上記に掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6ヶ月未満の者。(但し、上記に関わらず、本邦の在外 公館に勤務する目的で出国し、外国に滞在する方は、「居住者」として扱われます)

要は、「海外転勤=非居住者になる」ということですね。

海外転勤等の理由により出国(非居住)される方への対応について

当社に証券総合口座をお持ちのお客さまが、海外勤務等の理由により一時的に出国「(本邦)非居住者」される場合、原則「帰国されるまでの間」も当社の証券総合口座(お客さま名義)にて有価証券等をお預けいただくことができます

ただし、当社では日本国外で金融商品取引業務を行う許可(免許)などを海外の監督官庁等から得ておらず、居住国の法令諸規則に則った対応を行うことはできません。
具体的なお手続き方法につきましては、「当社カスタマーサービスセンター」または「お客さまのお取扱い店」までお問い合わせください。

有価証券等は引き続き保有可能で、具体的なことはカスタマーサービスセンターに問い合わせる必要あり、ということですね。

ということで、カスタマーサービスに問い合わせた結果、判明したことは以下の通りです。

◆保有株式 → 保有OK
(一般口座に移管の上、引き続き保有可。)
◆取引制限 → 海外赴任中は原則取引NG
◆税金   → 住民税免除OK
(常任代理人手続きを行う必要あり。)
◆NISA → 一旦廃止
(一般口座に要移管。帰国後再開可能)
◆株主優待 → 実家等に住所変更可
(信託銀行に届出要提出)

保有株式

保有株式については、売却する必要はありません。そのまま保有してOKですが、特定口座で保有している株式は一般口座に移管する手続きが必要になります。

売買制限

とはいえ、海外赴任中は先述の通り売買は規定上はできません。保有株式が一般口座に移管されても売買を行わないわけですし配当所得は一般口座であっても源泉徴収されますから、譲渡益のための確定申告は必要ありません。

税金関係

更に見逃せないのは、常任代理人手続きを行えば、配当所得から本来源泉徴収される住民税5%分が免除されるメリットがあります。

配当収入の手取りが大きく増えることになりますから、当該手続きは済ませておきたいところですよね。

※家族でも常任代理人になれます。

SBI証券の方によれば、海外赴任が決まり、SBI証券にその旨伝えると、書類手続きという流れになります。

その際に口座移管手続きなどの書類一式に加えて常任代理人契約書も送付されるので、所定の内容を記入し、手続きを進めていく形だそうです。

実際に海外赴任が決まった際には、原則上は、SBI証券に口座をお持ちの方は、上記カスタマーサービスセンターへ一報入れることをお勧め致します。

ちなみに、「仮に海外駐在が決まった際に何も報告しないとどうなるのか」聞いたところ、「仮に海外駐在が決まった際に証券会社に全く報告しないと、売買凍結処理がなされませんから、取引自体は海外からでも出来てしまいます。ただその場合税金関係のリスク・対応は個人に帰する」とのことでした。

NISA

NISA口座は海外赴任に際して、一旦閉鎖となります。

そして一般口座に移管することになるので、配当については非課税とはなりませんが、先述の常任代理人手続きを行っていれば住民税は免除されます。

また、帰国後にNISA口座は新たに再開できますが、帰国前に開設していたNISA口座にまた株式を戻すことはできません。

たとえば、つみたてNISAですと赴任前に積み立てた分は一般口座に移管され、帰国後に1から積み立てる形になります。

株主優待

本件は実際に海外赴任してる方によると、株主優待の送付先は、株式を管理している信託銀行(企業は配当受領書や株主優待の送付を信託銀行に委託しており、企業によってどの信託銀行に委託しているか異なります)に届け出を提出し、送付先を実家等に変更可能とのことでした。

株主優待は現物で送付されますから、実家に送付されるなら安心ですね。

海外赴任時の証券口座・保有証券への影響まとめ

◆保有株式 → 保有OK
(一般口座に移管の上、引き続き保有可。)
◆取引制限 → 海外赴任中は原則取引NG
◆税金   → 住民税免除OK
(常任代理人手続きを行う必要あり。)
◆NISA → 一旦廃止
(一般口座に要移管。帰国後再開可。)
◆株主優待 → 実家等に住所変更可
(信託銀行に届出要提出)

ということで、もし万が一自分が赴任することになった際は、基本的に「保有株式・債券・ETFは全て一般口座に移管の上、取引は凍結し、株主優待の送付先は実家にし、常任代理人手続きにより住民税を免除する」という対応をとると思います。

株式買付は行えなくなるので、非居住者期間はキャッシュポジションが必然的に増えますが、帰国後一気に株式を買い付ける形で良いと思います。(帰国時の相場環境にもよりますが)

ご参考になりましたら幸いです。

*追記*

なお、実際に海外赴任した方によると、SBI証券から上述した通り回答されたものの、実際にNISA口座の閉鎖等の手続をしようとしたら、手続不要となった事例があるようです。

つまり、実際には特定口座・NISA口座から一般口座への移管が不要となるケースがあるようなので、いずれにしても赴任の際に証券会社に確認するのがよさそうですね。

また、例えば中国ですと香港でHSBCなど海外で証券口座を開設し、そこで新たに株式投資を続けることも可能なケースがありますから、海外赴任だからと言って一概に株式投資を続けられないわけではありません。

更に、先述の通り、海外駐在である旨を証券会社に申告しない場合、売買凍結は成されず、取引自体も海外から事実上出来てしまいます。ただ、その際の関連リスクは個人に帰することになる形になります。

Best wishes to everyone!

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公開日:2018年7月28日